柿やりんごがおいしい季節となりました。みなさん、お元気ですか?!
民主党政権になって、ニュースをよく見るようになりました。みなさんはいかがでしょう?
No8には、萩原さんと玉井さんからエッセイを寄せていただきました。
みなさんにお知らせしたい出来事や情報がありましたら、ぜひ、およせください。お待ちしています。asoeda@jcom.home.ne.jp
<エッセイ>
1:「新しい段階に入った高齢者虐待への対応」 萩原 清子
2:「「虐待対応におけるチームワークと支援体制」玉井 理加
<新聞記事>
1)高齢者虐待:県内認定件数が急増 防止法浸透で表面化か /鹿児島
2)【栃木】高齢者に虐待 4割増 82%が女性の被害者
3)傷害:施設介護士を逮捕 84歳入居者への容疑--札幌
4)高齢者虐待:過去最多 加害者、半数が息子 232人、8割以上が女性 /栃木
5)行き場なく…認知症の長期入院急増 実態把握、後手に
6)男子禁制!!ロッカールーム:第14回 崖っぷちの妻たち娘たち=篠田節子
7)介護の娘と心中図った91歳母に猶予刑 福岡地裁久留米支部
8)「地域型介護」浸透に“壁” 「小規模多機能」導入から2年半
9)若年性認知症コールセンターの開設について
10)高齢化反映トラブル複雑 遺言・相続センター1年
11)札幌・特養老人ホーム虐待:職員損賠訴訟 最高裁が審理を高裁に差し戻し
以上、出典:メイル・ミニコミ「市民福祉情報」
<関連情報>
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2) 都内の特養、3分の1に外国人従事者-東社協調査(キャリアブレイン)
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<エッセイ1>
「新しい段階に入った高齢者虐待への対応」
萩原 清子
(高齢者虐待防止センター)
最近の情勢を見るにつけ、何か社会が動いているように思えて仕方がない。それもワクワク感をもって現在から未来を展望したくなるようなそんな気持ちの高揚感である。その典型は、アメリカ大統領にオバマさんが選ばれたこと。しかも、彼の演説がアメリカ国民のみならず世界の大衆をひきつけ、ノーベル平和賞にも繋がったという驚き。
同様に、わが国では、初めて政権交代が選挙により行われ、これまでの政治手法に大きな変化が期待されることである。9月4日発売の英国誌『エコノミスト』は民主党の圧勝について「日本を変えた投票」の見出しで「国民は自民党のみならず、戦後一貫して続いてきた政治体制を打倒した」として日本の政治文化に大きな変化が生じる可能性があり、有権者は古いシステムを拒否し、「開かれた、説明責任を果たせる政府」を求める意思表示を行ったと新聞記事は伝えた。
このような論評を待つまでも無く、政権交代直後の街の様子、とりわけスーパーマーケットの買い物客にも、何かウキウキと華やいだ様子が見受けられたのは気のせいだろうか。もちろん、過去最悪の失業率、ワーキングプアーの増大、ボーナス・賃金カット等労働環境の悪化は看過しえない現実である。それにも拘わらず、社会は動き、時代は変わる、否、変えることが出来るという実感を一市民として経験している「今」を大事にしたいと思う。
翻って福祉の領域に眼を転じると、障害者自立支援法の廃止、後期高齢者医療制度の見直し、生活保護指標の見直し等、矢継ぎ早に重い福祉課題の再検討に手が付けられるようだ。また、障害者虐待防止法案も国会に提出されたが先の衆議院解散・総選挙の煽りで廃案となったが、弁護士の平田 厚氏は障害者に特有な虐待問題の立法化にあたっては、虐待の定義に「人格的虐待」を含めて再定義すべきと意見を述べている。さらに、障害者の家庭内虐待に対して「介護ストレス」を正当化させて、経済的虐待を扱ってはならないとも述べ、家庭内虐待の場合には介護者支援法たる性格を持たせなければならないとする。
これらの動きに加えて、欧米先進諸国では殆ど問題視されていない家族による「介護殺人(未遂)」や「介護心中(未遂)」といった「究極の虐待」問題がなぜ後を絶たないのだろうか。介護をめぐって家族が「犯罪者」となりかねないわが国の介護状況こそ、高齢者虐待の基本問題である。家族介護者を「犯罪者」にしない対応こそ「防止法」の役割である。
そんな中、介護殺人(未遂)や介護心中(未遂)事件が5月21日スタートした裁判員制度の事案として9月8日、山口地裁と神戸地裁で扱われ市民に身近な介護問題を素人の裁判員らがどのように判断するかが問われた。結果、「介護疲れ」に注目が集まり、「福祉的な視点」から執行猶予・保護観察付きの実刑回避がなされた。
しかし、「介護疲れ」を肯定し、「やむを得ない現状」、「立派に介護した家族」を根拠に執行猶予の温情判決が「福祉的視点」なのだろうか。「防止法」にうたっている実効性のうすい「養護者支援」策を根本的に洗い直すと同時に、「虐待」の再定義化も今後の課題と考える。虐待対応も新しい段階に入ったといえよう。
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<エッセイ2>
「虐待対応におけるチームワークと支援体制」
玉井 理加
(行政機関)
現在自治体の高齢者に関わる部署に所属しているため、虐待の通報を受け事例に関わることが日々の業務の中で少なくない。
18年度以前、18年度当初は通報が少なく、また職員も手探りでの対応であった。
しかし、最近は関係者が不適切な状況に気づき然るべき機関に相談できるようになってきており、年々通報が増え緊急的な対応や調整が必要な事例が多くなってきている。
今年度は経済的な問題を抱える家族の事例が多く、養護者が高齢者の年金や財産にぶら下がり自立できないまま経過し、最終的に経済的な分離をするために成年後見制度申し立てに至るケースが増えている。
本人を養護者から分離し、その後経済的な分離をした際の養護者の反応はやはり大きく支援チームの中に緊張が走る場面も多い。
養護者の反応や攻撃的な発言や高齢者本人の状態の変化等もあるため検討を重ね、場合によってはスーパービジョンを受けながら対応をしているのが現状である。
そういった対応を通し直接支援に関わる専門職だけでなく、措置・申し立て等事務的な対応を行う事務方と事例の抱える課題の理解や支援者の認識等のすりあわせが不可欠であると感じる。それは課内にとどまらず庁内での連携においても重要である。
虐待事例は直接事例に対応する委託先包括支援センターや課内の専門職チームと、法的な根拠をもって行政的な対処をする担当チームが同じ方向性を持たないと支援を続けることは辛く厳しいものとなる。長期的な支援が必要な事例も多く、精神的な負担が大きいためメンタル面も含め組織のサポート体制は不可欠であると感じる。
経験や知識の蓄積はまだまだ自治体としてこれからであり、異動等で担当が代わった場合も変わらない体制で継続的な支援ができるのか不安である。
自治体に任された重要な役割を果たすためには自治体内だけの体制整備では限界があり、都・国もまた具体的な支援体制を整え基盤整備を図る必要があると一現場職員として業務に関わりながら日々感じている。
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