JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年7月号
認知症高齢者の介護と「虐待」
佐藤美和子
高齢者虐待の被虐待者には、要介護者、認知症高齢者が多いことはよく知られている。
認知症高齢者への「虐待」対応の難しさとして、ご本人が虐待されていることを認識し、助けを求めることができるかどうか、またご本人の発言をそのまま事実として周囲が理解してよいかという、問題がある。また、認知症高齢者自身に、介護拒否や介護者に対する攻撃行動、妄想などの心理・行動症状などが見られ、介護者から一方的に虐待行為がなされていると判断できない場合もある。
認知症高齢者の立場に立った場合、自分の行動に対する介入の多くが、自分の思うように動きたい、生活したいという欲求への制限である。周囲の状況が分からない方にとって、「お風呂ですよ」という声かけも理解できず、突然服を脱がされ、お湯をかけられる恐怖は、「虐待」に他ならないかもしれない。自分は昔どおりのことを行っているつもりなのに、家族から「それは違う」「何やっているんだ」と叱責され、「しつけ」とばかりに子どものように指導される心痛はいかばかりだろう。
逆に、介護者の立場に立った場合、認知症を患った高齢者の行動は、安定した生活や健康を害するものであったり、危険であったりして介入をせざるを得ない。「あなたのために」支援しているにもかかわらず、理解してもらえない、介護を拒否する、言う事を聞かない、泥棒扱いされる、攻撃される、といった経験が続くと、介護者は心身ともに疲弊してしまう。怒りや報復の気持ちが沸き起こってしまうこともあるだろう。これは家族介護者だけでなく、施設で働く介護専門職でも同様である。逆に介護者が怪我をするなど被害を受ける場合も多く報告されている。
介護拒否の強い認知症高齢者に対しては、介護すると「心理的・身体的虐待」となり、介護しないと「ネグレクト」になる、というジレンマを感じている介護者も多いと思われる。また、自分の身の安全も確保しなくてはならないという課題も抱えている。
この問題を解決するには、認知症高齢者の生命と身体の安全、健康を守りつつ、身体的・心理的負担を与えないような介護技術が必要であるが、まだ発展途上であるといえるだろう。介護のプロであっても、個々に試行錯誤しながら工夫しているのが現状である。実は、「家庭における養護者の虐待があるから、分離して高齢者施設に入所させればすべて解決」とはいえず、新たに施設においても継続する可能性もゼロではないのである。
認知症高齢者がどのような気持ちで行動し生活しているのか、何故介護拒否が起きるのかなど心理面での理解と、高齢者も介護者も負担の少ない介護方法の開発と普及が早急に望まれる。
2011年7月3日日曜日
2011年6月1日水曜日
日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No15
JCPEAニューズレター 2011年6月号
2011年度は、3月11日に発生した未曾有の震災と原発事故のなか、始まりました。震災で犠牲になられた方の多くが高齢者であったと報道もあり心が痛みます。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、罹災された方々へ、心よりお見舞い申しあげます。私たちひとりひとり、何ができるのかを考えていきたいものです。
JCPEAニューズレターでは、本センターのメンバーが、皆さまに、個々の関心や、センター外での活動も含め、メッセージをお届けします。今回の担当は梅崎です。
先日、石巻の福祉避難所で活動してきました。石巻市立病院が被災し、遊楽館というスポーツセンターで石巻市立病院の医師を含む医療職が頑張っていたところを、被災地外からの医療関係者が後方支援しているものです。私の所属する日本医療社会福祉協会(旧日本医療社会事業協会)も、早期から医療ソーシャルワーカーを派遣し、石巻市立病院のソーシャルワーカーをバックアップしています。
高齢者はストレスが身体化しやすく、うつ状態で一時的に判断能力が低下することも予想されるので、避難所退所後に、身体能力が低下して助けを呼べなくなる、詐欺や横領などの被害にあうこと等が懸念されました。また同居家族ともにうつ状態になり、攻撃的になると、家族とのいさかいが家族間暴力に発展する危険性も予感されました。様々な意味で、継続的に支援していくことが重要だと思いました。
さて私は、高齢者虐待の社会的要因に関心を持っているものですが、社会的な高齢者虐待とも言うべき介護負担からの心中事件、殺人事件について、警察庁による報道がありましたので、ご紹介します。山井厚労政務官は「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討」「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示したそうです。
「高齢者による殺人が急増」
( 2011年01月17日 キャリアブレイン )
警察庁はこのほど、昨年の「刑法犯認知・検挙状況について」(暫定値)をまとめた。それによると高齢者による殺人が急増しており、中でも「介護・看病疲れ」が動機の2位になっていることが分かった。
まとめによると、昨年の殺人の検挙数は前年比2.5%減の1067件(14歳未満による殺人などを含む)で、戦後最少を更新。ただ検挙数を年齢別に見ると、14―19歳が13.3%減の39件、20―64歳が6.8%減の730件だったのに対し、65歳以上は22.3%増の175件だった。65歳以上による殺人の動機を見ると、「憤怒」が72件で最も多く、次いで「介護・看病疲れ」30件、「怨恨」28件、「生活困窮」6件と続いた。
「高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官 」
( 2010年04月14日 キャリアブレイン )
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)の見直しについて、厚生労働省の山井和則政務官は4月14日の衆院厚生労働委員会で、「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討している」と述べた。古屋範子氏(公明)の質問に答えた。
2006年4月施行の高齢者虐待防止法は、施行後3年をめどに、課題があれば見直しを行うことが規定されている。古屋氏の「在宅の介護者は心身共に限界。高齢者の短期受け入れ施設の拡充や、24時間体制の相談窓口設置などが必要」との指摘に対し、山井政務官は「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目。指摘された手法を含めて、さまざまな方法が考えられる」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示した。
また、山井政務官は「今までの(在宅介護支援)サービスは使い勝手が良くなかった」と指摘。在宅の介護計画などを作成するケアマネジャーについて、「必要書類が多過ぎて現場で使える時間が少ない。改善を検討している」と述べた。施設の介護従事者の処遇改善については、「賃金を引き上げ、介護従事者が誇りを持って一生働けるようにすることが必要だと考えている」とした。
■医療従事者による虐待含むのは「大きな議論」
古屋氏は、同法にある介護者や介護施設従事者による虐待についての規定以外にも、医療機関や無届け施設従事者による虐待についての規定を含めるよう求めたが、山井政務官は「医療機関については大きな議論なので、政府としても考えている」と述べるにとどまった。
高齢者虐待の立ち入り調査について、古屋氏は「立ち入り調査要件に『高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている恐れ』が含まれているため、現場では立ち入り調査する判断に苦労している」とし、この要件を含まない児童虐待防止法と同程度の規定に改めるよう求めた。これに対し、山井政務官は「実態を把握する必要があるので議論していきたい」と答えた。
■「セルフネグレクト」は対象外
生きる気力を失った高齢者や認知症の高齢者による自己放任行為「セルフネグレクト」について、古屋氏は高齢者虐待の定義に新たに加える必要があると指摘。これに対し山井政務官は、「(「身体的虐待」など現状の定義と)同じ類型には入らないと考える。ただ、放置すべき問題ではない」と述べた。
2011年度は、3月11日に発生した未曾有の震災と原発事故のなか、始まりました。震災で犠牲になられた方の多くが高齢者であったと報道もあり心が痛みます。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、罹災された方々へ、心よりお見舞い申しあげます。私たちひとりひとり、何ができるのかを考えていきたいものです。
JCPEAニューズレターでは、本センターのメンバーが、皆さまに、個々の関心や、センター外での活動も含め、メッセージをお届けします。今回の担当は梅崎です。
先日、石巻の福祉避難所で活動してきました。石巻市立病院が被災し、遊楽館というスポーツセンターで石巻市立病院の医師を含む医療職が頑張っていたところを、被災地外からの医療関係者が後方支援しているものです。私の所属する日本医療社会福祉協会(旧日本医療社会事業協会)も、早期から医療ソーシャルワーカーを派遣し、石巻市立病院のソーシャルワーカーをバックアップしています。
高齢者はストレスが身体化しやすく、うつ状態で一時的に判断能力が低下することも予想されるので、避難所退所後に、身体能力が低下して助けを呼べなくなる、詐欺や横領などの被害にあうこと等が懸念されました。また同居家族ともにうつ状態になり、攻撃的になると、家族とのいさかいが家族間暴力に発展する危険性も予感されました。様々な意味で、継続的に支援していくことが重要だと思いました。
さて私は、高齢者虐待の社会的要因に関心を持っているものですが、社会的な高齢者虐待とも言うべき介護負担からの心中事件、殺人事件について、警察庁による報道がありましたので、ご紹介します。山井厚労政務官は「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討」「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示したそうです。
「高齢者による殺人が急増」
( 2011年01月17日 キャリアブレイン )
警察庁はこのほど、昨年の「刑法犯認知・検挙状況について」(暫定値)をまとめた。それによると高齢者による殺人が急増しており、中でも「介護・看病疲れ」が動機の2位になっていることが分かった。
まとめによると、昨年の殺人の検挙数は前年比2.5%減の1067件(14歳未満による殺人などを含む)で、戦後最少を更新。ただ検挙数を年齢別に見ると、14―19歳が13.3%減の39件、20―64歳が6.8%減の730件だったのに対し、65歳以上は22.3%増の175件だった。65歳以上による殺人の動機を見ると、「憤怒」が72件で最も多く、次いで「介護・看病疲れ」30件、「怨恨」28件、「生活困窮」6件と続いた。
「高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官 」
( 2010年04月14日 キャリアブレイン )
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)の見直しについて、厚生労働省の山井和則政務官は4月14日の衆院厚生労働委員会で、「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討している」と述べた。古屋範子氏(公明)の質問に答えた。
2006年4月施行の高齢者虐待防止法は、施行後3年をめどに、課題があれば見直しを行うことが規定されている。古屋氏の「在宅の介護者は心身共に限界。高齢者の短期受け入れ施設の拡充や、24時間体制の相談窓口設置などが必要」との指摘に対し、山井政務官は「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目。指摘された手法を含めて、さまざまな方法が考えられる」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示した。
また、山井政務官は「今までの(在宅介護支援)サービスは使い勝手が良くなかった」と指摘。在宅の介護計画などを作成するケアマネジャーについて、「必要書類が多過ぎて現場で使える時間が少ない。改善を検討している」と述べた。施設の介護従事者の処遇改善については、「賃金を引き上げ、介護従事者が誇りを持って一生働けるようにすることが必要だと考えている」とした。
■医療従事者による虐待含むのは「大きな議論」
古屋氏は、同法にある介護者や介護施設従事者による虐待についての規定以外にも、医療機関や無届け施設従事者による虐待についての規定を含めるよう求めたが、山井政務官は「医療機関については大きな議論なので、政府としても考えている」と述べるにとどまった。
高齢者虐待の立ち入り調査について、古屋氏は「立ち入り調査要件に『高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている恐れ』が含まれているため、現場では立ち入り調査する判断に苦労している」とし、この要件を含まない児童虐待防止法と同程度の規定に改めるよう求めた。これに対し、山井政務官は「実態を把握する必要があるので議論していきたい」と答えた。
■「セルフネグレクト」は対象外
生きる気力を失った高齢者や認知症の高齢者による自己放任行為「セルフネグレクト」について、古屋氏は高齢者虐待の定義に新たに加える必要があると指摘。これに対し山井政務官は、「(「身体的虐待」など現状の定義と)同じ類型には入らないと考える。ただ、放置すべき問題ではない」と述べた。
2011年1月4日火曜日
日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No14
日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No14
新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
皆様、お正月をいかがお過ごしでしょうか。
No14は、10年11月末にお送りする予定でしたが、発信が年を越してしまいました。隔月にお送りできるよう、努力したいと思います。
気になった記事を<その他>に入れていきましたので、No14は、<その他>中心の号になりました。
(AS)
目次は以下のとおりです。
<エッセイ> 1本
<New Information> 2本
<家庭内虐待> 記事 6本
<施設虐待> 記事 3本
<その他> 記事 30本
(配信用ニューズレターとは異なり、本HPでは、エッセイをのぞき、すべてタイトルのみの掲示となっております)
情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
*****************目次**********************
<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」 小川孔美(埼玉県立大学)
<New Information>
1 新規アルツハイマー治療薬2品目の承認を了承―医薬品第一部会
( 2010年11月24日 22:59 キャリアブレイン )
2 介護保険改正 厚生労働省案、介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント
3『平成21 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果』
<家庭内虐待>
1 高齢者虐待:09年度162件、「経済的」が倍増 県「景気悪化要因」 /神奈川
毎日新聞 2010年9月25日 地方版
2 兵庫県 高齢者虐待 最多698件 県内昨年度 大半は家庭内 目立つ介護負担
(2010年10月27日 読売新聞)
3 殺人未遂:寝たきり母殺害未遂、50歳容疑者逮捕 搬送先で死亡--愛知・半田
毎日新聞 2010年10月26日 中部朝刊
4 寝たきり妻殺害:容疑の81歳を逮捕…千葉県警 毎日新聞 2010年11月7日
5 介護してた長男傷害容疑で逮捕 八街、暴行?父親は死亡
2010年11月06日14時46分ちばとぴ
6 東京NEWS2010<2>葛飾の介護殺人 抱え込み「疲れた」2010年12月20日
<施設虐待>
1 傷害致死:同室の93歳女性死なす 容疑で認知症の男逮捕--愛知・岡崎の特養ホーム
毎日jp 10/17
2 岡崎の特養暴行死:市と県が立ち入り 2人部屋に6人、法抵触 /愛知毎日新聞 2010年10月22日 地方版
3 認知症者 声届きにくく:県、7月の調査でつかめず(2010年12月4日 読売新聞)
<その他>
1 【長寿社会の虚実】第1部 111歳ミイラの周辺で(上) 「即身成仏になる」家族を苦しめた祖父の呪縛 (1/4ページ) 産経ニュース 2010.9.15 22:08
2 【長寿社会の虚実】第2部 地域・行政の限界(上) 「地縁、血縁には頼れない」 センサーが見守る (1/3ページ) 産経ニュース2010.9.18 21:01
3 『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題
2010年9月30日 中日新聞
4 社説:成年後見10年 長命社会守る「切り札」に 毎日新聞 2010年9月30日 2時30分
5「91歳」男性遺体、長女を逮捕=年金700万円詐取容疑-大阪府警 時事ドッドコム
(2010/10/12-17:59)
6 ニュータウンも年をとる (上)世代交流 asahicom2010年10月08日
7「お泊まりデイ」への保険適用「貧困ビジネスが飛び付く」( 2010年10月18日 22:41 キャリアブレイン )
8「生活援助を介護保険から外さないで」―市民団体が集会( 2010年08月05日 20:39 キャリアブレイン )
9 高齢者はいま…:つなげ地域の輪/下 鹿沼みまもり隊 /栃木
◇子育て世代とも連帯を 月1の訪問と報告義務 毎日jp
10 孤独死:公営団地で1191人 65歳以上は7割超
毎日新聞 2010年10月27日 2時36分(
11『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く
中日新聞 2010年9月23日
12 介護者支援の輪広がる asahi.com 2010年10月20日
13 白骨化遺体:市営住宅に 居住女性か--岐阜 毎日新聞 2010年10月19日 中部朝刊
14 ネット調査:全国で相次ぐ高齢者の不明 「国の制度機能せず」47% 毎日新聞 2010年10月21日 東京朝刊
15 一人暮らし高齢者に大学生が付き添い買い物 品川区がモデル事業 毎日jp2010.10.19 19:11
16 高齢者の見守り センターに専属コーディネーター 池尻、北沢など10カ所に配置
東京新聞2010年10月18日
17 注目集まる市民後見人 住民同士で支えるセーフティーネット 質向上へ行政の支援急務
東京新聞 2010年10月20日
18 高齢者介護向けのロボット開発進む。子や孫が遠隔操作の「テレノイドR1」や対話ロボも
東京IT新聞 記事詳細 150号 2010年10月26日 12面「特集:PICK UP! 」
19 「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会( 2010年10月22日 18:18 キャリアブレイン )
20 増える首長の成年後見制度申し立て asahi.com 埼玉2010年10月27日
21 認知症高齢者5人に1人財産被害 NHK10月27日 4時51分
22 単身高齢者の個人情報、民生委員に提供は自治体の約半数( 2010年11月01日 16:51 キャリアブレイン )
23 高齢者虐待防止講演会~講談から認知症介護と高齢者虐待を考える~
24 介護保険:「要支援」2割負担検討 生活援助の縮小も 毎日新聞 2010年10月28日 東京朝刊
25 有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビング株式会社による「介護に関する意識調査」結果; http://www.orixliving.jp/company/pdf/pressinfo_101029.pdf
26 第37回社会保障審議会介護保険部会資料http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x93i.html
27 介護保険見直しへ意見書 「軽度」生活援助縮小も 「重度」対象者に手厚く
中日新聞 2010年12月2日
28介護保険10年 (2010年11月30日 読売新聞)
29 家族に頼れる時代の終わり 「孤族の国」 朝日新聞2010年12月26日
30 みえ (5)熊野の母親遺棄 高齢者確認へ積極策必要 (2010年12月25日 読売新聞)
**************************************
<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」
小川孔美(埼玉県立大学)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
前号では、入居者の訴えが管理者に伝えられるまでの、7時間にわたる「時間の空白」の中で、訴えを受け止めた職員の心の中でどのような葛藤があったかをお伝えした。
今回も前号に引き続き、介護老人福祉施設であった高齢者虐待について、「施設を利用する家族の心」を中心に第2報としてお伝えしたい。
施設内で起こった高齢者虐待の事実を、情報公開は義務であるとしてこの施設は開示に徹したことは、既に前号で述べた。
高齢者虐待をしていた職員から暴力を受けたと思われる利用者の家族だけではなく、この施設の入居者と入居者の家族すべてに、「施設内における虐待事件の発生について」の報告とお詫びの文書を送付した。そこには、事態の説明責任を果たすべく、不明な点、不安な点について相談可能な窓口を設置(電話相談)したことも書かれてあった。
○この仕事をしている方達は、プロなんだから、このような事があってはいけないと思う
という意見も当然聞かれたが、施設を利用する家族からの反応は、以下のように概ね施設の対応、職員に好意的だった。
○「このような仕事についている職員は、本当に大変だと思う。先日、面会に行った時も、こまめに訪室し、よくやってくれていた。感心している。
○家で看ていた時(入所前)、私も言葉が荒くなったり、手を出しそうになったこともあった。だから、今回虐待を行ってしまった職員の気持ちもわからなくはない。
○虐待をしてしまった職員のこの先が心配だ。これを機にしっかり立ち直ってくれればよいが。
○介護中に強い抵抗があったことについては、面会に行ったときの様子からも想像できる。それだけではなく、現在では、便いじりをしたり、人に噛み付こうとするまでの症状が出ていることは、初めて知った。現状を知ることができてよかった。
○認知症だから、もう忘れているでしょう。過ぎたことだから、わざわざ問題にするつもりはない。
○今後とも、施設によろしくお願いしたいと思っている。
施設を利用する家族は、施設職員に要介護者を委ねている。
要介護者が入所するまで、様々な葛藤や困難を乗り越えながら介護をし続け、家族にとってすでに限界だからこそ入所に至っている場合や、家では他に要介護者がおり、とても二人とも看られる状態ではないため入所に至る場合、また要介護者を看る介護者不在など、世帯、家族の多様性に伴い、あらゆる理由とともに利用者の入所がある。
家族にとって、要介護者を施設に委ねることができるか、入所できない状態が続くかは、時には家族としての今を左右するほど重大なことでもある。
要介護者を看ることができないから施設に預け、職員らに、要介護者がどんなに大変な状況でも看てもらっているのだという思いが、時には負い目となり感謝の言葉となる。
また「介護」の大変さ、辛さをわかっている家族は、自身の「介護の記憶」というフィルターをとおして、虐待した職員の気持ちや苦痛をも理解しようとする側面があることを、家族の言葉から伺う事が出来る。さらには、利用者本人の認知症症状の程度によって、「記憶」が曖昧になればなるほど、「虐待」の事実はかき消されやすくなる。
虐待を受けた入居者の家族は、施設に今後のことを引き続き託しながらも、以下の言葉を述べている。
「(職員から)虐待を受けていた時、本人はどのような様子だったかを知りたいと思います。その様子から、本人の心の声を少しでも代弁できたらと思うのです。それが、家族の役目だと思うし、そこを守らなければ、誰も本人を守るものがいなくなってしまうので。」
「施設を利用する家族の心」が貴方に届いただろうか。
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か」私たちは、もう一度問い直さなければならない。
***************************************
新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
皆様、お正月をいかがお過ごしでしょうか。
No14は、10年11月末にお送りする予定でしたが、発信が年を越してしまいました。隔月にお送りできるよう、努力したいと思います。
気になった記事を<その他>に入れていきましたので、No14は、<その他>中心の号になりました。
(AS)
目次は以下のとおりです。
<エッセイ> 1本
<New Information> 2本
<家庭内虐待> 記事 6本
<施設虐待> 記事 3本
<その他> 記事 30本
(配信用ニューズレターとは異なり、本HPでは、エッセイをのぞき、すべてタイトルのみの掲示となっております)
情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
*****************目次**********************
<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」 小川孔美(埼玉県立大学)
<New Information>
1 新規アルツハイマー治療薬2品目の承認を了承―医薬品第一部会
( 2010年11月24日 22:59 キャリアブレイン )
2 介護保険改正 厚生労働省案、介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント
3『平成21 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果』
<家庭内虐待>
1 高齢者虐待:09年度162件、「経済的」が倍増 県「景気悪化要因」 /神奈川
毎日新聞 2010年9月25日 地方版
2 兵庫県 高齢者虐待 最多698件 県内昨年度 大半は家庭内 目立つ介護負担
(2010年10月27日 読売新聞)
3 殺人未遂:寝たきり母殺害未遂、50歳容疑者逮捕 搬送先で死亡--愛知・半田
毎日新聞 2010年10月26日 中部朝刊
4 寝たきり妻殺害:容疑の81歳を逮捕…千葉県警 毎日新聞 2010年11月7日
5 介護してた長男傷害容疑で逮捕 八街、暴行?父親は死亡
2010年11月06日14時46分ちばとぴ
6 東京NEWS2010<2>葛飾の介護殺人 抱え込み「疲れた」2010年12月20日
<施設虐待>
1 傷害致死:同室の93歳女性死なす 容疑で認知症の男逮捕--愛知・岡崎の特養ホーム
毎日jp 10/17
2 岡崎の特養暴行死:市と県が立ち入り 2人部屋に6人、法抵触 /愛知毎日新聞 2010年10月22日 地方版
3 認知症者 声届きにくく:県、7月の調査でつかめず(2010年12月4日 読売新聞)
<その他>
1 【長寿社会の虚実】第1部 111歳ミイラの周辺で(上) 「即身成仏になる」家族を苦しめた祖父の呪縛 (1/4ページ) 産経ニュース 2010.9.15 22:08
2 【長寿社会の虚実】第2部 地域・行政の限界(上) 「地縁、血縁には頼れない」 センサーが見守る (1/3ページ) 産経ニュース2010.9.18 21:01
3 『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題
2010年9月30日 中日新聞
4 社説:成年後見10年 長命社会守る「切り札」に 毎日新聞 2010年9月30日 2時30分
5「91歳」男性遺体、長女を逮捕=年金700万円詐取容疑-大阪府警 時事ドッドコム
(2010/10/12-17:59)
6 ニュータウンも年をとる (上)世代交流 asahicom2010年10月08日
7「お泊まりデイ」への保険適用「貧困ビジネスが飛び付く」( 2010年10月18日 22:41 キャリアブレイン )
8「生活援助を介護保険から外さないで」―市民団体が集会( 2010年08月05日 20:39 キャリアブレイン )
9 高齢者はいま…:つなげ地域の輪/下 鹿沼みまもり隊 /栃木
◇子育て世代とも連帯を 月1の訪問と報告義務 毎日jp
10 孤独死:公営団地で1191人 65歳以上は7割超
毎日新聞 2010年10月27日 2時36分(
11『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く
中日新聞 2010年9月23日
12 介護者支援の輪広がる asahi.com 2010年10月20日
13 白骨化遺体:市営住宅に 居住女性か--岐阜 毎日新聞 2010年10月19日 中部朝刊
14 ネット調査:全国で相次ぐ高齢者の不明 「国の制度機能せず」47% 毎日新聞 2010年10月21日 東京朝刊
15 一人暮らし高齢者に大学生が付き添い買い物 品川区がモデル事業 毎日jp2010.10.19 19:11
16 高齢者の見守り センターに専属コーディネーター 池尻、北沢など10カ所に配置
東京新聞2010年10月18日
17 注目集まる市民後見人 住民同士で支えるセーフティーネット 質向上へ行政の支援急務
東京新聞 2010年10月20日
18 高齢者介護向けのロボット開発進む。子や孫が遠隔操作の「テレノイドR1」や対話ロボも
東京IT新聞 記事詳細 150号 2010年10月26日 12面「特集:PICK UP! 」
19 「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会( 2010年10月22日 18:18 キャリアブレイン )
20 増える首長の成年後見制度申し立て asahi.com 埼玉2010年10月27日
21 認知症高齢者5人に1人財産被害 NHK10月27日 4時51分
22 単身高齢者の個人情報、民生委員に提供は自治体の約半数( 2010年11月01日 16:51 キャリアブレイン )
23 高齢者虐待防止講演会~講談から認知症介護と高齢者虐待を考える~
24 介護保険:「要支援」2割負担検討 生活援助の縮小も 毎日新聞 2010年10月28日 東京朝刊
25 有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビング株式会社による「介護に関する意識調査」結果; http://www.orixliving.jp/company/pdf/pressinfo_101029.pdf
26 第37回社会保障審議会介護保険部会資料http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x93i.html
27 介護保険見直しへ意見書 「軽度」生活援助縮小も 「重度」対象者に手厚く
中日新聞 2010年12月2日
28介護保険10年 (2010年11月30日 読売新聞)
29 家族に頼れる時代の終わり 「孤族の国」 朝日新聞2010年12月26日
30 みえ (5)熊野の母親遺棄 高齢者確認へ積極策必要 (2010年12月25日 読売新聞)
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<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」
小川孔美(埼玉県立大学)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
前号では、入居者の訴えが管理者に伝えられるまでの、7時間にわたる「時間の空白」の中で、訴えを受け止めた職員の心の中でどのような葛藤があったかをお伝えした。
今回も前号に引き続き、介護老人福祉施設であった高齢者虐待について、「施設を利用する家族の心」を中心に第2報としてお伝えしたい。
施設内で起こった高齢者虐待の事実を、情報公開は義務であるとしてこの施設は開示に徹したことは、既に前号で述べた。
高齢者虐待をしていた職員から暴力を受けたと思われる利用者の家族だけではなく、この施設の入居者と入居者の家族すべてに、「施設内における虐待事件の発生について」の報告とお詫びの文書を送付した。そこには、事態の説明責任を果たすべく、不明な点、不安な点について相談可能な窓口を設置(電話相談)したことも書かれてあった。
○この仕事をしている方達は、プロなんだから、このような事があってはいけないと思う
という意見も当然聞かれたが、施設を利用する家族からの反応は、以下のように概ね施設の対応、職員に好意的だった。
○「このような仕事についている職員は、本当に大変だと思う。先日、面会に行った時も、こまめに訪室し、よくやってくれていた。感心している。
○家で看ていた時(入所前)、私も言葉が荒くなったり、手を出しそうになったこともあった。だから、今回虐待を行ってしまった職員の気持ちもわからなくはない。
○虐待をしてしまった職員のこの先が心配だ。これを機にしっかり立ち直ってくれればよいが。
○介護中に強い抵抗があったことについては、面会に行ったときの様子からも想像できる。それだけではなく、現在では、便いじりをしたり、人に噛み付こうとするまでの症状が出ていることは、初めて知った。現状を知ることができてよかった。
○認知症だから、もう忘れているでしょう。過ぎたことだから、わざわざ問題にするつもりはない。
○今後とも、施設によろしくお願いしたいと思っている。
施設を利用する家族は、施設職員に要介護者を委ねている。
要介護者が入所するまで、様々な葛藤や困難を乗り越えながら介護をし続け、家族にとってすでに限界だからこそ入所に至っている場合や、家では他に要介護者がおり、とても二人とも看られる状態ではないため入所に至る場合、また要介護者を看る介護者不在など、世帯、家族の多様性に伴い、あらゆる理由とともに利用者の入所がある。
家族にとって、要介護者を施設に委ねることができるか、入所できない状態が続くかは、時には家族としての今を左右するほど重大なことでもある。
要介護者を看ることができないから施設に預け、職員らに、要介護者がどんなに大変な状況でも看てもらっているのだという思いが、時には負い目となり感謝の言葉となる。
また「介護」の大変さ、辛さをわかっている家族は、自身の「介護の記憶」というフィルターをとおして、虐待した職員の気持ちや苦痛をも理解しようとする側面があることを、家族の言葉から伺う事が出来る。さらには、利用者本人の認知症症状の程度によって、「記憶」が曖昧になればなるほど、「虐待」の事実はかき消されやすくなる。
虐待を受けた入居者の家族は、施設に今後のことを引き続き託しながらも、以下の言葉を述べている。
「(職員から)虐待を受けていた時、本人はどのような様子だったかを知りたいと思います。その様子から、本人の心の声を少しでも代弁できたらと思うのです。それが、家族の役目だと思うし、そこを守らなければ、誰も本人を守るものがいなくなってしまうので。」
「施設を利用する家族の心」が貴方に届いただろうか。
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か」私たちは、もう一度問い直さなければならない。
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2010年10月7日木曜日
日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.13
日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No13 (2010/10/2)
すっかり秋めいてきましたが、皆さま、お変わりありませんか?
この夏は熱中症も大きな心配事でしたが、所在不明高齢者の問題もいろいろなことを考えさせられる出来事でした。
New Informationでは、この問題を萩原さんが論じています。今回は、<その他>にこの問題に関する記事をたくさん入れました。
<エッセイ>は、岡野さんと小川さんにお書きいただきました。
(AS)
No13の目次は以下のとおりです。
<エッセイ> 2本
<New Information> 1本
<家庭内虐待> 記事 15本
<施設虐待> 記事 1本
<その他> 記事 30本
<お知らせ> なし
情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
本メールの配信をご希望されない方は、その旨、お知らせください。
無断転載はお断りいたします。
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<エッセイ>
「人生捨てたもんじゃない!」 岡野 美由紀(公務員)
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」小川孔美 (埼玉県立大学)
<New Information>
~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~
「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」 萩原清子(関東学院大学)
<家庭内虐待>
1 虐待気づくも市は保護せず 寝屋川転落死 Asahi.com 2010年8月27日
2 大阪・岸和田の「83歳」白骨遺体:不明の三男、5年以上介護放棄か毎日新聞 2010年9月4日 大阪夕刊
3 大阪・岸和田で民家に「83歳」白骨、年金全額引き出し 同居の三男が所在不明 (2010年9月4日 読売新聞)
4 83歳女性、胸刺され死亡=同居長女から事情聴く-茨城県警 時事ドットコム(2010/09/04-17:49)
5 80歳母放置、次男を起訴 津地検(2010年9月3日 読売新聞)
6 函館の認知症妻傷害致死:夫に懲役5年求刑--函館地裁公判 /北海道毎日JP 9月3日
7 高齢者虐待50件増270件 09年度防止法浸透で顕在化 (2010年9月3日 読売新聞)
8 府内の家庭内高齢者虐待、09年度2年ぶり増加 京都新聞【 2010年09月07日
9 愛媛県内の高齢者虐待231件、3年連続増…09年度(2010年9月10日 読売新聞)
10 「介護に疲れた」…死亡の老夫婦は心中 玉名署 くまにちコム2010年09月08日
11大牟田の夫殺害:事件前に長女が市に相談 市議会教育厚生委で報告 /福岡毎日新聞 2010年9月9日 地方版
12 認知症87歳父 暴行し死なす 傷害容疑で長男逮捕 (2010年9月14日 読売新聞)
13 豊川白骨遺体 「母は昨年5月に死亡」姉妹供述 葬式の煩わしさ動機か (2010年9月19日 読売新聞)
14 高齢者虐待被害216人 09年度 高止まり(2010年9月16日 読売新聞)
15 高齢者を経済的虐待倍増預金無断引き出し年金満額渡さず (2010年9月25日 読売新聞)
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<施設虐待>
1 高齢者虐待:氷川町の老人ホームに県が改善命令 /熊本 毎日新聞 2010年9月3日
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<その他>
1 孤立のおそれある高齢者の支援を介護保険で 首相指示 asahi.com2010年8月29日23時
2 後期高齢者の医療情報使い所在確認―厚労相 CBニュース(キャリアブレイン) (2010/08/30 )
3 首相指示受け、独居高齢者支援の検討に着手-山井政務官 CBニュース(キャリアブレイン)(2010/08/30 22:27)
4 地域包括センター、直営化やケアマネへの委譲など――傍聴レポ2 CARE MANAGEMENT on-line
5 厚労省、在宅サービスの創設提案 Silver-.news.com (2010/08/27)
6 【ゆうゆうLife】「介護できる」は幸せ?不幸?2010.8.26 13:49
7 福井市で160歳"生存" 高齢者不明問題100歳以上は963人 産経ニュース2010.8.27 03:12
8 職場定着の鍵は「介護は専門職」 宇短大・古川准教授が調査 下野新聞(8月23日 05:00)
9 時代の風:ひきこもりと所在不明高齢者=精神科医・斎藤環 ◇立ちはだかる家族の壁 毎日新聞 2010年8月29日 東京朝刊
10 高齢者不明:国の対策進まず 個人情報保護法などが壁 毎日新聞 2010年8月29日
11 医療ナビ:アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組みの異なる3種類が日本でも来年中...2010年8月31日 毎日新聞
12 社会保障「保護型」から「参加型」へ 厚労白書が提唱 Asahi.com 2010年8月29日
13 寂しい高齢者、多いのは23区―東京社会福祉士会の安心電話( 2010年09月01日 13:47
キャリアブレイン )
14 事務連絡 平成22年9月3日
各都道府県介護保険主管課(室)御中 地域包括支援センター等において地域の見守り活動等を構築していく際の支援を必要とする者に関する個人情報の取扱いについて (厚生労働省老健局振興課長)
15 「見守り活動」に限界 2010年09月03日 asahi.com
16 戸籍に現住所ない100歳以上は23万人…法務省調査(2010年9月10日 読売新聞)
17 23万人所在不明「戸籍制度は形式化」…識者指摘 yomiDr.(2010年9月10日 読売新聞)
18 2次予防廃止視野にパブコメ 地域支援事業で厚労省 背景に政官の思惑違いSilver.com (2010/09/09)
19 究・求・救・Q:不明高齢者訪ねて… 廃屋の108歳女性宅 /岡山 毎日新聞9/8 ◇ポストに名前、郵便物
20 桑名市:65歳以上が「介護ボラ」 活動に応じ交付金--来月から制度開始 /三重 毎日新聞9/9地方版
21 高齢者同士の介護に換金ポイント 富士吉田市が新事業 asahi.com2010年9月9日
22 ユーチューブからニューヨークのEMS(Emergency Medical Service Provider) の啓発ビデオ
23 男性介護者の支援組織結成 岡山の江川さんら 19日に初交流会 山陽新聞 9/13
24 今年度の満100歳、2万3269人 厚労省、面会確認 asahi.com 2010年9月14日
25 老老介護世帯、5割に認知症・・・道、支援検討の方針 (2010年9月18日 読売新聞)
26 敬老祝い、手渡ししたいけど… 人手不足・プライバシー asahi.com2010年9月19日
27 『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く 中日新聞 2010年9月23日
28 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/2 生活、老親の年金頼り 毎日新聞 2010年9月21日 東京朝刊
29 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/4 近所同士、合鍵持ち合い 毎日新聞 2010年9月23日 東京朝刊
30「所在不明問題 責任私らにも」「表彰状より施設整備を」… 100歳の主張 (1/2ページ) 2010.9.19 22:45 産経ニュース
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<エッセイ1>
「人生捨てたもんじゃない!」
岡野 美由紀(公務員)
9月18日・19日に安心づくり安全探しアプローチによる高齢者虐待防止研修に参加させて頂いた。たくさんの講義内容とワークが取り入れられた研修であった。ご本人や家族の強みに目をむけ、ともに考える。生活の中に存在するプラスの事実を、ご本人・家族から聞き出す。解決思考アプローチに基づいた実践的なアプローチ、安心づくり安全探しアプローチについて学ばせていただいた。この研修で一番最初に行われたワークについてご紹介させていただきたい。
「変な質問です。今日朝起きてから今までに人生捨てたもんじゃないと思えた出来事はありますか?」
その日の研修は10時開始。私は朝8時起床、5人家族の洗濯物を干し、朝ご飯を食べ、駅に向かい電車に乗って、会場に来た。その2時間ちょっとの間に、人生捨てたもんじゃないと思えるだろうか。なんて無茶な質問なのだろうかと思った。ワークなのでと、予定より遅く起床したがそれでも洗濯干し朝ご飯を食べて、研修に間に合ったことと、無理矢理に考えてみた。
このワークでは、要は
生活の中での「少しでも悪くないこと」(=例外)に注目をすること。気づいた「例外」を掘り下げていき、どうしてそんなことが起きたのか、どんなことがよかったのか。だれが支えてくれか。それには自分のどんなところが役だったのか。本人のお手柄として、本人に気づいてもらう。
私の場合は、朝の洗濯干しは習慣となっており、朝ご飯は多少用意されていたのは家族の支えで、平日は家族の起床時間に合わせて自分も早起きしていることを理解してくれていたのか。日常のこの習慣が強みになっていたのではと考えた。こんな些細な慌ただしい時間を、少しでも悪くない出来事とポジティブに考えるだけで、楽しく過ごせるのだということ。単純な私なので、このワーク後、自分の人生捨てたもんじゃないと思ったのである。
2日間の研修では、これ以外にもワークを行い、新たな気付きを得られ、学ばされることが多かった。研修で学んだことをどれだけ活用できるか分からないが、日々の日常の中で、本人と家族にも自分の強みを見つけてもらい「人生捨てたもんじゃない」と気づいてもらいたいと思えた研修であった。お困り事のある方の隣に寄り添って、ともに考えていけたらなと思うのである。
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<エッセイ2>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」
小川孔美 (埼玉県立大学)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
つい先日、その施設の管理者の方からお話を伺う機会があった。
伺ったお話から、少しでも多くの方に伝えたいことが数多くあったので、この場を借りてお伝えしたい。だが、紙幅の関係上、ごくわずかなことしかお伝えできないことが残念である。今回をまず第一報としたい。
その日の朝、排泄介助のためトイレ誘導した際、入居者の方が興奮気味に職員に話しかけてきたという「鼻と耳を引っ張られた、頭を叩かれた」と。
その入居者の訴えは、夕方になって、訴えを聞いた職員から、統括ユニットリーダー(以下統括UL)に申し送られ、あらためて統括ULが入居者の訴えを聞き直すことで事実を確認し、その上で訴えが管理者に伝えられたという。
お話を伺っていて、入居者から訴えがあった「朝」から、管理者に事実が報告される「夕方」までの6~7時間にわたる「時間の空白」が気になった。その「時間」は、何に費やされていたのだろうか。
最初に訴えを受け止めた職員は、日頃から入居者に対して誠実であり、周囲の職員にも気を遣いすぎるほどの人物だという。彼はその時間の空白のなかで、何を考え、何を思っていたのか。―多くのことが考えられていたが、主に4つに集約されると思われた。
①「事実を上司に報告することは"つげ口"になってしまうがどうしよう」:報告する行為についての葛藤
②「(虐待していたかもしれない職員は)このことで仕事を辞めさせられてしまうのか、生活はどうなるのか、大丈夫なのか。他の仕事で食べていけるのか」仕事仲間への配慮、気遣い
③「自分が働いている施設で虐待が発覚したということになれば、他の入居者はどのように受け止めるであろう。施設を信頼して預けている家族はどのように考えるのか、この施設で働いている自分はどうなるのだろう」施設信用、対外関係性悪化への躊躇
④「(虐待していたかもしれない)職員が本当にやったかどうか確証がつかめていない(訴えた入居者は少し認知症があるので訴えが定かでない場合がある)」虐待訴えの信憑性
およそ7時間もの間、訴えを受け止めた職員は、次の統括ULに報告するまで、誰にも相談できず、ひとりで事実を抱えこんでいた。だが、夕方の申し送り場面を利用し、試行錯誤の中、何よりも訴えた入居者のことを考え、事実を次のステップに進めた勇気に拍手を送りたい。そして、施設の管理者がこの事実について内部処理をせず、情報公開は義務であるとして開示に徹し、施設内の職員、施設全入居者とその家族、市内外各関係機関、各関係保険者、県に報告、謝罪し、さらに落ち着いた段階で、事業者連絡会にて報告を行い、問題、課題を共有した。
虐待事実を省みて、これからの施設運営、ケア体制に生かそうとする懸命な姿勢と、施設だけではどうにもならない課題が実は多く潜んでいることを、社会に知らせる必要があると考え、その行動に徹したこの施設の姿勢に心から敬意を表する。
「介護保険施設のセーフティネット(特別養護老人ホームの役割)に穴を開けてはならない。」管理者から聞くことができた大切な言葉である。あなたにも届くだろうか。
次の機会には、「施設を利用する家族の心」を中心にお伝えしたい。
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~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~
「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」
萩原清子 (関東学院大学)
1.所在不明高齢者の存在が相次いで見つかっている問題の背景
今年、100歳以上の高齢者は44,449人と過去最多を更新したと9月14日に厚生労働省は発表した。長寿を喜ぶべきだが、その裏側で今夏、高齢者の所在不明問題と年金不正受給問題が日本社会に大きな衝撃を与えた。
所在不明高齢者問題の背景には、日本福祉大学教授石川満によると①自治体が高齢者の実態を把握できない問題があり、②家族が死亡届を出さないとか、年金を不正に受給している問題がある。③として家を出てどこかで不明・死亡している可能性がある。①の問題としては、老人福祉法で市町村は「老人の福祉に関し、必要な情報の把握に努める」と実態把握の責務を明記しているものの、2000年の介護保険制度の導入で自治体の多くは福祉サービスを民間事業者など外部に任せている。介護保険によるケアマネジャーは介護保険による介護サービスを申請しない人にまで訪問することはない。90年代までは福祉事務所職員は高齢者宅を訪問し、健康状態や暮らしぶりなどを記した「個別援助台帳」を作成し、職員は必要な場合、立入調査をする権限をもっていた、という。
②と③の問題背景としては、「無縁社会」の現状と根底にある「貧困化」を指摘する論者は多い。「無縁社会」に関してはNHKがスペシャルとして本年1月に放送したところ大きな反響を呼んだ。身元が不明で引き取り手もない人は年間3万2000人にものぼり、また「生涯未婚」も増加し、「自分の家で亡くなっても、名前が分かっていても身元不明人」ということで処理される。いわゆる出稼ぎの人が故郷で親兄弟が亡くなると帰れなくなり、親族でも、つながりが薄いと引き取り拒否のケースも多い。これらの所在不明者は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(明治32年3月28日法律93号、改正昭和61年12月26日法律109号)によって扱われる。
同法第1条によると「行旅死亡人」とは、「行旅中死亡し引取者なき者を言う。住所、居所もしくは氏名知れずかつ引取者なき死亡人は行旅死亡人と見なす」と定義され、現地主義によって取扱は市町村が行い、当該都道府県が費用の最終負担を行なうことを定めている。今日の「所在不明の高齢者」も「行旅死亡人」として取り扱われることになるが、明治時代に制定された当該「取扱法」で扱うことが適切なのかどうか。
現在の所在不明の人々を、行旅死亡人という呼び方をすることは「悲惨な実態を隠してしまうように思えてならない」という新聞投書者の意見に全く同感である。同時に、高齢者の所在不明問題と家族による年金不正受給問題の根底には「貧困」の広がりがあることは論を俟たない。年金不正受給のケースではなくとも、なぜ、白骨化した遺体が押入れや、移動のたびにリュックに入れられて持ち歩かれていたのか。なぜ、死亡届が提出されなかったのか。これらのことは、家族の愛情を汲んだ制度がなかったか、または有っても機能しなかったと考えられる。
2.「無縁社会」に生きる社会の対応
現代は家族や他者とのつながりが希薄になり、たとえ親族であっても連絡を取り合わないケースは多い。NHKの取材でも明らかになったように、所在不明者の多くが地縁や血縁など社会とのつながりを失ったまま「無縁化」している。そこで何よりも必要な対応は、このような時代の変化を直視した「セーフティーネット」の構築である。しかも、一人でも暮らして行ける社会保障の整備である。現行「行旅死亡人取扱法」では、「亡くなった人の遺体の引き取りで、窓口でたらいまわし」するような公的機関の押し付け合いの現状は避けられない。
もし、医療と住宅政策がしっかりしていれば、不安定な生活層や就労層でも、親の年金を不正受給しなくてよかったのではないか。医療と住宅が約束されていれば最低限のお金や低い年金でも生活できているのではないか。年金を含めた収入のほとんどが家賃に消えたり、医療にかかりたくても病院にも行けない現状の社会的仕組みが今日の所在者不明や年金不正受給問題の背景にある。「無縁社会」を直視した社会的・法的システムとしてのセーフティネットの構築が急がれる。
3.「無縁社会に」に生きる家族の対応:葬式の出し方
なぜ、死亡届が提出されないのだろうか。一般的には、自宅で死亡した場合、警察に連絡し検視が行なわれる。従来なら地域社会が死亡後の対応を手伝ってくれただろう。しかし、現在では孤独死であったり、家族や自分たちだけで死亡後の手続きや葬式の手配をしなくてはならない。在宅死亡の体験はだれでも一生に一度か二度であろうから、どのような手順でどのような手続きをし、いくらぐらいのお金が必要か、わからない人も多いだろう。最近、身内だけの小規模葬儀や直接火葬場に運び炉前で身内や友人が別れを告げるだけの「直葬」、「家族葬」が急増しているという。
背景には「貧困」があるという。葬式を「しない」のではなく、「できない」のだという。もちろん、葬儀は「自分らしく」という葬儀の考え方の変化がある。しかし、高齢者の所在不明問題や白骨化した遺体問題の背景には、「自宅に妻の遺体を放置した」77歳の夫が「役所の手続きが面倒くさくて自宅内で死亡した妻73歳の遺体をベランダに放置した」として逮捕されたケースがある(9/21)。
今後、たとえ家族と同居していても、あるいは別居子がいたとしても、どういう風に葬式を出していくか家族としても大きな課題である。1984年、映画監督の故伊丹十三が「お葬式」という映画で、初めてお葬式を出す家族の右往左往ぶりをコミカルに描いていた。しかし、四半世紀後の現在は、葬式すら出せなくなっている。
4.長生き時代に自分でできる死に向かう準備
高齢者の所在不明問題に関しては、何よりも社会のセーフティネットの構築が急務であることを述べた。他方、長生き時代を生きるために個人として準備しなければならない行動がある。それは死に向かう準備である。老後を迎えた多くの人が、「家族に迷惑をかけたくない」と思っている。が、実際に迷惑をかけない方法を思いつき、かつ、実践している人は必ずしも多くはないであろう。死に向かう準備の一つとして「遺言書」の作成、もう一つは「献体」制度の利用をあげてみたい。
死後残された家族間のトラブル防止のために「遺言書」を自分で書ける「遺言キット」が販売されている。他方、献体制度についてだが、献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することである。「医学および歯学教育のための献体に関する法律」が昭和58年5月に国会で可決、成立し、同年11月25日より施行されている。
たとえ家族関係が良好だとしても、家族に「迷惑をかけたくない」という親世代は増加している。特別な資産・財産がなくとも自分ができる「迷惑をかけない死に向かう選択肢」の一つとして遺言書作成と献体制度の利用を提案した。かつて献体は、肉親の体を切り刻むという印象が強く、抵抗感を持つ家族も多かったと思われるが、近年のドナー登録や家族による臓器移植の承諾等により、献体に対する本人および家族の印象も変ってきているのではないだろうか。長寿が当たり前になった今日、自分らしい生き方の模索が始まっている。
〈参 考〉
Ⅰ 新政権による社会福祉施策の方向
● 政府は6月18日の閣議で日本経済の再生に向けた2020年度までの行動計画「新成長戦略」を決定し、医療・介護・健康関連産業を「成長牽引産業」に位置づけた。
● 新政権は産業構造を変えて「新しい福祉」をつくるために「強い経済、強い財政、強い社会保障」を掲げ、「高福祉・高負担」を宣言した。
● 新政府は、6月29日、2014年度以降の導入を目指す新たな年金制度について制度の一元化や最低保障年金の導入、負担と給付関係の明確化、安定的財源の確保など制度の持続可能に必要な7つの基本原則を決めた。
●
Ⅱ 時代の変化と既存福祉施策のギャップ
● 厚労省は「特養ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する取りまとめ」を発表し、特養の介護職員にたん吸引を容認する方針を認めた(3/31)。
なお、これまで特養ホーム等で一定の条件下で認めていた介護職員によるたんの吸引等の一定の行為について、グループホーム、訪問介護事業所、障害者支援施設等でも行なえるようモデル事業を実施することを決めた(8/9)。
● 厚労省「地域包括ケア研究会」は団塊世代が75歳以上となる2025年に向けた介護改革を提言。そこでは在宅サービスを優先し、施設サービスはそれを補完するものと位置づけ、24時間巡回型訪問の導入、施設類型の再編による医療法人に特養ホームの設置を認めること、介護福祉士が基礎的な医療的ケアを担うことなどを求めた(4/26)。しかし、後日開かれた「社会保障審議会介護保険部会」(6/21)では、地域包括ケア研究会の報告書内容について、「自立支援」が強調されすぎていることへの委員からの懸念の声が上がった。報告書が「自助・互助」や「自立支援」を強調しているとの懸念から「公的介護保険から離れていこうとしている」「自立支援という考え方だけでは、現実から離れている」といった声が続出したという(「福祉新聞」6/28)。
● 「高齢者住まい法」の改正により高齢者専用賃貸住宅などの高齢者の入居を拒否しないために「高齢者円滑入居賃貸住宅」について新たな床面積や設備等の登録基準を設定(
5/19)。
● 生活保護制度の老齢加算廃止は違法の判決(6/14)。北九州市在住の74~92歳の男女39人が老齢加算の減額・廃止処分は違法として、市に処分取り消しを求めた訴訟について、福岡高裁は、合憲として棄却した一審判決を取り消し、原告の逆転勝訴とした。
● 介護施設等設置の参酌標準の撤廃方針。規制・制度改革に係る対処方針が閣議決定され、介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃、特養の社会医療法人参入を可とする等の方針が示された(6/18)。
● 厚労省は「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」を設置し、在宅の高齢者が施設入所と同等の負担で同等の安心を得られるよう24時間体制の訪問看護・訪問介護の構築を目指す方策を明らかにした(6/18)。
● 地域支援事業実施要綱の一部が改正され、「特定高齢者」を「二次予防事業の対象者」に改め、介護予防ケアプランの作成の義務をなくすよう8/6より適用すると都道府県知事宛に通知した(8/6)。(Ⅱの一部は、東京都社会福祉協議会『福祉広報』各月「福祉のできごと」より引用・参照)
すっかり秋めいてきましたが、皆さま、お変わりありませんか?
この夏は熱中症も大きな心配事でしたが、所在不明高齢者の問題もいろいろなことを考えさせられる出来事でした。
New Informationでは、この問題を萩原さんが論じています。今回は、<その他>にこの問題に関する記事をたくさん入れました。
<エッセイ>は、岡野さんと小川さんにお書きいただきました。
(AS)
No13の目次は以下のとおりです。
<エッセイ> 2本
<New Information> 1本
<家庭内虐待> 記事 15本
<施設虐待> 記事 1本
<その他> 記事 30本
<お知らせ> なし
情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
本メールの配信をご希望されない方は、その旨、お知らせください。
無断転載はお断りいたします。
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<エッセイ>
「人生捨てたもんじゃない!」 岡野 美由紀(公務員)
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」小川孔美 (埼玉県立大学)
<New Information>
~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~
「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」 萩原清子(関東学院大学)
<家庭内虐待>
1 虐待気づくも市は保護せず 寝屋川転落死 Asahi.com 2010年8月27日
2 大阪・岸和田の「83歳」白骨遺体:不明の三男、5年以上介護放棄か毎日新聞 2010年9月4日 大阪夕刊
3 大阪・岸和田で民家に「83歳」白骨、年金全額引き出し 同居の三男が所在不明 (2010年9月4日 読売新聞)
4 83歳女性、胸刺され死亡=同居長女から事情聴く-茨城県警 時事ドットコム(2010/09/04-17:49)
5 80歳母放置、次男を起訴 津地検(2010年9月3日 読売新聞)
6 函館の認知症妻傷害致死:夫に懲役5年求刑--函館地裁公判 /北海道毎日JP 9月3日
7 高齢者虐待50件増270件 09年度防止法浸透で顕在化 (2010年9月3日 読売新聞)
8 府内の家庭内高齢者虐待、09年度2年ぶり増加 京都新聞【 2010年09月07日
9 愛媛県内の高齢者虐待231件、3年連続増…09年度(2010年9月10日 読売新聞)
10 「介護に疲れた」…死亡の老夫婦は心中 玉名署 くまにちコム2010年09月08日
11大牟田の夫殺害:事件前に長女が市に相談 市議会教育厚生委で報告 /福岡毎日新聞 2010年9月9日 地方版
12 認知症87歳父 暴行し死なす 傷害容疑で長男逮捕 (2010年9月14日 読売新聞)
13 豊川白骨遺体 「母は昨年5月に死亡」姉妹供述 葬式の煩わしさ動機か (2010年9月19日 読売新聞)
14 高齢者虐待被害216人 09年度 高止まり(2010年9月16日 読売新聞)
15 高齢者を経済的虐待倍増預金無断引き出し年金満額渡さず (2010年9月25日 読売新聞)
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<施設虐待>
1 高齢者虐待:氷川町の老人ホームに県が改善命令 /熊本 毎日新聞 2010年9月3日
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<その他>
1 孤立のおそれある高齢者の支援を介護保険で 首相指示 asahi.com2010年8月29日23時
2 後期高齢者の医療情報使い所在確認―厚労相 CBニュース(キャリアブレイン) (2010/08/30 )
3 首相指示受け、独居高齢者支援の検討に着手-山井政務官 CBニュース(キャリアブレイン)(2010/08/30 22:27)
4 地域包括センター、直営化やケアマネへの委譲など――傍聴レポ2 CARE MANAGEMENT on-line
5 厚労省、在宅サービスの創設提案 Silver-.news.com (2010/08/27)
6 【ゆうゆうLife】「介護できる」は幸せ?不幸?2010.8.26 13:49
7 福井市で160歳"生存" 高齢者不明問題100歳以上は963人 産経ニュース2010.8.27 03:12
8 職場定着の鍵は「介護は専門職」 宇短大・古川准教授が調査 下野新聞(8月23日 05:00)
9 時代の風:ひきこもりと所在不明高齢者=精神科医・斎藤環 ◇立ちはだかる家族の壁 毎日新聞 2010年8月29日 東京朝刊
10 高齢者不明:国の対策進まず 個人情報保護法などが壁 毎日新聞 2010年8月29日
11 医療ナビ:アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組みの異なる3種類が日本でも来年中...2010年8月31日 毎日新聞
12 社会保障「保護型」から「参加型」へ 厚労白書が提唱 Asahi.com 2010年8月29日
13 寂しい高齢者、多いのは23区―東京社会福祉士会の安心電話( 2010年09月01日 13:47
キャリアブレイン )
14 事務連絡 平成22年9月3日
各都道府県介護保険主管課(室)御中 地域包括支援センター等において地域の見守り活動等を構築していく際の支援を必要とする者に関する個人情報の取扱いについて (厚生労働省老健局振興課長)
15 「見守り活動」に限界 2010年09月03日 asahi.com
16 戸籍に現住所ない100歳以上は23万人…法務省調査(2010年9月10日 読売新聞)
17 23万人所在不明「戸籍制度は形式化」…識者指摘 yomiDr.(2010年9月10日 読売新聞)
18 2次予防廃止視野にパブコメ 地域支援事業で厚労省 背景に政官の思惑違いSilver.com (2010/09/09)
19 究・求・救・Q:不明高齢者訪ねて… 廃屋の108歳女性宅 /岡山 毎日新聞9/8 ◇ポストに名前、郵便物
20 桑名市:65歳以上が「介護ボラ」 活動に応じ交付金--来月から制度開始 /三重 毎日新聞9/9地方版
21 高齢者同士の介護に換金ポイント 富士吉田市が新事業 asahi.com2010年9月9日
22 ユーチューブからニューヨークのEMS(Emergency Medical Service Provider) の啓発ビデオ
23 男性介護者の支援組織結成 岡山の江川さんら 19日に初交流会 山陽新聞 9/13
24 今年度の満100歳、2万3269人 厚労省、面会確認 asahi.com 2010年9月14日
25 老老介護世帯、5割に認知症・・・道、支援検討の方針 (2010年9月18日 読売新聞)
26 敬老祝い、手渡ししたいけど… 人手不足・プライバシー asahi.com2010年9月19日
27 『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く 中日新聞 2010年9月23日
28 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/2 生活、老親の年金頼り 毎日新聞 2010年9月21日 東京朝刊
29 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/4 近所同士、合鍵持ち合い 毎日新聞 2010年9月23日 東京朝刊
30「所在不明問題 責任私らにも」「表彰状より施設整備を」… 100歳の主張 (1/2ページ) 2010.9.19 22:45 産経ニュース
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<エッセイ1>
「人生捨てたもんじゃない!」
岡野 美由紀(公務員)
9月18日・19日に安心づくり安全探しアプローチによる高齢者虐待防止研修に参加させて頂いた。たくさんの講義内容とワークが取り入れられた研修であった。ご本人や家族の強みに目をむけ、ともに考える。生活の中に存在するプラスの事実を、ご本人・家族から聞き出す。解決思考アプローチに基づいた実践的なアプローチ、安心づくり安全探しアプローチについて学ばせていただいた。この研修で一番最初に行われたワークについてご紹介させていただきたい。
「変な質問です。今日朝起きてから今までに人生捨てたもんじゃないと思えた出来事はありますか?」
その日の研修は10時開始。私は朝8時起床、5人家族の洗濯物を干し、朝ご飯を食べ、駅に向かい電車に乗って、会場に来た。その2時間ちょっとの間に、人生捨てたもんじゃないと思えるだろうか。なんて無茶な質問なのだろうかと思った。ワークなのでと、予定より遅く起床したがそれでも洗濯干し朝ご飯を食べて、研修に間に合ったことと、無理矢理に考えてみた。
このワークでは、要は
生活の中での「少しでも悪くないこと」(=例外)に注目をすること。気づいた「例外」を掘り下げていき、どうしてそんなことが起きたのか、どんなことがよかったのか。だれが支えてくれか。それには自分のどんなところが役だったのか。本人のお手柄として、本人に気づいてもらう。
私の場合は、朝の洗濯干しは習慣となっており、朝ご飯は多少用意されていたのは家族の支えで、平日は家族の起床時間に合わせて自分も早起きしていることを理解してくれていたのか。日常のこの習慣が強みになっていたのではと考えた。こんな些細な慌ただしい時間を、少しでも悪くない出来事とポジティブに考えるだけで、楽しく過ごせるのだということ。単純な私なので、このワーク後、自分の人生捨てたもんじゃないと思ったのである。
2日間の研修では、これ以外にもワークを行い、新たな気付きを得られ、学ばされることが多かった。研修で学んだことをどれだけ活用できるか分からないが、日々の日常の中で、本人と家族にも自分の強みを見つけてもらい「人生捨てたもんじゃない」と気づいてもらいたいと思えた研修であった。お困り事のある方の隣に寄り添って、ともに考えていけたらなと思うのである。
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<エッセイ2>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」
小川孔美 (埼玉県立大学)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
つい先日、その施設の管理者の方からお話を伺う機会があった。
伺ったお話から、少しでも多くの方に伝えたいことが数多くあったので、この場を借りてお伝えしたい。だが、紙幅の関係上、ごくわずかなことしかお伝えできないことが残念である。今回をまず第一報としたい。
その日の朝、排泄介助のためトイレ誘導した際、入居者の方が興奮気味に職員に話しかけてきたという「鼻と耳を引っ張られた、頭を叩かれた」と。
その入居者の訴えは、夕方になって、訴えを聞いた職員から、統括ユニットリーダー(以下統括UL)に申し送られ、あらためて統括ULが入居者の訴えを聞き直すことで事実を確認し、その上で訴えが管理者に伝えられたという。
お話を伺っていて、入居者から訴えがあった「朝」から、管理者に事実が報告される「夕方」までの6~7時間にわたる「時間の空白」が気になった。その「時間」は、何に費やされていたのだろうか。
最初に訴えを受け止めた職員は、日頃から入居者に対して誠実であり、周囲の職員にも気を遣いすぎるほどの人物だという。彼はその時間の空白のなかで、何を考え、何を思っていたのか。―多くのことが考えられていたが、主に4つに集約されると思われた。
①「事実を上司に報告することは"つげ口"になってしまうがどうしよう」:報告する行為についての葛藤
②「(虐待していたかもしれない職員は)このことで仕事を辞めさせられてしまうのか、生活はどうなるのか、大丈夫なのか。他の仕事で食べていけるのか」仕事仲間への配慮、気遣い
③「自分が働いている施設で虐待が発覚したということになれば、他の入居者はどのように受け止めるであろう。施設を信頼して預けている家族はどのように考えるのか、この施設で働いている自分はどうなるのだろう」施設信用、対外関係性悪化への躊躇
④「(虐待していたかもしれない)職員が本当にやったかどうか確証がつかめていない(訴えた入居者は少し認知症があるので訴えが定かでない場合がある)」虐待訴えの信憑性
およそ7時間もの間、訴えを受け止めた職員は、次の統括ULに報告するまで、誰にも相談できず、ひとりで事実を抱えこんでいた。だが、夕方の申し送り場面を利用し、試行錯誤の中、何よりも訴えた入居者のことを考え、事実を次のステップに進めた勇気に拍手を送りたい。そして、施設の管理者がこの事実について内部処理をせず、情報公開は義務であるとして開示に徹し、施設内の職員、施設全入居者とその家族、市内外各関係機関、各関係保険者、県に報告、謝罪し、さらに落ち着いた段階で、事業者連絡会にて報告を行い、問題、課題を共有した。
虐待事実を省みて、これからの施設運営、ケア体制に生かそうとする懸命な姿勢と、施設だけではどうにもならない課題が実は多く潜んでいることを、社会に知らせる必要があると考え、その行動に徹したこの施設の姿勢に心から敬意を表する。
「介護保険施設のセーフティネット(特別養護老人ホームの役割)に穴を開けてはならない。」管理者から聞くことができた大切な言葉である。あなたにも届くだろうか。
次の機会には、「施設を利用する家族の心」を中心にお伝えしたい。
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~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~
「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」
萩原清子 (関東学院大学)
1.所在不明高齢者の存在が相次いで見つかっている問題の背景
今年、100歳以上の高齢者は44,449人と過去最多を更新したと9月14日に厚生労働省は発表した。長寿を喜ぶべきだが、その裏側で今夏、高齢者の所在不明問題と年金不正受給問題が日本社会に大きな衝撃を与えた。
所在不明高齢者問題の背景には、日本福祉大学教授石川満によると①自治体が高齢者の実態を把握できない問題があり、②家族が死亡届を出さないとか、年金を不正に受給している問題がある。③として家を出てどこかで不明・死亡している可能性がある。①の問題としては、老人福祉法で市町村は「老人の福祉に関し、必要な情報の把握に努める」と実態把握の責務を明記しているものの、2000年の介護保険制度の導入で自治体の多くは福祉サービスを民間事業者など外部に任せている。介護保険によるケアマネジャーは介護保険による介護サービスを申請しない人にまで訪問することはない。90年代までは福祉事務所職員は高齢者宅を訪問し、健康状態や暮らしぶりなどを記した「個別援助台帳」を作成し、職員は必要な場合、立入調査をする権限をもっていた、という。
②と③の問題背景としては、「無縁社会」の現状と根底にある「貧困化」を指摘する論者は多い。「無縁社会」に関してはNHKがスペシャルとして本年1月に放送したところ大きな反響を呼んだ。身元が不明で引き取り手もない人は年間3万2000人にものぼり、また「生涯未婚」も増加し、「自分の家で亡くなっても、名前が分かっていても身元不明人」ということで処理される。いわゆる出稼ぎの人が故郷で親兄弟が亡くなると帰れなくなり、親族でも、つながりが薄いと引き取り拒否のケースも多い。これらの所在不明者は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(明治32年3月28日法律93号、改正昭和61年12月26日法律109号)によって扱われる。
同法第1条によると「行旅死亡人」とは、「行旅中死亡し引取者なき者を言う。住所、居所もしくは氏名知れずかつ引取者なき死亡人は行旅死亡人と見なす」と定義され、現地主義によって取扱は市町村が行い、当該都道府県が費用の最終負担を行なうことを定めている。今日の「所在不明の高齢者」も「行旅死亡人」として取り扱われることになるが、明治時代に制定された当該「取扱法」で扱うことが適切なのかどうか。
現在の所在不明の人々を、行旅死亡人という呼び方をすることは「悲惨な実態を隠してしまうように思えてならない」という新聞投書者の意見に全く同感である。同時に、高齢者の所在不明問題と家族による年金不正受給問題の根底には「貧困」の広がりがあることは論を俟たない。年金不正受給のケースではなくとも、なぜ、白骨化した遺体が押入れや、移動のたびにリュックに入れられて持ち歩かれていたのか。なぜ、死亡届が提出されなかったのか。これらのことは、家族の愛情を汲んだ制度がなかったか、または有っても機能しなかったと考えられる。
2.「無縁社会」に生きる社会の対応
現代は家族や他者とのつながりが希薄になり、たとえ親族であっても連絡を取り合わないケースは多い。NHKの取材でも明らかになったように、所在不明者の多くが地縁や血縁など社会とのつながりを失ったまま「無縁化」している。そこで何よりも必要な対応は、このような時代の変化を直視した「セーフティーネット」の構築である。しかも、一人でも暮らして行ける社会保障の整備である。現行「行旅死亡人取扱法」では、「亡くなった人の遺体の引き取りで、窓口でたらいまわし」するような公的機関の押し付け合いの現状は避けられない。
もし、医療と住宅政策がしっかりしていれば、不安定な生活層や就労層でも、親の年金を不正受給しなくてよかったのではないか。医療と住宅が約束されていれば最低限のお金や低い年金でも生活できているのではないか。年金を含めた収入のほとんどが家賃に消えたり、医療にかかりたくても病院にも行けない現状の社会的仕組みが今日の所在者不明や年金不正受給問題の背景にある。「無縁社会」を直視した社会的・法的システムとしてのセーフティネットの構築が急がれる。
3.「無縁社会に」に生きる家族の対応:葬式の出し方
なぜ、死亡届が提出されないのだろうか。一般的には、自宅で死亡した場合、警察に連絡し検視が行なわれる。従来なら地域社会が死亡後の対応を手伝ってくれただろう。しかし、現在では孤独死であったり、家族や自分たちだけで死亡後の手続きや葬式の手配をしなくてはならない。在宅死亡の体験はだれでも一生に一度か二度であろうから、どのような手順でどのような手続きをし、いくらぐらいのお金が必要か、わからない人も多いだろう。最近、身内だけの小規模葬儀や直接火葬場に運び炉前で身内や友人が別れを告げるだけの「直葬」、「家族葬」が急増しているという。
背景には「貧困」があるという。葬式を「しない」のではなく、「できない」のだという。もちろん、葬儀は「自分らしく」という葬儀の考え方の変化がある。しかし、高齢者の所在不明問題や白骨化した遺体問題の背景には、「自宅に妻の遺体を放置した」77歳の夫が「役所の手続きが面倒くさくて自宅内で死亡した妻73歳の遺体をベランダに放置した」として逮捕されたケースがある(9/21)。
今後、たとえ家族と同居していても、あるいは別居子がいたとしても、どういう風に葬式を出していくか家族としても大きな課題である。1984年、映画監督の故伊丹十三が「お葬式」という映画で、初めてお葬式を出す家族の右往左往ぶりをコミカルに描いていた。しかし、四半世紀後の現在は、葬式すら出せなくなっている。
4.長生き時代に自分でできる死に向かう準備
高齢者の所在不明問題に関しては、何よりも社会のセーフティネットの構築が急務であることを述べた。他方、長生き時代を生きるために個人として準備しなければならない行動がある。それは死に向かう準備である。老後を迎えた多くの人が、「家族に迷惑をかけたくない」と思っている。が、実際に迷惑をかけない方法を思いつき、かつ、実践している人は必ずしも多くはないであろう。死に向かう準備の一つとして「遺言書」の作成、もう一つは「献体」制度の利用をあげてみたい。
死後残された家族間のトラブル防止のために「遺言書」を自分で書ける「遺言キット」が販売されている。他方、献体制度についてだが、献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することである。「医学および歯学教育のための献体に関する法律」が昭和58年5月に国会で可決、成立し、同年11月25日より施行されている。
たとえ家族関係が良好だとしても、家族に「迷惑をかけたくない」という親世代は増加している。特別な資産・財産がなくとも自分ができる「迷惑をかけない死に向かう選択肢」の一つとして遺言書作成と献体制度の利用を提案した。かつて献体は、肉親の体を切り刻むという印象が強く、抵抗感を持つ家族も多かったと思われるが、近年のドナー登録や家族による臓器移植の承諾等により、献体に対する本人および家族の印象も変ってきているのではないだろうか。長寿が当たり前になった今日、自分らしい生き方の模索が始まっている。
〈参 考〉
Ⅰ 新政権による社会福祉施策の方向
● 政府は6月18日の閣議で日本経済の再生に向けた2020年度までの行動計画「新成長戦略」を決定し、医療・介護・健康関連産業を「成長牽引産業」に位置づけた。
● 新政権は産業構造を変えて「新しい福祉」をつくるために「強い経済、強い財政、強い社会保障」を掲げ、「高福祉・高負担」を宣言した。
● 新政府は、6月29日、2014年度以降の導入を目指す新たな年金制度について制度の一元化や最低保障年金の導入、負担と給付関係の明確化、安定的財源の確保など制度の持続可能に必要な7つの基本原則を決めた。
●
Ⅱ 時代の変化と既存福祉施策のギャップ
● 厚労省は「特養ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する取りまとめ」を発表し、特養の介護職員にたん吸引を容認する方針を認めた(3/31)。
なお、これまで特養ホーム等で一定の条件下で認めていた介護職員によるたんの吸引等の一定の行為について、グループホーム、訪問介護事業所、障害者支援施設等でも行なえるようモデル事業を実施することを決めた(8/9)。
● 厚労省「地域包括ケア研究会」は団塊世代が75歳以上となる2025年に向けた介護改革を提言。そこでは在宅サービスを優先し、施設サービスはそれを補完するものと位置づけ、24時間巡回型訪問の導入、施設類型の再編による医療法人に特養ホームの設置を認めること、介護福祉士が基礎的な医療的ケアを担うことなどを求めた(4/26)。しかし、後日開かれた「社会保障審議会介護保険部会」(6/21)では、地域包括ケア研究会の報告書内容について、「自立支援」が強調されすぎていることへの委員からの懸念の声が上がった。報告書が「自助・互助」や「自立支援」を強調しているとの懸念から「公的介護保険から離れていこうとしている」「自立支援という考え方だけでは、現実から離れている」といった声が続出したという(「福祉新聞」6/28)。
● 「高齢者住まい法」の改正により高齢者専用賃貸住宅などの高齢者の入居を拒否しないために「高齢者円滑入居賃貸住宅」について新たな床面積や設備等の登録基準を設定(
5/19)。
● 生活保護制度の老齢加算廃止は違法の判決(6/14)。北九州市在住の74~92歳の男女39人が老齢加算の減額・廃止処分は違法として、市に処分取り消しを求めた訴訟について、福岡高裁は、合憲として棄却した一審判決を取り消し、原告の逆転勝訴とした。
● 介護施設等設置の参酌標準の撤廃方針。規制・制度改革に係る対処方針が閣議決定され、介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃、特養の社会医療法人参入を可とする等の方針が示された(6/18)。
● 厚労省は「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」を設置し、在宅の高齢者が施設入所と同等の負担で同等の安心を得られるよう24時間体制の訪問看護・訪問介護の構築を目指す方策を明らかにした(6/18)。
● 地域支援事業実施要綱の一部が改正され、「特定高齢者」を「二次予防事業の対象者」に改め、介護予防ケアプランの作成の義務をなくすよう8/6より適用すると都道府県知事宛に通知した(8/6)。(Ⅱの一部は、東京都社会福祉協議会『福祉広報』各月「福祉のできごと」より引用・参照)
2010年8月2日月曜日
日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.12
暑中お見舞い申し上げます
尋常ではない暑さですね。みなさま、体調のほうはいかがですか?
熱中症でお亡くなりになるお年寄りが増えています。残念です。
私も遠くで一人暮らしを続けている叔母や母に、水分をこまめにとるよう、しょっちゅう電話をかけて言っています。うるさがられていますけれど。
111歳の方の事件、今後も起きそうな事件です。それにしても区の対応には首をかしげざるを得ません。関連記事を<その他>に載せています。
まだしばらく猛暑が続きそうです。どうぞ、ご自愛ください。
本ニューズレターは一部映らない部分があります。また、横長で読みにくい可能性もありますので、同じものを添付ファイルでお送りします。
(AS)
No12のコンテンツは以下のとおりです。
<エッセイ> 1本
<New Information>2本
<家庭内虐待> 記事7本
<施設虐待> 記事5本
<その他> 記事8本
<お知らせ> 1
***********************************************************************************
目次
<エッセイ>
1 「タイムシートの意外な活用法」 楠本 聡(団体職員)
<New Information>
1 「レビー小体型認知症について」 佐藤美和子(日本高齢者虐待防止センター)
2 「アルツハイマー病治療のあらたな可能性」金子善彦 (日本高齢者虐待防止センター)より提供
<家庭内虐待>
1 東金の母絞殺に猶予刑 地裁判決 千葉日報 2010年05月28日20時46分
2 介護に嫌気?83歳母親殴り意識不明 (2010年6月2日10時55分 読 売新聞)
3 睡眠薬…寝たきり妻絞殺の夫に猶予判決 介護20年など考慮 産経ニュース2010.6.14
4 無理心中で母親死なす、「介護疲れ」62歳息子 (2010年6月13日13時45分 読 売新聞)
5 「老老介護」殺人、妻に執行猶予つき判決 裁判員裁判Asahi.com 2010年6月25日
6 母絞殺 息子に懲役9年 裁判員会見 「裁く重み痛感」(2010年7月3日 読売新聞)
7 傷害致死に懲役5年 裁判員裁判 (2010年7月2日 読売新聞)
<施設虐待>
1 千葉・特養老人ホーム虐待:改善命令で千葉市長「遺憾」 /千葉
毎日新聞 2010年5月28日 地方版
2 施設入所の女性に暴行 傷害容疑で23歳介護福祉士逮捕 asahi.com2010年5月25
3 若き介護士の悪意なき軽率行為、虐待でないが…(2010年5月25日05時34分 読 売新聞)
4 NPO法人全国抑制廃止研究会は、厚生労働省の委託を受けて実施した「介護保険関連施設の身体拘束廃止に向けた基礎的調査」をまとめ、報告書を発表Care Management online
5動画投稿問題:老人施設を一部業務停止処分 三重県松阪市 毎日新聞 2010年7月1日
<その他>
1 障害者向け小規模多機能の生活介護を全国展開へ 医療介護CBニュース キャリアブレイン 20100609
2 高齢も障害も横断的にケアラー連盟が発足 ”介護者支援”の法制化目指して Silver-News.com. (2010/06/10)
3「介護で退職」26% 要介護家族アンケートで 2010/06/22 17:22 【共同通信】
4 ○厚生労働省老健局振興課 地域包括支援センター全国担当者会議
5 111歳ミイラ化“名ばかり高齢者”他にもいる? (1/2ページ) 産経ニュース
6 「母の年金もらえなくなる」 庭に死体を埋めた50歳無職男を逮捕 産経ニュース
7 自宅のゴミの山に…母の遺体1年間放置 41歳「年金ほしさ」 産経ニュース
2010.3.2 11:55
8 93歳母の遺体を半年放置 66歳の息子を逮捕 長野・諏訪 産経ニュース
2010.2.5 08:22
<お知らせ>
養護者との関係づくりに焦点をあてた「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)による高齢者虐待防止研修」開催のご案内
本アプローチは、解決志向アプローチと安全サインアプローチをもとにしたものです。
関係づくりにおける基本的な考え方と面接技法を中心としたワークショップを、9月18日、19日、東京秋葉原ダイビルにて行います。
詳細は、本ニューズレターの一番最後に掲載してありますのでごらんください。
**************************************
<エッセイ1>
「タイムシートの意外な活用法」
楠本 聡(団体職員)
去る6月13日、INPEAの「世界で高齢者虐待防止について考える日」のイベントの、ワークショップ「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」に参加させていただいた。
高齢者・介護者の生活状況とニーズの把握に始まり、高齢者・介護者との関係づくりや介護者・支援者自身の気づきをもたらすことのできるタイムシートについて、学ばせていただいた。
ワークショップ後半では、隣の席の参加者と2人ひと組になりロールプレイを行った。テーマは「忙しい私の一日」。支援者役が、相手がどのような一日を過ごしているかを聞き取り、要約とフィードバックを行い、ねぎらいや相手の「強み」への気付きを促すといった内容だ。
私の隣に座った参加者は、妻だった。ワークショップの時間ぎりぎりに会場に来た私たちは、空いている席に横並びに座っていたのだ。離れて座るべきだった、と気付いたのはワークショップが始まったあと。ほぼ満員の会場ではもう席の移動もできない。
初めは私が支援者役。妻の生活を起床から順に聞いていく。もともと介護職だった妻は、結婚を機に仕事を辞め、今は専業主婦である。普段家で日中何をしているのか、そういえば改めて聞く機会もなかった。
妻は、私より30分早く起床し、弁当を作り、私を見送ったあとはごみ出し、洗濯をしてから朝食を摂る。あまりしていないのでは、と勝手に思っていた掃除も、毎日ではないがしてくれていた。夕食のための買い物も、なるべくいろいろなかたちで野菜を摂れるようにと工夫して、食材を選んでくれていた。
世間の感覚では当たり前のことなのかもしれないが、2人で仕事をしていた頃には考えられないような妻の専業主婦ぶりに、頭が下がった。
こんな機会でもなければ、しっかりと聞くこともなかっただろう妻の一日。ロールプレイのまとめのプロセスでは、思わず自然にお礼が出てしまった。
本来は虐待対応のためのタイムシートが、私たちの場合はお互いの生活を知り、感謝の念を新たにする助けになった。余計なことかもしれないが、2人の会話がなくなりつつある夫婦には、とても有効なツールなのではないだろうか。
夫婦関係でも介護者と支援者の関係でも、普段無意識に分かったつもりでいる自分自身や相手のことを改めて理解するためには、何かの仕掛けやツールが必要なのかもしれない。本来の目的から若干それてしまったタイムシートのロールプレイだったが、他にも応用できる分野があるのかもしれない…と思うのは私だけでしょうか?
**************************************
<New Information1>
レビー小体型認知症について
佐藤美和子(日本高齢者虐待防止センター)
最近、認知症の原因疾患についてメディアで紹介されることが多くなりました。その中でも、以前にはあまり知られていなかった病気であるレビー小体型認知症について解説させていただきます。
認知症は、認知機能低下を主症状とする症状群の総称で、その原因となる疾患は70種類に及ぶと言われています。わが国で一番多いのはアルツハイマー型認知症(50%前後)、次いで脳血管性認知症(20~30%)、レビー小体型認知症(10%前後)、その他と考えられています。欧米では、アルツハイマー型認知症に次いで多いそうです。レビー小体型認知症が浮上してきたのは、疾患自体が増加したのではなく、いままで確定診断が難しかったからだと思われます。
レビー小体型認知症の脳には、レビー小体という特殊な物質が中枢神経系に見られます。この物質が大脳皮質に出現すると認知症になり、脳幹中心に現れるとパーキンソン病になります。よってレビー小体型認知症にはパーキンソン症状が付随しやすく、パーキンソン病はレビー小体型認知症になりやすいということになります。何故、この物質が脳内に現れるのかについてはまだ不明です。先日のTV番組では、脳だけではなく心臓などの身体の他の部分にも痕跡があり、検査で発見できるとの報告もありました(この検査は結構費用がかかるそうですが…)。
レビー小体型認知症も、認知症ですから必ず認知機能の低下が現れ、徐々に進行していきます。しかし初期には物忘れなどの認知機能の低下が目立たず、他の症状が先行します。前述したパーキンソン症状以外に、幻視、認知の変動、睡眠時の異常行動などがあります。幻視とは実際に見えないものが本人にはありありと見えている状態で、その対象の多くは小動物(ねずみ、虫など)や人です。幻視をきっかけに作話や妄想が起きることもあります。また、日や時間帯によって頭がはっきりしているときと、ボーっとしているときが入れ替わったり、夜中に突然起き上がって騒ぐ、怖い夢を見るといった症状も見られます。
原因がわかっていないため、完治に至る治療法はまだ発見されていません。症状を緩和させる治療法として、アルツハイマー型認知症の治療薬である塩酸ドネペジル(アリセプト)は、認知機能の低下や幻覚・妄想に対して効果があるといわれていますが、まだ医療保険適用されていません。また、幻覚やそれに伴う不安や妄想症状に対し、ある種の抗精神病薬を使用すると、過剰に反応して悪化する危険があります。最近は、抑肝散という漢方薬が、副作用が少なく効果のある薬として注目されています。
介護認定審査の際、認定調査票の記述などから明らかに幻視、パーキンソン症状などがあるのに、認知症の原因疾患の確定診断が行われていないケースがあり、そのため専門医の受診を促すことがあります。認知症の原因疾患についての知識の有無とそれに則した対応により、認知症者の予後も変わるのではないかと思われます。
<お知らせ>
解決志向アプローチをもとにした「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)による高齢者虐待防止研修」開催のご案内
「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)」による高齢者虐待防止研修
「安心づくり安全探しアプローチ(AAA):スリーエー)」による高齢者虐待防止研修は、高齢者虐待事例への関わり方・関係づくりの方法に焦点を当てた防止研修です。
本研修を受けていただきたいのは、居宅介護支援事業所ケアマネジャー・地域包括支援センター職員・行政職員等の実践家のみなさんです(大学教員、大学院生の方の応募は、定員に空きがある場合に限らせていただきます)。
2010年度 第1回研修
日時:2010年9月18日(土)、9月19日(日)
場所:東京秋葉原 秋葉原ダイビル1202 首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
アクセス:JR「秋葉原駅」徒歩1分、つくばエキスプレス「秋葉原駅」徒歩2分、
東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩約5分、東京メトロ銀座線「末広町駅」
徒歩5分
研修内容:
<1日目>
午前 10:00~12:30
スリーA(安心づくり安全探しアプローチ)の基本的考え方:(講義)
解決志向アプローチの理解(講義とワーク)
午後 13:30~17:00
スリーAによる高齢者虐待の相談通報時面接(講義とワーク)
相談関係を築きにくい利用者についての理解(ワークと解説)
<2日目>
午前 9:30~12:30
支援の糸口をみつけるタイムシートの活用法(講義とワーク)
プランニングにむけた安心づくりの方法(ワーク)
午後 1:30~4:30
機関用・話合い用プランニング・シートの作成および活用法(ワーク)
解決志向的援助者になる秘訣
本研修では、「安心づくり安全探しアプローチ」をより実践的に使いやすいものにしていくため、また、その有用性を評価するために、アンケートへのご協力をお願いする予定です。アンケートは研修当日と、後日郵送によるものを考えております。なお、研修当日は、500円の資料代をいただきます。
お申し込みは、AAAのホームページからお願いします。
AAAのホームページ:
AAAのブログ:
安心づくり安全探しアプローチ(AAA)研究会 代表 副田あけみ(首都大学東京)
土屋典子(立正大学)
長沼葉月(首都大学東京)
2010年5月25日火曜日
日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.11
夏が来たり、早春に戻ったり、、、地球温暖化のせいでしょうか、世界のあちこちが異常気象のようです。気候不順やこれからやってくる梅雨にめげないよう、体調管理をいたしましょう!
ニューズレターが文字化けすることもありますので、以下と同じものを添付ファイルでもお送りします。
No11の目次は以下のとおりです。
<エッセイ> 渡邊さん、梶川さん
<家庭内虐待事例> 記事 11本
<施設虐待> 記事6本
<その他> 14本
★★<INPEA(INTERNATIONAL NETWORK for the PREVENTION OF ELDER ABUSE)日本国委員会による第5回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」の記念イベント &
「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」ワークショップ同時開催のお知らせ!>
来る6月13日 日曜日1:30~です。
INPEAのサイトに詳細と申込方法が書いてあります。ぜひ、ご覧ください!
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<エッセイ>
「私の心配ごと」渡邊 洋平(団体職員)
「10年目のウォンツリスト」梶川義人(日本高齢者虐待防止センター)
<家庭内虐待>
1)娘に介護の悩み伏せ 岩槻で夫絞殺容疑の妻逮捕 毎日新聞2010年3月27日
2) 介護する実母への傷害致死罪に執行猶予 Asahi/com
3)自殺:入院の母刺され重傷、息子死亡 介護疲れか--東京・羽村の病院
毎日新聞 2010年4月21日 東京夕刊
4) 和歌山で夫婦と祖母死亡…無理心中か
(2010年4月19日16時14分 読 売新聞
5)<夢の跡>番外編 婚期逃す男の介護 中日新聞2010年4月19日
6)探’10:札幌の75歳夫、78歳妻と無理心中 認知症、介護支援の壁に
◇独りで担い、行き詰まる?
毎日新聞 2010年5月1日 北海道朝刊
7) 「介護に疲れ母親殺した」 娘自首、殺人容疑で捜査 2010/04/28 14:07 【共同通信】
8) 理心中?:85歳女性、首絞められ死亡 夫「介護疲れた」--相模原 /神奈川
毎日新聞 2010年5月7日 地方版
9)殺人未遂:母親の首絞める 容疑で62歳長男逮捕--上田署 /長野
毎日新聞 2010年5月19日 地方版
10) 老老介護殺人 元中学校長に懲役2年 東京新聞 2010年5月18日
11) 介護施設長、75歳母つねる…日常的に虐待か (2010年5月18日15時53分 読 売新聞)
<施設虐待>
1)【栃木】裸など撮影『不適切』 医療法人「北斗会」理事長が謝罪 東京新聞2010年4月20日
2) 虐待?:入所94歳、急性腎不全で死亡 体にすり傷--愛知・一宮の施設
毎日新聞 2010年4月24日 東京夕刊
3)宇都宮・老人施設虐待疑惑:首にオムツ、撮影も 市改善勧告調査内容 /栃木
毎日新聞 2010年5月1日 地方版
4)真岡病院:准看護士、患者の顔携帯で撮影 同僚に見せる 厳重注意し謝罪 /栃木
毎日新聞 2010年5月8日 地方版
5) 病院でも身体拘束禁止を 高齢者虐待、法改正求める2010/05/13 16:45 【共同通信】
6)介護施設で高齢者3%拘束 8千人が“虐待”状態か 共同2010年5月19日 22時57分
<その他>
○厚生労働省 第3回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携による
ケアの在り方に関する検討会(2010.03.25)資料http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05Kaig.nsf/vAdmPBigcategory20/FD28DFB200065E62492576F500075F1D?OpenDocument
2) )改正介護保険法が成立 特養入所措置 「当分の間延長」 
(2010/04/01) Siver-news.com
3)高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官
2010年4月14日 16時28分
4)今後10年現行のままなら介護保険「維持できない」87% 全市町村 読売調査
5)専門社会福祉士認定制度
6)<セカンドらいふ>認知症支援 地域つなぐ『サポート医』2010年4月21日7)特集ワイド:孤独な死、あなたなら? 推計年間2万人超、このうち65歳未満3~4割 毎日JP20100419
8) 神奈川:無届け老人ホーム 規制と現実、悩み深く /神奈川 ◇事故防止狙い実態を調査 県が全国最多に 毎日新聞 2010年4月25日 地方版9)孤独死防止へ住民主体の「見守り」活動広がる、自 治体も後押し/神奈川(かなころ:神奈川コミュニティサイト)
10) 身寄りない認知症高齢者、首長の後見申請急増(2010年5月2日03時14分 読 売新聞)
11) 高齢者にやさしくし隊:登録、半年で467件に上る--大垣市 /岐阜
毎日新聞 2010年5月8日 地方版
12) 市民後見人:育てて 支援・養成、自治体の7% 毎日新聞 2010年5月11日 東京夕刊13) 【介護保険制度】 ○厚生労働省老健局総務課 介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集の結果について(2010.05.15公表)
14)<看取りビジネス>(1) 巧妙、公金から暴利 中日新聞「介護社会」取材班
14)<看取りビジネス>(1) 巧妙、公金から暴利 中日新聞「介護社会」取材班
2010年5月3日
以上の情報は、主に「市民福祉情報」から得ています。
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<エッセイ>1
「私の心配ごと」
渡邊 洋平(団体職員)
この仕事をしていると、時折、信じられないような「ゴミ屋敷」に出会います。
ご本人はにこにこと暮らしているのですが、一体どこで寝ているのだろうと疑問に思うほどのお家なのです。認知症の方で、片づけられなくなってというのならわかるのですが、どうもそうではない様子。
一 方、まったく掃除をしていないようなお家にいくこともあります。いたるところが汚れてはいるのだけども、物がすくなくてとてもすっきりとしたお家も中には あります。こうしたお家はゴミ屋敷にはなりません。どうも、日常の掃除をする能力とそのお家が「ゴミ屋敷」になってしまうという現実との間にはそんなに相 関関係がないようにおもいます。
多くの高齢者の方々は、お家をとてもきれいにしていて、掃除のできない私はいつも感心するのですが、そんな方たちでも応接間を一歩離れると、隣の部屋は物でいっぱい(ゴミ屋敷予備軍です)。何かの拍子に本当にゴミ屋敷にならないか心配になります。
お そらく、掃除をする能力があったとしても、物を捨てられる能力というのが備わっていないとゴミ屋敷になる可能性はとても高いのでは、というのが私の感想で す。そして、認知症になる、ならないにかかわらず掃除をする能力も物を捨てる能力も加齢とともにだんだんと下がってくるようです。いつか捨てるからではお そいのです。でも、物さえ捨てておけば「ゴミ屋敷」にはならないわけです(あたりまえですが)。
さ て、我が家にこのことを当てはめてみると、妻は掃除をする能力に長けていますが、物を捨てる能力はありません。私には掃除をする能力はありませんが、物を 捨てる能力はぴか一です。夫婦二人で一人前なわけですが、上の理論を適用すると、一人暮らしになった時にゴミ屋敷になるのは妻のほうになるわけです。妻の 荷物を眺めるたびに、物を捨てられない人に物を捨てるように勧めることはなんと難しいのかと日々感じております。
「ゴミ屋敷」予防には物を捨てる力を身に つけることと日々妻に言っているのですが、妻は全く意に介さず、さっきも逆に脱いだ靴下は洗濯機に入れるように怒られてしまいました。私の心配はうまく伝 わらないようです。いやはや、いやはや。
「ゴミ屋敷」予防には物を捨てる力を身に つけることと日々妻に言っているのですが、妻は全く意に介さず、さっきも逆に脱いだ靴下は洗濯機に入れるように怒られてしまいました。私の心配はうまく伝 わらないようです。いやはや、いやはや。
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<エッセイ>2
「10年目のウォンツリスト」
梶川義人(日本高齢者虐待防止センター)
私が高齢者虐待の問題に取組むべく当センターで活動するようになり10年がたつ。あっという間に過ぎた感もあるが、家庭内虐待に関する全国調査、モデル事 業、専門学会の設立、高齢者虐待防止法の施行と法にもとづく対応の展開、施設内虐待に関する全国調査など、案外たくさんのことがあった。介護殺人や施設内 虐待の事例など思い出深い報道も少なくない。他ならぬ当センターも法人化し、今では、法改正に向けた議論がなされている。思えば遠くへ来たものだ。
しかし、国全体としてみれば、先進的な自治体がようやく取組みのマネジメントサイクルの二巡目にさしかかったに過ぎない。実態調査、体制づくり、防止計画 の立案と実施、その検証など、ひととおりの段階を経てマニュアルを改訂している一握りの自治体がある一方、多くの自治体はその途上にある。従事者による虐 待に関してはさらに進みは遅く、多くは、はじめの一歩すら踏み出してない。つまり、感慨にふけるには時期尚早で、すべきことが山積しているわけである。
そこで、10年目の私のウォンリスト(欲しいもの一覧)を記しておきたい。
1つめは、事例の実態と対応の実情に関する情報である。虐待発生のしくみを解明し、成功事例と失敗事例から教訓を得、よりより対応方法を考えたいからである。できれば、全国の事例を集めたデータベースを構築したい。
2つめは、常勤職員である。いくら大志を抱いても、素人が参考書片手に総務、労務、財務にあたっているようでは、センターの発展はおぼつかない。一人でよいから常勤者がほしい。
3つめは、自社ビルである。会議も、相談も、研修も、そして事務も、いちいち場所を借りなくても済むようにしたい。
4つめは、お金である。先立つもとして、今、最も欲しいものかもしれない。そのせいか、事業仕分けのニュースを見聞きするたびに、「そんな巨額を無駄に遣っているなら、こっちにまわしてくださいよ!」と、いつも心のなかで叫んでいる。
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2010年3月25日木曜日
INPEA(日本国委員会による第5回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」の記念イベント &「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」ワークショップ同時開催のお知らせ!
INPEAの6月恒例のイベントを時開催いたします。合わせて、日本高齢者虐待防止学会会員によるワークショップを開催します。ふるってご参加ください
なお、会場が狭いため、参加者は先着70名とさせていただきます。下記連絡先まで、参加希望者のお名前(と所属のある方はご所属)を電子メールか、ファックスでお知らせください(会場のスペースの都合上、お断りする場合にのみ、お返事をさしあげます。ファックスでお申し込みの方は、ご連絡方法をお教え下さい。なお、こちらからお断りの返事がない限り、ご参加できます)。お申し込み締め切りは、5月31日(月)です。
日 時:
2010年6月13日(日)
13:30~15:00 INPEA第5回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」イベント
15:15~17:00 「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」のワークショップ
場 所:
東京 秋葉原ダイビル1202号 首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
東京都千代田区外神田1-18-13
JR「秋葉原駅」徒歩1分、つくばエキスプレス「秋葉原駅」徒歩2分
東京メトロ銀座線「末広町駅」徒歩5分
大きな地図で見るにはこちらをクリック
参加費:
1500円
(要事前登録)
参加資格:
高齢者虐待にご興味のある方ならどなたでもご参加いただけます。お申し込み締め切りは、5月31日(月)です。
INPEA第5回WEAAD記念イベント内容:
◆ご挨拶:多々良紀夫(淑徳大学大学院総合福祉研究科教授)
◆基調講演(60分間):遠藤英俊(国立長寿医療センタ-包括診療部長) 「高齢者虐待防止と認知症」
◆第5回世界で高齢者虐待防止について考える日(WEAAD)参加者の意見交換
ワークショップ:
◆虐待対応の糸口をつかむタイムシート
土屋典子(立正大学) 副田あけみ(首都大学東京)
タイムシートの説明と活用法のワークです
連絡先:
◆首都大学東京 副田研究室
soe@tmu.ac.jp fax:042-677-2124
◆INPEA日本国委員会 日本大学 塚田研究室
tsukada.noriko@nihon-u.ac.jp fax:03-5275-8386
なお、会場が狭いため、参加者は先着70名とさせていただきます。下記連絡先まで、参加希望者のお名前(と所属のある方はご所属)を電子メールか、ファックスでお知らせください(会場のスペースの都合上、お断りする場合にのみ、お返事をさしあげます。ファックスでお申し込みの方は、ご連絡方法をお教え下さい。なお、こちらからお断りの返事がない限り、ご参加できます)。お申し込み締め切りは、5月31日(月)です。
日 時:
2010年6月13日(日)
13:30~15:00 INPEA第5回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」イベント
15:15~17:00 「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」のワークショップ
場 所:
東京 秋葉原ダイビル1202号 首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
東京都千代田区外神田1-18-13
JR「秋葉原駅」徒歩1分、つくばエキスプレス「秋葉原駅」徒歩2分
東京メトロ銀座線「末広町駅」徒歩5分
大きな地図で見るにはこちらをクリック
参加費:
1500円
(要事前登録)
参加資格:
高齢者虐待にご興味のある方ならどなたでもご参加いただけます。お申し込み締め切りは、5月31日(月)です。
INPEA第5回WEAAD記念イベント内容:
◆ご挨拶:多々良紀夫(淑徳大学大学院総合福祉研究科教授)
◆基調講演(60分間):遠藤英俊(国立長寿医療センタ-包括診療部長) 「高齢者虐待防止と認知症」
◆第5回世界で高齢者虐待防止について考える日(WEAAD)参加者の意見交換
ワークショップ:
◆虐待対応の糸口をつかむタイムシート
土屋典子(立正大学) 副田あけみ(首都大学東京)
タイムシートの説明と活用法のワークです
連絡先:
◆首都大学東京 副田研究室
soe@tmu.ac.jp fax:042-677-2124
◆INPEA日本国委員会 日本大学 塚田研究室
tsukada.noriko@nihon-u.ac.jp fax:03-5275-8386
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