日本高齢者虐待防止センター電話相談

2011年11月17日木曜日

施設虐待を考える 日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No19

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年11月号

施設虐待を考える

副田あけみ(関東学院大学)

先日、ある新聞社の記者さんから、電話取材を受けました。施設虐待は、なぜ夜間に起きるのか、という質問でした。実際には、福祉施設ではなく病院で起きた事件で、女性職員が高齢者を叩いた場面を監視カメラが写していた、というものでした。

その事件が起きた病院は、日ごろから施設虐待にかんする研修を行っており、病院長は、「これ以上(防止策を)やるとしたら、監視カメラを増やすしかない」というようなことを言っていたそうです。これを聞いて「ええ??」と言ってしまいました。

施設職員による虐待の場合、支援対象である認知症の高齢者が何か癪に障ることを言ったからとか、面倒をかけたから、カットなって、という衝動的な暴力行為という例はさほど多くないのではないかと思います。

家族とは異なり、職員は、日ごろ、高齢者と情緒的に親密な関係にあるわけではないので、つい感情が爆発してしまうということはあまりない。エイジズム(高齢者差別や侮蔑)の態度・行動を採る職員は論外ですが、それを除けば、職場で孤立していたり、孤独な職員が、ストレス発散をもっとも弱い高齢者に向けて行ってしまった、ということが多いのではないでしょうか。

日ごろから同僚や上司と円滑なコミュニケーションをとることができない、自分のケアの仕方や高齢者への接し方がこれでいいと思っているわけではないけれども、他人から注意されると素直に聞くことができない。そうなると、周囲の人々も「大丈夫かなあ」と不安に思っていても、声掛けや注意を控えるようになってしまう。そうなると、当人はますます孤立し、ストレスをため込んでしまいかねない。そして、つい、、、

では、適切とは思えない態度やケアの方法について、同僚や上司はどうやって注意すればよいのでしょう?

「あの人のケアはちょっとねえ」と言ってしまいそうな人にも、「あら、この点はまあまあじゃない?」「悪くないね」と思える点はあるはず。日ごろから、そうした点を意識して探すようにし、見つけたときには、その場で、あるいは、後から「よく気づいたね」とか、「そのやり方はどうやってみつけたの?」「私もやってみようかな」といった直接的、間接的に肯定的な評価を行う。こうした声掛けは、コミュニケーションを促すはずです。

こうした職員同士、比較的円滑なコミュニケーションが行われている職場ならば、すべてとはいいませんが、かなりの不適切な介護や虐待を未然に防げるのではないでしょうか?

2011年10月9日日曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No18

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年10月号

パリの高齢者から学んだこと

日本高齢者虐待防止センタースタッフ 松丸 真知子

約20年ほど前にパリに6年住んでいた時のことですが、今ではパリで日本人と見るとこちらがフランス語で話しても英語で答えてくる程、殆どの場所で英語が通じますが、当時は本当にフランス語しか通じませんでした。

余談ですが、よく、フランス人は英語を知っていても自国の言葉にプライドを持っているので知らない顔をするのだ。と言われていましたが、私の経験からは本当に簡単な英語さえ分からない人が殆どでした。

私は夫の仕事の関係で住んでいたので、いわゆる高級住宅地と言われるパリの16区に住まわせてもらっていました。

私の印象はパリの人々、特に16区に住まうフランス人は、意地悪で嫌な人が殆どでした。スノッブでエレベーターで顔を合わせても知らん顔。ちょっとそこまで郵便を出しに行くにも男性はきちんとジャケットを着て帽子をかぶって行くのが普通でした。

私が朝、すっぴん、ジーンズで子供を学校へ送って、エレベーターを待っていると、どこかの家のお手伝いさんに「あなたは何階で働いているの?」とよく聞かれるくらい、常にきちんとした身なりをすることが必要でした。

パリのマルシェというと、野菜や果物を美しく積み上げ、肉屋も魚屋も商品をきれいにディスプレーしていることで有名です。パリに住んだ当初は言葉が分からなかったので、マルシェでの買い物は苦労しました。ある日ピーマンを買いに行った時、ピーマンのフランス語が分からないのでそこにあったピーマンを「これちょうだい」といった風につかんだら「さわるな!!」とえらく怒られました。

そして別のピーマンを袋に入れてくれたのでお金を払って家に帰ってみると、腐ったのを入れられていました。トマトを1キロ買えば必ず2,3個は使えないのが入っていることは普通で、しばしば「フランス人とはなんて意地悪なのか。」と暗い気持ちになりました。

このまま何年もパリに住んでそんなことにもなじんで、自分もそうなってしまったら、日本に帰った時は鼻つまみになっているとさえ思いました。

長くパリに住んでいる日本人の方に聞くと、そういうことは当たり前で、ぼやぼやしていないでしっかり見て「それはだめ。他のにして」と言わない方が悪いと言われました。

島国の日本と違って、ヨーロッパは地続きで、侵略の歴史だから自分のことは自分で守らなければならない文化が浸透しているのだとも言われました。全くその通りで、きちんと主張しなければ、どうでもよいように思われて、いいようにされてしまうということはあちこちで体験し、相手から嫌な顔をされることもありません。

パリの朝は早く、早朝から人々は働き始めます。ある朝、子供を学校へ送って行く途中、杖をついて歩くのもやっと、といった風情のやせて小さな老婦人が八百屋の前を通りかかるのを見かけました。すると、突然老婦人が杖を振り上げて怒鳴りだしたました。

八百屋の台車に乗せた果物の箱が通りすがりに老婦人をかすったようでした。老婦人は歩道に仁王立ちとなり、道行く人々が振り返るほどの大声で怒鳴り、台車に高く積み上げている果物の木箱を力いっぱい押し倒し、辺りはリンゴが散乱しました。

その勢いに、八百屋の若者もなすすべなく道路に散乱したリンゴを懸命に拾い集めていました。私に腐ったピーマンを売りつけた若造が・・・・。

もう1人、近所に住む老婦人をご紹介します。

彼女は私の友人と同じアパートの一室に1人で暮らしていました。ずっと独身でしたが、西欧の高齢者に多いのですが、足がひどく腫れて歩くことが困難になっていました。もうかなり高齢でしたので、友人は毎朝彼女の部屋のカーテンが開けられるかどうかで安否確認をしていました。

彼女の家には若者からお年寄りまでたくさんの人が出入りをしていました。殆どがボランティアで、外出に付き添う人、本を読む人、話し相手、おつかいをする人、その他、短時間で一つのことだけやって帰るボランティアが何人も出入りしていました。

私の友人は夕方自分がおつかいに行くときに、声をかけて頼まれたものを買ってきていましたが、ある日頼まれた買い物をして持って行きましたが、「私が頼んだものはこれではなくて、別のものだから取り替えてきてほしい。」と言われたそうです。

又、おしゃべりをしに訪ねた時に、お茶がほしいと言われたので、入れて渡すと「私のお茶のカップはこれでない。」と言われて正しいカップに入れなおしたというエピソードを話してくれました。

このようにきちんと自分のやり方を伝えてもらえると気持ちがいいと、友人は言っていました。

私が泣かされたパリで、「最後まで堂々と自分らしく生きること」が普通になっていることと、それを尊重して少しの時間でも進んで自分のできることを提供し、支える人達がたくさんいることを知り、パリの人も捨てたものではないと見直しました。

フランス語でVolontaireは、自ら進んでするという形容詞で、志願兵の意味もあることは周知のことですが、Volontiersは「喜んで」又は「快く」の意味の副詞です。

日本でも、特に近年はボランティア活動が活発に行われてたくさんの方達が参加しています。私もボランティアをさせていただいていますが「ありがとう」と言われる時は「やっててよかった」と思える瞬間ですが、「そうじゃなくてこうして欲しい」「違う」と言われたときに、自分がどんな姿勢で活動をしているかが問われます。

ボランティア活動だけでなく、仕事でも、日常生活の中でも、どこかで「やってあげている」という気持ちを持っていないか、また「やってもらっている」という気持ちを持たせていないかを、常に自分自身で振り返らなければならないと感じます。

2011年8月23日火曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No17

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年8月号

高齢者虐待予防における被害者学からの学び

埼玉県立大学 小川孔美

2011年7月30日土曜日、第8回日本高齢者虐待防止学会が茨城県水戸市で開催された。
大会テーマは「地域発、高齢者虐待防止」。

大会長基調報告として茨城大学教授瀧澤利行先生から「地域における高齢者虐待防止の研修体制―茨城の試み」、教育講演として「市町村における高齢者虐待防止体制を強化するための評価のあり方」について黒田研二先生(関西大学人間健康学部教授)、水上然先生(神戸学院大学講師)、津村智恵子先生(甲南女子大学看護リハビリテーション学部教授)から、またシンポジウムでは副田あけみ先生(関東学院大学文学部教授・当センター理事)、結城康博先生(淑徳大学総合福祉学部准教授)、大山典宏様(埼玉県福祉部社会福祉課)により「社会的貧困の状況と虐待防止のあり方」が活発に議論された。

また、被害者学という高齢者虐待防止とは異なる研究分野から常磐大学大学院被害者学研究科の長井進先生による特別講演「被害者学からみた高齢者虐待」が行われた。紙幅の関係もあるため、多くに触れることはできないが、本稿ではこの講演について以下に紹介したい。

 ラテン語のvictimaから派生したvictim(被害者)の原義は、「神に捧げる生け贄」であり、英語としては15世紀末に登場した。「他者から負傷、拷問または殺害の被害を受けた人」という意味でのvictimという語は1650年代に初めて記録されている。被害者学(victimology)とは「被害者の研究(Fattah, 2005)」、すなわち「犯罪と、犯罪および被害者化への反応を含む、人権侵害に起因する被害者と被害者化に関する科学的研究(Kirchhoff, 1994)」である。

 刑法および刑法と密接な関係を有する犯罪学の主たる関心は犯罪および犯罪者にあり、被害者にはなかった。犯罪学者のハンス・フォン・ヘンティッヒ(Von Hentig, H.)(1948)の「犯罪のデュエット構造duet frame of crime」なる考えが被害者学の出発点となった。

 エレンベルガー(Ellenberger, E.)(1954)は『犯罪者と被害者の間の心理学的関連』を著し、両者間の相互的影響と役割逆転を含む概念の重要性を強調した。メンデルソーン(Mendelsohn, B.)(1956)は研究誌を創刊し、独立した学問としての被害者学の基礎研究を行った。また、長期的展望を見据え、被害防止が被害者学の主要な目標であることを強調した。その後、被害者学に関する国際会議等が開催され、多くの研究誌が発行されてきた。今日、被害者学に関する国際研究施設がオランダや日本に設立され、研究や研修等に貢献している。フライ(Fry, M.)が1950年代に新聞紙上で犯罪被害者の直面する過酷な現実を訴えたのを契機に、1964年以降、国家による犯罪被害補償制度が徐々に創設された(日本では、1980年に犯罪被害者等給付金支給法が制定された)。

1970年代における女性解放運動の影響で女性の犯罪被害者の窮状が明らかにされ、犯罪被害者支援という新たな関心の的が実を結び始めた。1980年代に、被害者学は被害者化の原因論に関する学術研究から、被害者化への対策論(人道主義に基づく制度改革運動)へと転換して行った。その点に関して、1979年に創設された世界被害者学会(World Society of Victimology)(UNとEUに諮問資格を有する)の功績は大きい。1985年の国連犯罪防止会議にて「国連被害者人権宣言」が採択されたのを機に、数多くの国で被害者の基本的権利を認めるための法制化が進んで行った。1990年、日本被害者学会が創設された。もはや被害者にもたらされる深刻な影響を考慮に入れずに、犯罪を考えることはできない。合理的な刑事政策には犯罪被害者に関する知識が不可欠である。

 ファタ(Fattah, 2005)によれば、被害者学は理論被害者学、応用被害者学、臨床被害者学に分類される。一方、ウェマーズ(Wemmers, 2009)によれば、刑事被害者学、一般被害者学、人権被害者学に分類される。

 被害者学における今日の日本の問題として宮澤(2004)は、①犯罪原因としての被害者というとらえ方から第二次被害者化防止対策、第三次被害者化防止対策へと大きく転換しており、②被害者補償、心理的支援、被害者の権利・法的地位の確立を含む犯罪被害者等への支援活動の充実化が進んでいるが、③個人レベルの紛争解決の限度をはるかに超えたテロ、権力者の犯罪、国際経済犯罪等の新たな犯罪現象に対抗するに十分な法制度や対策が整備されていない、としている。

 「犯罪被害者等基本法」は2004年12月に成立し、2005年4月1日に施行された。国・地方公共団体が講ずべき多様な基本的施策を犯罪被害者等の視点に立って実現することによって、その権利や利益の保護が図られる。内閣府(犯罪被害者等施策推進室)は犯罪被害者白書を発行するのみならず、精力的に多様な施策を推進してきた。現状として、地方公共団体による認識や取り組みを改善する余地がある。

被害者となった心的外傷体験の中核は「無力化」と「離断」である。人生の初期から、発達の段階においてケアを与えてくれる存在と培ってきた「基本的信頼」を土台とした安心感、個人と社会とが結びついているという結合感覚、信頼感が破壊され、社会全体に対する不信をもたらす。
被虐待者にも同じことが言えよう。

犯罪被害と同様、虐待、被虐待も、いつ誰の身に起こっても全く不思議ではない誰もしたくない経験である。他人ごととは考えず自分の身に起こったら、自分の家族・友人の身に起こったらということを考え、傷ついた人たちの心の痛みを理解しようとする気持ちを大切にしなければならない。

暴力のサイクル、危険な兆候とは何か、被害者対応のヒント、DV被害からの回復過程など、高齢者虐待予防において参考となる知見が多く大変勉強となった。

御自身の体験をもふまえながら、高齢者虐待防止法は病院にはあてはまらないことに言及し、「無力で客観的な認識が無い認知症高齢者をも本当の意味で支える法の確立を」と熱く語られた。「法律はつくられても、人の心はなかなか変われない」と指摘する長井先生の言葉とともに胸に残った。


参考文献 
  1. Fattah, E. (2005). Victimology (pp.1724-1728). In Wright, R.A. & Miller, J.M.  Encyclopedia of Criminology. Volume 3. New York: Routrigde.
  2. 宮澤浩一(2004). 被害者学 氏原寛・亀口憲治・成田喜弘・東山紘久・山中康裕(共編)心理臨床大事典[改訂版] 培風館pp.1216-1219
  3. 諸澤英道(1998).新版被害者学入門 成文堂
  4. 長井進(2004).犯罪被害者の心理と支援 ナカニシヤ出版 
  5. 長井進(2011).被害者学からみた高齢者虐待「第8回日本高齢者虐待防止学会(JAPEA)茨城大会 抄録集」pp.22-23.
  6. Wemmers, J.A. (2009). A short History of Victimology. In Hagemann, O., Schafer, P. & Schmidt, S. (Eds.) Victimology, Victim Assistance and Criminal Justice.  Department of Social Work and Cultural Sciences, Niederrhein University of Applied Sciences.
  7. Office for Victims of Crime (2008). In their own words: Domestic abuse in later life. U.S. Department of Justice.

※御紹介

今年2011年6月17日には第6回 World Elder Abuse Awareness Day (日本では「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」と呼ばれる)国際会議がロンドンで行われた。

そのなかで、高齢者虐待をもっと多くの人に考えていただくために、ミュージシャンであるJeff Beam 氏が歌を披露している。題は“Can’t You Feel the Curve of the Earth?
とても素敵な曲なので、皆様にもご紹介したい。
わが国でもこんなアピールもあるとよい。

2011年7月3日日曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No16

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年7月号

認知症高齢者の介護と「虐待」

佐藤美和子

高齢者虐待の被虐待者には、要介護者、認知症高齢者が多いことはよく知られている。
認知症高齢者への「虐待」対応の難しさとして、ご本人が虐待されていることを認識し、助けを求めることができるかどうか、またご本人の発言をそのまま事実として周囲が理解してよいかという、問題がある。また、認知症高齢者自身に、介護拒否や介護者に対する攻撃行動、妄想などの心理・行動症状などが見られ、介護者から一方的に虐待行為がなされていると判断できない場合もある。

 認知症高齢者の立場に立った場合、自分の行動に対する介入の多くが、自分の思うように動きたい、生活したいという欲求への制限である。周囲の状況が分からない方にとって、「お風呂ですよ」という声かけも理解できず、突然服を脱がされ、お湯をかけられる恐怖は、「虐待」に他ならないかもしれない。自分は昔どおりのことを行っているつもりなのに、家族から「それは違う」「何やっているんだ」と叱責され、「しつけ」とばかりに子どものように指導される心痛はいかばかりだろう。

逆に、介護者の立場に立った場合、認知症を患った高齢者の行動は、安定した生活や健康を害するものであったり、危険であったりして介入をせざるを得ない。「あなたのために」支援しているにもかかわらず、理解してもらえない、介護を拒否する、言う事を聞かない、泥棒扱いされる、攻撃される、といった経験が続くと、介護者は心身ともに疲弊してしまう。怒りや報復の気持ちが沸き起こってしまうこともあるだろう。これは家族介護者だけでなく、施設で働く介護専門職でも同様である。逆に介護者が怪我をするなど被害を受ける場合も多く報告されている。

介護拒否の強い認知症高齢者に対しては、介護すると「心理的・身体的虐待」となり、介護しないと「ネグレクト」になる、というジレンマを感じている介護者も多いと思われる。また、自分の身の安全も確保しなくてはならないという課題も抱えている。

この問題を解決するには、認知症高齢者の生命と身体の安全、健康を守りつつ、身体的・心理的負担を与えないような介護技術が必要であるが、まだ発展途上であるといえるだろう。介護のプロであっても、個々に試行錯誤しながら工夫しているのが現状である。実は、「家庭における養護者の虐待があるから、分離して高齢者施設に入所させればすべて解決」とはいえず、新たに施設においても継続する可能性もゼロではないのである。

認知症高齢者がどのような気持ちで行動し生活しているのか、何故介護拒否が起きるのかなど心理面での理解と、高齢者も介護者も負担の少ない介護方法の開発と普及が早急に望まれる。

2011年6月1日水曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No15

JCPEAニューズレター 2011年6月号

2011年度は、3月11日に発生した未曾有の震災と原発事故のなか、始まりました。震災で犠牲になられた方の多くが高齢者であったと報道もあり心が痛みます。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、罹災された方々へ、心よりお見舞い申しあげます。私たちひとりひとり、何ができるのかを考えていきたいものです。

JCPEAニューズレターでは、本センターのメンバーが、皆さまに、個々の関心や、センター外での活動も含め、メッセージをお届けします。今回の担当は梅崎です。

先日、石巻の福祉避難所で活動してきました。石巻市立病院が被災し、遊楽館というスポーツセンターで石巻市立病院の医師を含む医療職が頑張っていたところを、被災地外からの医療関係者が後方支援しているものです。私の所属する日本医療社会福祉協会(旧日本医療社会事業協会)も、早期から医療ソーシャルワーカーを派遣し、石巻市立病院のソーシャルワーカーをバックアップしています。

高齢者はストレスが身体化しやすく、うつ状態で一時的に判断能力が低下することも予想されるので、避難所退所後に、身体能力が低下して助けを呼べなくなる、詐欺や横領などの被害にあうこと等が懸念されました。また同居家族ともにうつ状態になり、攻撃的になると、家族とのいさかいが家族間暴力に発展する危険性も予感されました。様々な意味で、継続的に支援していくことが重要だと思いました。

さて私は、高齢者虐待の社会的要因に関心を持っているものですが、社会的な高齢者虐待とも言うべき介護負担からの心中事件、殺人事件について、警察庁による報道がありましたので、ご紹介します。山井厚労政務官は「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討」「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示したそうです。

「高齢者による殺人が急増」 
( 2011年01月17日  キャリアブレイン )

警察庁はこのほど、昨年の「刑法犯認知・検挙状況について」(暫定値)をまとめた。それによると高齢者による殺人が急増しており、中でも「介護・看病疲れ」が動機の2位になっていることが分かった。

まとめによると、昨年の殺人の検挙数は前年比2.5%減の1067件(14歳未満による殺人などを含む)で、戦後最少を更新。ただ検挙数を年齢別に見ると、14―19歳が13.3%減の39件、20―64歳が6.8%減の730件だったのに対し、65歳以上は22.3%増の175件だった。65歳以上による殺人の動機を見ると、「憤怒」が72件で最も多く、次いで「介護・看病疲れ」30件、「怨恨」28件、「生活困窮」6件と続いた。

「高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官 」
( 2010年04月14日 キャリアブレイン )

「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)の見直しについて、厚生労働省の山井和則政務官は4月14日の衆院厚生労働委員会で、「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討している」と述べた。古屋範子氏(公明)の質問に答えた。

2006年4月施行の高齢者虐待防止法は、施行後3年をめどに、課題があれば見直しを行うことが規定されている。古屋氏の「在宅の介護者は心身共に限界。高齢者の短期受け入れ施設の拡充や、24時間体制の相談窓口設置などが必要」との指摘に対し、山井政務官は「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目。指摘された手法を含めて、さまざまな方法が考えられる」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示した。

また、山井政務官は「今までの(在宅介護支援)サービスは使い勝手が良くなかった」と指摘。在宅の介護計画などを作成するケアマネジャーについて、「必要書類が多過ぎて現場で使える時間が少ない。改善を検討している」と述べた。施設の介護従事者の処遇改善については、「賃金を引き上げ、介護従事者が誇りを持って一生働けるようにすることが必要だと考えている」とした。

■医療従事者による虐待含むのは「大きな議論」

古屋氏は、同法にある介護者や介護施設従事者による虐待についての規定以外にも、医療機関や無届け施設従事者による虐待についての規定を含めるよう求めたが、山井政務官は「医療機関については大きな議論なので、政府としても考えている」と述べるにとどまった。

高齢者虐待の立ち入り調査について、古屋氏は「立ち入り調査要件に『高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている恐れ』が含まれているため、現場では立ち入り調査する判断に苦労している」とし、この要件を含まない児童虐待防止法と同程度の規定に改めるよう求めた。これに対し、山井政務官は「実態を把握する必要があるので議論していきたい」と答えた。

■「セルフネグレクト」は対象外

生きる気力を失った高齢者や認知症の高齢者による自己放任行為「セルフネグレクト」について、古屋氏は高齢者虐待の定義に新たに加える必要があると指摘。これに対し山井政務官は、「(「身体的虐待」など現状の定義と)同じ類型には入らないと考える。ただ、放置すべき問題ではない」と述べた。

2011年1月4日火曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No14

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No14

新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

皆様、お正月をいかがお過ごしでしょうか。
No14は、10年11月末にお送りする予定でしたが、発信が年を越してしまいました。隔月にお送りできるよう、努力したいと思います。
気になった記事を<その他>に入れていきましたので、No14は、<その他>中心の号になりました。
(AS)

目次は以下のとおりです。

<エッセイ> 1本
<New Information> 2本
<家庭内虐待> 記事 6本
<施設虐待> 記事 3本 
<その他> 記事 30本
(配信用ニューズレターとは異なり、本HPでは、エッセイをのぞき、すべてタイトルのみの掲示となっております)


情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。

*****************目次**********************

<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」 小川孔美(埼玉県立大学)

<New Information> 
1 新規アルツハイマー治療薬2品目の承認を了承―医薬品第一部会
( 2010年11月24日 22:59 キャリアブレイン )
2 介護保険改正 厚生労働省案、介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント
3『平成21 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果』

<家庭内虐待> 
1 高齢者虐待:09年度162件、「経済的」が倍増 県「景気悪化要因」 /神奈川
毎日新聞 2010年9月25日 地方版
2 兵庫県 高齢者虐待 最多698件 県内昨年度 大半は家庭内 目立つ介護負担 
(2010年10月27日  読売新聞)
3 殺人未遂:寝たきり母殺害未遂、50歳容疑者逮捕 搬送先で死亡--愛知・半田
毎日新聞 2010年10月26日 中部朝刊
4 寝たきり妻殺害:容疑の81歳を逮捕…千葉県警  毎日新聞 2010年11月7日 
5 介護してた長男傷害容疑で逮捕  八街、暴行?父親は死亡
2010年11月06日14時46分ちばとぴ
6 東京NEWS2010<2>葛飾の介護殺人 抱え込み「疲れた」2010年12月20日


<施設虐待> 
1 傷害致死:同室の93歳女性死なす 容疑で認知症の男逮捕--愛知・岡崎の特養ホーム
毎日jp 10/17
2 岡崎の特養暴行死:市と県が立ち入り 2人部屋に6人、法抵触 /愛知毎日新聞 2010年10月22日 地方版
3 認知症者 声届きにくく:県、7月の調査でつかめず(2010年12月4日  読売新聞)

<その他>
1 【長寿社会の虚実】第1部 111歳ミイラの周辺で(上) 「即身成仏になる」家族を苦しめた祖父の呪縛 (1/4ページ)  産経ニュース 2010.9.15 22:08
2 【長寿社会の虚実】第2部 地域・行政の限界(上) 「地縁、血縁には頼れない」 センサーが見守る (1/3ページ)  産経ニュース2010.9.18 21:01
3 『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題
2010年9月30日  中日新聞
4 社説:成年後見10年 長命社会守る「切り札」に  毎日新聞 2010年9月30日 2時30分
5「91歳」男性遺体、長女を逮捕=年金700万円詐取容疑-大阪府警  時事ドッドコム
(2010/10/12-17:59)
6 ニュータウンも年をとる (上)世代交流  asahicom2010年10月08日
7「お泊まりデイ」への保険適用「貧困ビジネスが飛び付く」( 2010年10月18日 22:41 キャリアブレイン )
8「生活援助を介護保険から外さないで」―市民団体が集会( 2010年08月05日 20:39 キャリアブレイン )
9 高齢者はいま…:つなげ地域の輪/下 鹿沼みまもり隊 /栃木
◇子育て世代とも連帯を 月1の訪問と報告義務  毎日jp
10 孤独死:公営団地で1191人 65歳以上は7割超  
毎日新聞 2010年10月27日 2時36分(
11『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く
中日新聞  2010年9月23日
12  介護者支援の輪広がる  asahi.com 2010年10月20日
13 白骨化遺体:市営住宅に 居住女性か--岐阜 毎日新聞 2010年10月19日 中部朝刊
14 ネット調査:全国で相次ぐ高齢者の不明 「国の制度機能せず」47%  毎日新聞 2010年10月21日 東京朝刊
15 一人暮らし高齢者に大学生が付き添い買い物 品川区がモデル事業 毎日jp2010.10.19 19:11
16 高齢者の見守り センターに専属コーディネーター 池尻、北沢など10カ所に配置
東京新聞2010年10月18日
17 注目集まる市民後見人 住民同士で支えるセーフティーネット 質向上へ行政の支援急務
東京新聞 2010年10月20日
18 高齢者介護向けのロボット開発進む。子や孫が遠隔操作の「テレノイドR1」や対話ロボも
東京IT新聞 記事詳細 150号 2010年10月26日 12面「特集:PICK UP! 」  
19 「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会( 2010年10月22日 18:18 キャリアブレイン )
20 増える首長の成年後見制度申し立て  asahi.com 埼玉2010年10月27日
21 認知症高齢者5人に1人財産被害  NHK10月27日 4時51分
22 単身高齢者の個人情報、民生委員に提供は自治体の約半数( 2010年11月01日 16:51 キャリアブレイン )
23 高齢者虐待防止講演会~講談から認知症介護と高齢者虐待を考える~
24 介護保険:「要支援」2割負担検討 生活援助の縮小も 毎日新聞 2010年10月28日 東京朝刊
25 有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビング株式会社による「介護に関する意識調査」結果; http://www.orixliving.jp/company/pdf/pressinfo_101029.pdf
26 第37回社会保障審議会介護保険部会資料http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x93i.html
27 介護保険見直しへ意見書 「軽度」生活援助縮小も 「重度」対象者に手厚く
中日新聞 2010年12月2日
28介護保険10年  (2010年11月30日  読売新聞)
29 家族に頼れる時代の終わり 「孤族の国」 朝日新聞2010年12月26日
30 みえ (5)熊野の母親遺棄 高齢者確認へ積極策必要 (2010年12月25日  読売新聞)



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<エッセイ>

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」

小川孔美(埼玉県立大学)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。

前号では、入居者の訴えが管理者に伝えられるまでの、7時間にわたる「時間の空白」の中で、訴えを受け止めた職員の心の中でどのような葛藤があったかをお伝えした。

今回も前号に引き続き、介護老人福祉施設であった高齢者虐待について、「施設を利用する家族の心」を中心に第2報としてお伝えしたい。

施設内で起こった高齢者虐待の事実を、情報公開は義務であるとしてこの施設は開示に徹したことは、既に前号で述べた。

高齢者虐待をしていた職員から暴力を受けたと思われる利用者の家族だけではなく、この施設の入居者と入居者の家族すべてに、「施設内における虐待事件の発生について」の報告とお詫びの文書を送付した。そこには、事態の説明責任を果たすべく、不明な点、不安な点について相談可能な窓口を設置(電話相談)したことも書かれてあった。

○この仕事をしている方達は、プロなんだから、このような事があってはいけないと思う

という意見も当然聞かれたが、施設を利用する家族からの反応は、以下のように概ね施設の対応、職員に好意的だった。

○「このような仕事についている職員は、本当に大変だと思う。先日、面会に行った時も、こまめに訪室し、よくやってくれていた。感心している。

○家で看ていた時(入所前)、私も言葉が荒くなったり、手を出しそうになったこともあった。だから、今回虐待を行ってしまった職員の気持ちもわからなくはない。

○虐待をしてしまった職員のこの先が心配だ。これを機にしっかり立ち直ってくれればよいが。

○介護中に強い抵抗があったことについては、面会に行ったときの様子からも想像できる。それだけではなく、現在では、便いじりをしたり、人に噛み付こうとするまでの症状が出ていることは、初めて知った。現状を知ることができてよかった。

○認知症だから、もう忘れているでしょう。過ぎたことだから、わざわざ問題にするつもりはない。

○今後とも、施設によろしくお願いしたいと思っている。

施設を利用する家族は、施設職員に要介護者を委ねている。

要介護者が入所するまで、様々な葛藤や困難を乗り越えながら介護をし続け、家族にとってすでに限界だからこそ入所に至っている場合や、家では他に要介護者がおり、とても二人とも看られる状態ではないため入所に至る場合、また要介護者を看る介護者不在など、世帯、家族の多様性に伴い、あらゆる理由とともに利用者の入所がある。

家族にとって、要介護者を施設に委ねることができるか、入所できない状態が続くかは、時には家族としての今を左右するほど重大なことでもある。

要介護者を看ることができないから施設に預け、職員らに、要介護者がどんなに大変な状況でも看てもらっているのだという思いが、時には負い目となり感謝の言葉となる。

また「介護」の大変さ、辛さをわかっている家族は、自身の「介護の記憶」というフィルターをとおして、虐待した職員の気持ちや苦痛をも理解しようとする側面があることを、家族の言葉から伺う事が出来る。さらには、利用者本人の認知症症状の程度によって、「記憶」が曖昧になればなるほど、「虐待」の事実はかき消されやすくなる。

虐待を受けた入居者の家族は、施設に今後のことを引き続き託しながらも、以下の言葉を述べている。

「(職員から)虐待を受けていた時、本人はどのような様子だったかを知りたいと思います。その様子から、本人の心の声を少しでも代弁できたらと思うのです。それが、家族の役目だと思うし、そこを守らなければ、誰も本人を守るものがいなくなってしまうので。」

「施設を利用する家族の心」が貴方に届いただろうか。
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か」私たちは、もう一度問い直さなければならない。

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2010年10月7日木曜日

日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.13

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No13 (2010/10/2)

すっかり秋めいてきましたが、皆さま、お変わりありませんか?

この夏は熱中症も大きな心配事でしたが、所在不明高齢者の問題もいろいろなことを考えさせられる出来事でした。

New Informationでは、この問題を萩原さんが論じています。今回は、<その他>にこの問題に関する記事をたくさん入れました。

<エッセイ>は、岡野さんと小川さんにお書きいただきました。
(AS)

No13の目次は以下のとおりです。

<エッセイ> 2本

<New Information> 1本

<家庭内虐待> 記事 15本

<施設虐待> 記事 1本 

<その他> 記事 30本

<お知らせ> なし

情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
本メールの配信をご希望されない方は、その旨、お知らせください。
無断転載はお断りいたします。

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<エッセイ>

「人生捨てたもんじゃない!」 岡野 美由紀(公務員)

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」小川孔美 (埼玉県立大学)

<New Information> 

~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~

「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」 萩原清子(関東学院大学)

<家庭内虐待>

1 虐待気づくも市は保護せず 寝屋川転落死 Asahi.com 2010年8月27日

2 大阪・岸和田の「83歳」白骨遺体:不明の三男、5年以上介護放棄か毎日新聞 2010年9月4日 大阪夕刊

3 大阪・岸和田で民家に「83歳」白骨、年金全額引き出し 同居の三男が所在不明  (2010年9月4日  読売新聞)

4 83歳女性、胸刺され死亡=同居長女から事情聴く-茨城県警  時事ドットコム(2010/09/04-17:49)

5 80歳母放置、次男を起訴 津地検(2010年9月3日  読売新聞)

6 函館の認知症妻傷害致死:夫に懲役5年求刑--函館地裁公判 /北海道毎日JP 9月3日

7 高齢者虐待50件増270件 09年度防止法浸透で顕在化  (2010年9月3日  読売新聞)

8 府内の家庭内高齢者虐待、09年度2年ぶり増加 京都新聞【  2010年09月07日

9 愛媛県内の高齢者虐待231件、3年連続増…09年度(2010年9月10日 読売新聞)

10 「介護に疲れた」…死亡の老夫婦は心中 玉名署   くまにちコム2010年09月08日

11大牟田の夫殺害:事件前に長女が市に相談 市議会教育厚生委で報告 /福岡毎日新聞 2010年9月9日 地方版

12 認知症87歳父 暴行し死なす 傷害容疑で長男逮捕 (2010年9月14日  読売新聞)

13 豊川白骨遺体 「母は昨年5月に死亡」姉妹供述 葬式の煩わしさ動機か (2010年9月19日  読売新聞)

14 高齢者虐待被害216人  09年度 高止まり(2010年9月16日  読売新聞)

15 高齢者を経済的虐待倍増預金無断引き出し年金満額渡さず (2010年9月25日  読売新聞)

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<施設虐待>

1 高齢者虐待:氷川町の老人ホームに県が改善命令 /熊本 毎日新聞 2010年9月3日

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<その他>

1 孤立のおそれある高齢者の支援を介護保険で 首相指示 asahi.com2010年8月29日23時

2 後期高齢者の医療情報使い所在確認―厚労相  CBニュース(キャリアブレイン)      (2010/08/30 )

3 首相指示受け、独居高齢者支援の検討に着手-山井政務官  CBニュース(キャリアブレイン)(2010/08/30 22:27)

4 地域包括センター、直営化やケアマネへの委譲など――傍聴レポ2 CARE MANAGEMENT on-line

5 厚労省、在宅サービスの創設提案   Silver-.news.com (2010/08/27)

6 【ゆうゆうLife】「介護できる」は幸せ?不幸?2010.8.26 13:49

7 福井市で160歳"生存" 高齢者不明問題100歳以上は963人  産経ニュース2010.8.27 03:12

8 職場定着の鍵は「介護は専門職」 宇短大・古川准教授が調査 下野新聞(8月23日 05:00)

9 時代の風:ひきこもりと所在不明高齢者=精神科医・斎藤環 ◇立ちはだかる家族の壁 毎日新聞 2010年8月29日 東京朝刊

10 高齢者不明:国の対策進まず 個人情報保護法などが壁 毎日新聞 2010年8月29日 

11 医療ナビ:アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組みの異なる3種類が日本でも来年中...2010年8月31日 毎日新聞

12 社会保障「保護型」から「参加型」へ 厚労白書が提唱  Asahi.com 2010年8月29日

13 寂しい高齢者、多いのは23区―東京社会福祉士会の安心電話( 2010年09月01日 13:47
キャリアブレイン )

14  事務連絡  平成22年9月3日
各都道府県介護保険主管課(室)御中  地域包括支援センター等において地域の見守り活動等を構築していく際の支援を必要とする者に関する個人情報の取扱いについて (厚生労働省老健局振興課長)

15 「見守り活動」に限界  2010年09月03日 asahi.com

16 戸籍に現住所ない100歳以上は23万人…法務省調査(2010年9月10日 読売新聞)

17 23万人所在不明「戸籍制度は形式化」…識者指摘  yomiDr.(2010年9月10日 読売新聞)

18 2次予防廃止視野にパブコメ 地域支援事業で厚労省 背景に政官の思惑違いSilver.com  (2010/09/09)

19 究・求・救・Q:不明高齢者訪ねて… 廃屋の108歳女性宅 /岡山  毎日新聞9/8 ◇ポストに名前、郵便物

20 桑名市:65歳以上が「介護ボラ」 活動に応じ交付金--来月から制度開始 /三重 毎日新聞9/9地方版

21 高齢者同士の介護に換金ポイント 富士吉田市が新事業 asahi.com2010年9月9日

22 ユーチューブからニューヨークのEMS(Emergency Medical Service Provider) の啓発ビデオ

23  男性介護者の支援組織結成 岡山の江川さんら 19日に初交流会  山陽新聞 9/13

24  今年度の満100歳、2万3269人 厚労省、面会確認  asahi.com 2010年9月14日

25 老老介護世帯、5割に認知症・・・道、支援検討の方針 (2010年9月18日  読売新聞)

26 敬老祝い、手渡ししたいけど… 人手不足・プライバシー  asahi.com2010年9月19日

27 『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く 中日新聞  2010年9月23日

28 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/2 生活、老親の年金頼り 毎日新聞 2010年9月21日 東京朝刊

29  絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/4 近所同士、合鍵持ち合い 毎日新聞 2010年9月23日 東京朝刊

30「所在不明問題 責任私らにも」「表彰状より施設整備を」… 100歳の主張 (1/2ページ) 2010.9.19 22:45   産経ニュース



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<エッセイ1>

「人生捨てたもんじゃない!」

岡野 美由紀(公務員)

9月18日・19日に安心づくり安全探しアプローチによる高齢者虐待防止研修に参加させて頂いた。たくさんの講義内容とワークが取り入れられた研修であった。ご本人や家族の強みに目をむけ、ともに考える。生活の中に存在するプラスの事実を、ご本人・家族から聞き出す。解決思考アプローチに基づいた実践的なアプローチ、安心づくり安全探しアプローチについて学ばせていただいた。この研修で一番最初に行われたワークについてご紹介させていただきたい。

「変な質問です。今日朝起きてから今までに人生捨てたもんじゃないと思えた出来事はありますか?」

その日の研修は10時開始。私は朝8時起床、5人家族の洗濯物を干し、朝ご飯を食べ、駅に向かい電車に乗って、会場に来た。その2時間ちょっとの間に、人生捨てたもんじゃないと思えるだろうか。なんて無茶な質問なのだろうかと思った。ワークなのでと、予定より遅く起床したがそれでも洗濯干し朝ご飯を食べて、研修に間に合ったことと、無理矢理に考えてみた。

このワークでは、要は
生活の中での「少しでも悪くないこと」(=例外)に注目をすること。気づいた「例外」を掘り下げていき、どうしてそんなことが起きたのか、どんなことがよかったのか。だれが支えてくれか。それには自分のどんなところが役だったのか。本人のお手柄として、本人に気づいてもらう。

私の場合は、朝の洗濯干しは習慣となっており、朝ご飯は多少用意されていたのは家族の支えで、平日は家族の起床時間に合わせて自分も早起きしていることを理解してくれていたのか。日常のこの習慣が強みになっていたのではと考えた。こんな些細な慌ただしい時間を、少しでも悪くない出来事とポジティブに考えるだけで、楽しく過ごせるのだということ。単純な私なので、このワーク後、自分の人生捨てたもんじゃないと思ったのである。

2日間の研修では、これ以外にもワークを行い、新たな気付きを得られ、学ばされることが多かった。研修で学んだことをどれだけ活用できるか分からないが、日々の日常の中で、本人と家族にも自分の強みを見つけてもらい「人生捨てたもんじゃない」と気づいてもらいたいと思えた研修であった。お困り事のある方の隣に寄り添って、ともに考えていけたらなと思うのである。

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<エッセイ2>

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」

小川孔美 (埼玉県立大学)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
つい先日、その施設の管理者の方からお話を伺う機会があった。

伺ったお話から、少しでも多くの方に伝えたいことが数多くあったので、この場を借りてお伝えしたい。だが、紙幅の関係上、ごくわずかなことしかお伝えできないことが残念である。今回をまず第一報としたい。

その日の朝、排泄介助のためトイレ誘導した際、入居者の方が興奮気味に職員に話しかけてきたという「鼻と耳を引っ張られた、頭を叩かれた」と。

その入居者の訴えは、夕方になって、訴えを聞いた職員から、統括ユニットリーダー(以下統括UL)に申し送られ、あらためて統括ULが入居者の訴えを聞き直すことで事実を確認し、その上で訴えが管理者に伝えられたという。

お話を伺っていて、入居者から訴えがあった「朝」から、管理者に事実が報告される「夕方」までの6~7時間にわたる「時間の空白」が気になった。その「時間」は、何に費やされていたのだろうか。

最初に訴えを受け止めた職員は、日頃から入居者に対して誠実であり、周囲の職員にも気を遣いすぎるほどの人物だという。彼はその時間の空白のなかで、何を考え、何を思っていたのか。―多くのことが考えられていたが、主に4つに集約されると思われた。

①「事実を上司に報告することは"つげ口"になってしまうがどうしよう」:報告する行為についての葛藤

②「(虐待していたかもしれない職員は)このことで仕事を辞めさせられてしまうのか、生活はどうなるのか、大丈夫なのか。他の仕事で食べていけるのか」仕事仲間への配慮、気遣い

③「自分が働いている施設で虐待が発覚したということになれば、他の入居者はどのように受け止めるであろう。施設を信頼して預けている家族はどのように考えるのか、この施設で働いている自分はどうなるのだろう」施設信用、対外関係性悪化への躊躇

④「(虐待していたかもしれない)職員が本当にやったかどうか確証がつかめていない(訴えた入居者は少し認知症があるので訴えが定かでない場合がある)」虐待訴えの信憑性 

およそ7時間もの間、訴えを受け止めた職員は、次の統括ULに報告するまで、誰にも相談できず、ひとりで事実を抱えこんでいた。だが、夕方の申し送り場面を利用し、試行錯誤の中、何よりも訴えた入居者のことを考え、事実を次のステップに進めた勇気に拍手を送りたい。そして、施設の管理者がこの事実について内部処理をせず、情報公開は義務であるとして開示に徹し、施設内の職員、施設全入居者とその家族、市内外各関係機関、各関係保険者、県に報告、謝罪し、さらに落ち着いた段階で、事業者連絡会にて報告を行い、問題、課題を共有した。

虐待事実を省みて、これからの施設運営、ケア体制に生かそうとする懸命な姿勢と、施設だけではどうにもならない課題が実は多く潜んでいることを、社会に知らせる必要があると考え、その行動に徹したこの施設の姿勢に心から敬意を表する。

「介護保険施設のセーフティネット(特別養護老人ホームの役割)に穴を開けてはならない。」管理者から聞くことができた大切な言葉である。あなたにも届くだろうか。
次の機会には、「施設を利用する家族の心」を中心にお伝えしたい。

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~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~

「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」

萩原清子 (関東学院大学)

1.所在不明高齢者の存在が相次いで見つかっている問題の背景

今年、100歳以上の高齢者は44,449人と過去最多を更新したと9月14日に厚生労働省は発表した。長寿を喜ぶべきだが、その裏側で今夏、高齢者の所在不明問題と年金不正受給問題が日本社会に大きな衝撃を与えた。

所在不明高齢者問題の背景には、日本福祉大学教授石川満によると①自治体が高齢者の実態を把握できない問題があり、②家族が死亡届を出さないとか、年金を不正に受給している問題がある。③として家を出てどこかで不明・死亡している可能性がある。①の問題としては、老人福祉法で市町村は「老人の福祉に関し、必要な情報の把握に努める」と実態把握の責務を明記しているものの、2000年の介護保険制度の導入で自治体の多くは福祉サービスを民間事業者など外部に任せている。介護保険によるケアマネジャーは介護保険による介護サービスを申請しない人にまで訪問することはない。90年代までは福祉事務所職員は高齢者宅を訪問し、健康状態や暮らしぶりなどを記した「個別援助台帳」を作成し、職員は必要な場合、立入調査をする権限をもっていた、という。

②と③の問題背景としては、「無縁社会」の現状と根底にある「貧困化」を指摘する論者は多い。「無縁社会」に関してはNHKがスペシャルとして本年1月に放送したところ大きな反響を呼んだ。身元が不明で引き取り手もない人は年間3万2000人にものぼり、また「生涯未婚」も増加し、「自分の家で亡くなっても、名前が分かっていても身元不明人」ということで処理される。いわゆる出稼ぎの人が故郷で親兄弟が亡くなると帰れなくなり、親族でも、つながりが薄いと引き取り拒否のケースも多い。これらの所在不明者は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(明治32年3月28日法律93号、改正昭和61年12月26日法律109号)によって扱われる。

同法第1条によると「行旅死亡人」とは、「行旅中死亡し引取者なき者を言う。住所、居所もしくは氏名知れずかつ引取者なき死亡人は行旅死亡人と見なす」と定義され、現地主義によって取扱は市町村が行い、当該都道府県が費用の最終負担を行なうことを定めている。今日の「所在不明の高齢者」も「行旅死亡人」として取り扱われることになるが、明治時代に制定された当該「取扱法」で扱うことが適切なのかどうか。

現在の所在不明の人々を、行旅死亡人という呼び方をすることは「悲惨な実態を隠してしまうように思えてならない」という新聞投書者の意見に全く同感である。同時に、高齢者の所在不明問題と家族による年金不正受給問題の根底には「貧困」の広がりがあることは論を俟たない。年金不正受給のケースではなくとも、なぜ、白骨化した遺体が押入れや、移動のたびにリュックに入れられて持ち歩かれていたのか。なぜ、死亡届が提出されなかったのか。これらのことは、家族の愛情を汲んだ制度がなかったか、または有っても機能しなかったと考えられる。

2.「無縁社会」に生きる社会の対応

現代は家族や他者とのつながりが希薄になり、たとえ親族であっても連絡を取り合わないケースは多い。NHKの取材でも明らかになったように、所在不明者の多くが地縁や血縁など社会とのつながりを失ったまま「無縁化」している。そこで何よりも必要な対応は、このような時代の変化を直視した「セーフティーネット」の構築である。しかも、一人でも暮らして行ける社会保障の整備である。現行「行旅死亡人取扱法」では、「亡くなった人の遺体の引き取りで、窓口でたらいまわし」するような公的機関の押し付け合いの現状は避けられない。

もし、医療と住宅政策がしっかりしていれば、不安定な生活層や就労層でも、親の年金を不正受給しなくてよかったのではないか。医療と住宅が約束されていれば最低限のお金や低い年金でも生活できているのではないか。年金を含めた収入のほとんどが家賃に消えたり、医療にかかりたくても病院にも行けない現状の社会的仕組みが今日の所在者不明や年金不正受給問題の背景にある。「無縁社会」を直視した社会的・法的システムとしてのセーフティネットの構築が急がれる。

3.「無縁社会に」に生きる家族の対応:葬式の出し方

なぜ、死亡届が提出されないのだろうか。一般的には、自宅で死亡した場合、警察に連絡し検視が行なわれる。従来なら地域社会が死亡後の対応を手伝ってくれただろう。しかし、現在では孤独死であったり、家族や自分たちだけで死亡後の手続きや葬式の手配をしなくてはならない。在宅死亡の体験はだれでも一生に一度か二度であろうから、どのような手順でどのような手続きをし、いくらぐらいのお金が必要か、わからない人も多いだろう。最近、身内だけの小規模葬儀や直接火葬場に運び炉前で身内や友人が別れを告げるだけの「直葬」、「家族葬」が急増しているという。

背景には「貧困」があるという。葬式を「しない」のではなく、「できない」のだという。もちろん、葬儀は「自分らしく」という葬儀の考え方の変化がある。しかし、高齢者の所在不明問題や白骨化した遺体問題の背景には、「自宅に妻の遺体を放置した」77歳の夫が「役所の手続きが面倒くさくて自宅内で死亡した妻73歳の遺体をベランダに放置した」として逮捕されたケースがある(9/21)。

今後、たとえ家族と同居していても、あるいは別居子がいたとしても、どういう風に葬式を出していくか家族としても大きな課題である。1984年、映画監督の故伊丹十三が「お葬式」という映画で、初めてお葬式を出す家族の右往左往ぶりをコミカルに描いていた。しかし、四半世紀後の現在は、葬式すら出せなくなっている。

4.長生き時代に自分でできる死に向かう準備

高齢者の所在不明問題に関しては、何よりも社会のセーフティネットの構築が急務であることを述べた。他方、長生き時代を生きるために個人として準備しなければならない行動がある。それは死に向かう準備である。老後を迎えた多くの人が、「家族に迷惑をかけたくない」と思っている。が、実際に迷惑をかけない方法を思いつき、かつ、実践している人は必ずしも多くはないであろう。死に向かう準備の一つとして「遺言書」の作成、もう一つは「献体」制度の利用をあげてみたい。

死後残された家族間のトラブル防止のために「遺言書」を自分で書ける「遺言キット」が販売されている。他方、献体制度についてだが、献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することである。「医学および歯学教育のための献体に関する法律」が昭和58年5月に国会で可決、成立し、同年11月25日より施行されている。

たとえ家族関係が良好だとしても、家族に「迷惑をかけたくない」という親世代は増加している。特別な資産・財産がなくとも自分ができる「迷惑をかけない死に向かう選択肢」の一つとして遺言書作成と献体制度の利用を提案した。かつて献体は、肉親の体を切り刻むという印象が強く、抵抗感を持つ家族も多かったと思われるが、近年のドナー登録や家族による臓器移植の承諾等により、献体に対する本人および家族の印象も変ってきているのではないだろうか。長寿が当たり前になった今日、自分らしい生き方の模索が始まっている。

〈参  考〉

Ⅰ 新政権による社会福祉施策の方向

● 政府は6月18日の閣議で日本経済の再生に向けた2020年度までの行動計画「新成長戦略」を決定し、医療・介護・健康関連産業を「成長牽引産業」に位置づけた。

● 新政権は産業構造を変えて「新しい福祉」をつくるために「強い経済、強い財政、強い社会保障」を掲げ、「高福祉・高負担」を宣言した。

● 新政府は、6月29日、2014年度以降の導入を目指す新たな年金制度について制度の一元化や最低保障年金の導入、負担と給付関係の明確化、安定的財源の確保など制度の持続可能に必要な7つの基本原則を決めた。
●

Ⅱ 時代の変化と既存福祉施策のギャップ

● 厚労省は「特養ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する取りまとめ」を発表し、特養の介護職員にたん吸引を容認する方針を認めた(3/31)。
なお、これまで特養ホーム等で一定の条件下で認めていた介護職員によるたんの吸引等の一定の行為について、グループホーム、訪問介護事業所、障害者支援施設等でも行なえるようモデル事業を実施することを決めた(8/9)。

● 厚労省「地域包括ケア研究会」は団塊世代が75歳以上となる2025年に向けた介護改革を提言。そこでは在宅サービスを優先し、施設サービスはそれを補完するものと位置づけ、24時間巡回型訪問の導入、施設類型の再編による医療法人に特養ホームの設置を認めること、介護福祉士が基礎的な医療的ケアを担うことなどを求めた(4/26)。しかし、後日開かれた「社会保障審議会介護保険部会」(6/21)では、地域包括ケア研究会の報告書内容について、「自立支援」が強調されすぎていることへの委員からの懸念の声が上がった。報告書が「自助・互助」や「自立支援」を強調しているとの懸念から「公的介護保険から離れていこうとしている」「自立支援という考え方だけでは、現実から離れている」といった声が続出したという(「福祉新聞」6/28)。

● 「高齢者住まい法」の改正により高齢者専用賃貸住宅などの高齢者の入居を拒否しないために「高齢者円滑入居賃貸住宅」について新たな床面積や設備等の登録基準を設定(
5/19)。

● 生活保護制度の老齢加算廃止は違法の判決(6/14)。北九州市在住の74~92歳の男女39人が老齢加算の減額・廃止処分は違法として、市に処分取り消しを求めた訴訟について、福岡高裁は、合憲として棄却した一審判決を取り消し、原告の逆転勝訴とした。

● 介護施設等設置の参酌標準の撤廃方針。規制・制度改革に係る対処方針が閣議決定され、介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃、特養の社会医療法人参入を可とする等の方針が示された(6/18)。

● 厚労省は「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」を設置し、在宅の高齢者が施設入所と同等の負担で同等の安心を得られるよう24時間体制の訪問看護・訪問介護の構築を目指す方策を明らかにした(6/18)。

● 地域支援事業実施要綱の一部が改正され、「特定高齢者」を「二次予防事業の対象者」に改め、介護予防ケアプランの作成の義務をなくすよう8/6より適用すると都道府県知事宛に通知した(8/6)。(Ⅱの一部は、東京都社会福祉協議会『福祉広報』各月「福祉のできごと」より引用・参照)