日本高齢者虐待防止センター電話相談

2012年4月17日火曜日

ヨーロッパの高齢者  日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No23

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2012年5月号

ヨーロッパの高齢者
1日あたり1万人が身体的虐待を受けている

日本高齢者虐待防止センター 理事長 田中荘司



2011年の世界の高齢者虐待の調査研究分野で、最もショッキングな報告書がWHOのヨーロッパ支部から公表されたので、ここにその概要を紹介しましょう。

2011年6月16日、ブダペスト、コペンハーゲン、ローマで同時発表された報告書は、正式には「ヨーロッパレポート: 高齢者虐待の防止に向けて」(New WHO/European report on preventing elder maltreatment) といい、この表題は、メディア向けに出された情報紙の見出しです。

ヨーロッパ支部は、53カ国、人口8,8億人からから構成されており、60歳以上の高齢者を対象に日本と同様、5種類の虐待について推計調査をしています。

毎年少なくともヨーロッパ支部内で400万人の高齢者が平手打ちされたり、こぶしで殴られたり、けられたりやけどをさせられたり、ナイフで傷つけられたり、部屋にロックされたりして苦しんでいると推計されています。

また調査は、年間2500人の高齢者が家族の手によって死亡させられていることを明らかにしています。今回の報告書は、ブダペストで第3回ヨーロッパ安全推進会議で報告された調査結果で、調査の規模、虐待問題の重要性、また虐待防止に役立つ実践への展望まで記述しています。

ヨーロッパ支部長、ズーズサンナ・ジャカブ氏(Zsuzsanna Jakab)は、「この報告書は非常にショッキングな内容であり、高齢者が病弱であるときは、虐待が高齢者の精神面や身体面の健康や幸せに悪影響を与える」と述べています。

ヨーロッパの人口は、急速に高齢化しており、各国政府は増大するヘルス問題、社会問題を解消するよう迅速な行動を起こす必要があり、この点今回の報告は大いに手助けに貢献できるとしています。

平均寿命と出生率の組み合わせから2050年にはヨーロッパの人口の3分の1は60歳以上になることが予測されることから、年金の支払いや社会的ケアの提供により、より多くの財源を必要とすることになるでしょう。また多くの高齢者が若年の介護者に依存することになりますから、国の経済面、社会面、家族構成面の変化、特に長期にいたる財政的硬直の緊張をもたらし、そしてこのような社会変動が結局は、虐待を受ける高齢者の増加につながることになるでしょう。

報告では、毎年400万人の身体的虐待の発生の推定とは別に、

・侮辱したり、脅したりする精神的虐待の被害が2900万人

・金を盗んだり詐欺行為をする経済的虐待の被害が600万人

・性的ハラスメント、性的いたずら、レイプ等の性的虐待の被害が100万人

認知症を患っている、あるいは身体障害をもつ高齢者は、虐待を受け易い状況にあり、又虐待の犠牲者は虐待の加害者と同じ世帯に住み続けるのが一般的です。さらに虐待は、所得水準があまり高くない国々や社会の低所得階層でよく発生している傾向が見られます。

ヨーロッパ地域の高齢者虐待は、依然として社会的タブーの問題となっており、その多くが無視されたり表面化されないでいる現状で、今後社会的、政治的関与が行われることが期待されています。また各国の政府機関部門では福祉を含む保健行政担当部局は、虐待を受けた高齢者への支援を提供できる重要な役割を果たすことができる組織であり、一層の行政努力が求められています。

なお今回の報告書は、高齢者虐待防止の第一線で働いている関係者や、保健福祉、法務、警察等の各種専門家によってまとめられており今後対応すべき諸提案が以下のようにまとめられています。

提案されている行動計画として多分野共同による国家政策、高齢者虐待防止計画等、計画の決定と実行データの収集方法の改善、サーベイランスと研究虐待防止実践と管理戦略虐待被害者のサービス強化と関係職員の研修強化被虐待高齢者の保護に重点を置いた啓発活動ところで、今回の報告書のなかで、質問調査がありますので、紹介しておきます。

1  高齢者虐待は国内で問題か


(1) 非常に大きな問題

セルビア  オーストリア  マケドニア  ポルトガル  スロバキア イスラエル


(2) 大きな問題

 オランダ  モンテネグロ  イギリス  チェコ  フィンランド  ベルギー  ロシアブルガリア  ルーマニア  ラトビア  スイス ノルウェー  スペイン  マルタ タジキスタン  ギリシャ  フィンランド等

(3) 少々の問題

ドイツ  エストニア  アイルランド  アゼルバイジャン  サンマリノ デンマーク  イタリア

(4) まったく問題ではない

 ウズベキスタン  アルメニア


2  高齢者虐待について国の政策はあるか

(1) ある 

セルビア  イスラエル  オランダ  モンテネグロ  スロベニア  イギリス ドイツ  アイルランド等


(2) 部分的にある

オーストリア  ポルトガル  ベルギー  ロシア  スイス  サンマリノ アルメニア


3  高齢者虐待をも取り扱う研究機関又は大学があるか

存在する国

オーストリア  イスラエル  ポーランド  スロベキア  オランダ  モンテネグロ スロベニア  チェコ  フィンランド  アイスランド  ベルギー  ブルガリア クロアチア  ノルウェー  マルタ  スイス  ドイツ  エストニア  アイルランド


4  高齢者虐待についてより多くの情報を得ることに関心があるか

デンマークを除く各国が関心をもっている


5  65歳以上人口のうち、フォーマルケアサービス(在宅ケア+施設ケア)を受けている人の割合 

アイスランド  9、3% スロベニア  4、0% ポルトガル  3、4% デンマーク4,8%  EU平均3,3% イタリア2,0 オランダ5,3% チェコ 3,5% ハンガリー  2,2% イスラエル4,6% ドイツ 3,8% スロバキア  1,7% スイス 6,6% ルクセンブルグ 4,3%ラトビア1,5 オーストリア  3,3% アイルランド  1,6% エストニア  1,6% イギリス3,3% スペイン 4,1% ポーランド  0,7 スウェーデン  6,0% フランス3,1% アルメニア  0,3%

(日本は、平成21年度介護保険事業報告による介護保険利用者は、393万人で13.6%)

注)本報告による反響が多い場合には、さらに詳しく報告いたします。

2012年3月4日日曜日

ライフワーク 日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No22

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2012年3月号

ライフワーク

日本高齢者虐待防止センター 理事・事務局長 梶川 義人


私は、大学院で児童福祉を専攻していましたが、ひょんなことから老人ホームに就職することになりました。そして、介護職を経てソーシャルワーカーとなり、家族関係の調整などをするようになりました。

何年かたつと、自験例はかなり増え成功事例も経験できるようになりましたので、「少しは科学的な知見が得られるだろう」と考えて、当時、在宅サービスを利用していた高齢者と介護者の関係の分類を試みました。

参考にしたのは、子育てにおける親子関係の類型で、過干渉タイプ、放任タイプ、葛藤タイプなどに分けました。数百件あった事例のほとんどは、あまり悩まずに分類できたのですが、なかには「飛び抜けて酷い扱いだな」と思った事例がありました。そこで、児童虐待にならって、虐待タイプとして分類することにしました。多分、2〜3%の事例があてはまったと思います。これが、私の高齢者虐待を意識した最初のエピソードです。多分、1985年だったと記憶しています。

その後しばらくは、とりたてて高齢者虐待に関心を持つことなく過ごしていたある日、マスコミの報道により、旧友が介護殺人事件を引き起こしたことを知りました。子ども時代に親しくしていた友人であっただけに、ショックはとても大きいものでした。ほかの友人たちから詳しく事情を聞けたこともあり、「こうした痛ましいことを何とか防げる手立てはないのだろうか」と思い悩みました。これが、私が高齢者虐待に取り組むことになったきっかけです。私は、数日考え込んでから、高齢者処遇研究会のメンバーとなりました。2000年のことです。

それからまる11年、実にさまざまな出来事が起こりました。制度的には措置から介護保険制度に大転換しましたし、高齢者虐待に限ってみても、全国調査が行われたり、専門学会ができたり、高齢者虐待防止法ができたり。わがセンターも、法人化しましたし、いくつもの事業を行なってきました。

いわば大きな変化のうねりのなかを泳いできたのですが、私の最大の関心は、いつも対応困難事例の検討にありました。「こうした痛ましいことを…」の答えをみつけたいと願い続けてきたからです。そして、いつの頃からか、私は、旧友のような事件に対して、ある程度の答えを出せるようになりました。ですから、当初の課題を一応は達成したことになります。

しかし、対応困難事例の検討を通して、いろいろな人生の期し方行く先を思い合わせる経験を積むうちに、他にも沢山の難しい課題があることを思い知るようにもなりました。ひとつ課題を達成したら、さらに難しい課題がでてきて、ようやくその課題を達成したと思った途端に、また、もっと難しい課題がでてくる、といった具合です。おそらく、どこまでいってこの繰り返しで、きりはないのでしょうが、私は、いつしか、でてきた課題のすべてに、答えをみつけたいと思うようになりました。挑戦する心に火がついた、とでも言うのでしょうか。

こうして、高齢者虐待の防止への取り組みは、今や私のライフワークといっても過言ではなくなりました。


2012年1月5日木曜日

年頭にあたって―専門家としての覚悟と覚醒を期待する 日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No21

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2012年1月号

年頭にあたって―専門家としての覚悟と覚醒を期待する

日本高齢者虐待防止センター理事 萩原 清子



昨年の我が国は未曽有の出来事がつぎつぎと起こったが、何といっても3月11日に発生した東日本大震災と原子力発電事故による大惨事は、学会・学者や科学に対するあり方に根本的な反省を促した画期的な出来事といえる。

「できるはずだと思っていたのに、なぜ東日本大震災のような巨大地震を予測できなかったのか」という問題をめぐって、「東北沖ではマグニチュード9以上は起こらないという思い込みがあった」と、多くの地震学者や学会から反省の声がしきりであった。「思いこみの原因」に、学会は学問的な相互批判が希薄で、「マグニチュード9以上だって起こりうる」という他の研究者の指摘に真摯に耳を貸さなかった日本地震学会の体質に問題があったとの指摘がある(朝日新聞 20011・12・11)。他方、原子力発電事故に関しては、原子力は安全だという「安全神話」が完全に崩れ、我が国の原子力政策は廃炉、停止、再開、新設をめぐって混迷が続いている。

さて、高齢者虐待の現状に目を向けると、平成22年度の厚生労働省調査報告による養護者による高齢者虐待判断件数は16,668件と過去最多となり、相談・通報件数も最多の25,315件で「最悪」と表現された。虐待で死亡した高齢者は無理心中を含め21人で、内訳は「養護者による被養護者の殺人」が10件10人、「養護者の介護放棄(ネグレクト)による被養護者の致死」6件6人、「心中」4件4人、「養護者の虐待(介護等放棄を除く)による被養護者の致死」1件1人であった。被害高齢者21人のうち、介護保険利用者は15人(71.4%)、利用していない高齢者は6人(28.6%)であった。

問題は、念願だった高齢者虐待防止法が施行されて5年、「防止法」に基づいて対応状況が厚労省によって毎年調査結果が5回報告され、介護保険は実施されてすでに11年を過ぎているにも関わらず、なぜ、毎年、高齢者虐待は防止されずに増え続けているのかである。

しかも、犯罪事件と見做される虐待による死亡高齢者は21人にも上り、そのうち7割以上の高齢者は介護保険を利用し、何らかの専門家や支援の網にかかっているのである。さらに、市町村で受け付けた養介護施設従事者等による虐待の相談・通報件数を見ても、22年度は前年度より98件増加して506件となっているのである。しかし、市町村が虐待の事実確認を行った事例のうち、事実が認められた事例は全体の18.1%、虐待の事実が認められなかった事例が38.7%、虐待かどうか「判断に至らなかった」事例が27.2%もあった。「防止法」第21条には施設従事者等が施設従事者等による虐待を発見した場合には、速やかに市町村に通報しなければならない、という義務規定を設けているのである。この数字を多いとみるか少ないとみるかは議論の分かれるところであるが。

このような我が国の高齢者虐待の現状をみると、「防止法」という法律ができ、虐待とは何かが定義されても、虐待かどうか不明、虐待ではなかった、といった相談・通報事例をどう捉えたらよいか。また、養護者支援が規定され、施設従事者も内部告発・通報が義務付けられ、専門家の役割や相談窓口が明確になり、地域の関連機関の連携が重要視されたとしても「定義」や「通報制度」、市町村の責務、専門家の役割等が十分に機能していないのではないか。このことが過去5回の厚労省調査結果から導き出された結論である。つまり、法律や制度、支援体制が整ったといっても、高齢者虐待の「防止」や「予防」にどれだけ実効性があっただろうか。各制度や支援体制が形だけに終わっているのではないだろうか。

私たちが経験した昨年の1年は、従来、大丈夫だと思ってきたことが覆された年である。その意味で、今こそ、学識経験者として、あるいは福祉の専門家としてこの教訓を生かさなければならない。各人がそれぞれの立場で専門家としての覚悟と覚醒が期待されている。

では、学識経験者として、福祉の専門家としての覚悟とは何か。それは、虐待を防止すること、すなわち「防止法」第一条の目的にある「高齢者の尊厳の保持」と「養護者の負担の軽減」を徹底的に図る覚悟である。そのためには、高齢者、養護者、関係職員が「個人の尊厳」をもった人間として生きていけるような社会や世の中を確保することに自覚的に、積極的に貢献していくことである。その流れに沿って、何があっても、高齢者と養護者の個人としての尊厳をまず守るという覚悟である。

もう一つ、昨年の出来事から、いわゆる「公務員ランナー」の生き方、走り方から学んだ点がある。今年はオリンピックの年として昨年来いろいろな話題があった中で、オリンピックイヤーの予選会で従来のやり方とは違う練習方法によって好タイムを出して注目された市民ランナー川内君の例である。川内君は埼玉県庁の職員として、実業団に所属しているわけではないため従来当たり前と思ってきた実業団選手の豊富な練習時間や練習環境とは違って、練習時間はフルタイムの仕事以外の制約された時間でモチベーションを高める練習方法をとっている。また治療やケアについてもトレーナーにつき、専門のメディカルな医師がついているわけではなく、小さなけがは温泉で何とかしてきたという。さらに、コーチがいるわけではなく、彼は一人で練習メニューを作って練習を重ねている。このような練習の方法やランナーとしてのやり方は、陸上界の常識とはかなり違うことをやっていると彼は思っている。

しかし、陸上界の常識に従うことで本当に結果が出るのかということを考えると、「やらされている練習」ではなくて、「好きでやっていること」と考え競技を続けていく方が、速くなるし、長続きするのではないかと彼は考え、練習の一環として全国各地のいろいろなレースで走りたいと考えている。このように、指導者にもつかず、出場レースも力を伸ばす場と考え昨年12月の福岡国際マラソンの2週間後にも42.195キロを走った彼は、「常識外れと言われたけど、周りが常識で限界を決めているだけ」と言っている。恵まれた環境で練習している実業団選手を退け、ロンドン五輪出場への期待をつなげた川内君の走りは一般ランナーに希望を与えた、という新聞投書があった。

川内君の練習方法や川内君のあり方は、単に現状の批判や否定ではなく、もっとよいものがあるのではないかという前向きなチャレンジのように思われる。昨年2月の東京マラソンでは日本人トップでゴールしその後のレースでも1,2位の結果を残した。彼から私たちが学ばなければならないことは、自分がどうあるべきか、どうありたいかを具体的な目標として定め、その目標を実現するための方法を仮説として立て、実践の中で検証をしていく。この繰り返しが人としての思想や実践を進化させ、社会を進歩させていくのではないか。

指示待ちになって手遅れになり、常識にがんじがらめになって言い訳や責任転嫁を考えるのではなく、常識との向き合い方を見直すことから始める事を川内君自身のあり方から覚醒させられた。

東日本大震災や原発事故を考えると、「もしも」を「想像力」で1000も2000もシミュレーションし、たくさんの「もしも」を思いつくことができたら私たちはもっと安全で豊かで幸せな社会を構築できるであろう。同様に、高齢者虐待の防止も学識経験者、福祉専門家の豊かであふれる想像力の覚醒が期待される。

2012.1.5

2011年12月27日火曜日

今年を振り返って 日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No20

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年12月号

今年を振り返って

日本高齢者虐待防止センタースタッフ 山浦成子


今年は、東日本大震災、それに伴う福島原発事故と歴史的な1年になりました。

家族や地域の「絆」が見直された年でもありました。

その一方、センターの電話には、家族の軋轢により苦しむ人たちの相談が寄せられていて、家族・身内というものの難しさを感じさせられます。

12月6日には、厚生労働省より平成10年度の虐待件数が16,764件だったと発表されました。家族や親族による虐待が16,668件で6.7%増えたと言っています。

 これは、虐待されていることが明確で、市区町村が関わったものだけであって、氷山の一角であろうと思われます。

当センターに寄せられる相談は、解決がとても難しいものが多くなっています。

1例としては、経済が停滞し、高齢者の息子世代が働く場所を探すのも難しい昨今になり、必ず入ってくるお金と言えば両親の年金。それを目当てに実家に戻りお金をせびるケースが増えています。

お金を出さないと殴るけるなどの暴力が始まり、両親は困り果てるのですが、肉親の情もあり、警察に訴えることまではできずにいるのが現状です。

両親が自立ですとより問題は深刻です。自分の意思があり逃げ出せるのに逃げ出さない、外部からの介入がしにくいからです。

福祉関係者を入れることもできず、親族が口を出すと余計に問題がこじれ、困り果てた相談が寄せられます。

今迄の親子関係が影響していることも多く、親もそれがわかっているからこそ強く出られないということが続くのです。

世間体や見栄などで外部に相談せずに、親子カプセルのように内輪にこもっていては、解決のめどは立ちません。

 隣近所にオープンにする、暴力から逃げだす、地域包括支援センターに相談する、場合によっては警察の介入を依頼する、など助言しますが、実行するには一大決心が必要です。

実際に、センターの助言を聞いて、別居の家族が動き、金をせびり暴力をふるう息子から逃れるために両親を連れだし、他の地域で暮らしを落ち着かせた例があります。

決心するまでには、どれほどの葛藤があったかしれません。毎日のようにかかってくる電話では、息子への愛情と暴力への恐怖で混乱し苦しむ姿が見えました。

相談員は、混乱を受け止め当事者たちが決心するまで辛抱強く付き合いました。自分で自分の生き方を決めるための時間が必要だからです。

 電話相談は、電話することによって即解決することはありませんが、自分の気持ちを整理し次の一歩を踏み出すためのツールとして利用していただきたいと思います。

今年も暮れようとしています。私たちは今日も悩める方々に少しでも寄り添えるように、電話の前でお待ちしています。

1年間、ありがとうございました。

2011年11月17日木曜日

施設虐待を考える 日本高齢者虐待防止センター ニューズレター No19

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年11月号

施設虐待を考える

副田あけみ(関東学院大学)

先日、ある新聞社の記者さんから、電話取材を受けました。施設虐待は、なぜ夜間に起きるのか、という質問でした。実際には、福祉施設ではなく病院で起きた事件で、女性職員が高齢者を叩いた場面を監視カメラが写していた、というものでした。

その事件が起きた病院は、日ごろから施設虐待にかんする研修を行っており、病院長は、「これ以上(防止策を)やるとしたら、監視カメラを増やすしかない」というようなことを言っていたそうです。これを聞いて「ええ??」と言ってしまいました。

施設職員による虐待の場合、支援対象である認知症の高齢者が何か癪に障ることを言ったからとか、面倒をかけたから、カットなって、という衝動的な暴力行為という例はさほど多くないのではないかと思います。

家族とは異なり、職員は、日ごろ、高齢者と情緒的に親密な関係にあるわけではないので、つい感情が爆発してしまうということはあまりない。エイジズム(高齢者差別や侮蔑)の態度・行動を採る職員は論外ですが、それを除けば、職場で孤立していたり、孤独な職員が、ストレス発散をもっとも弱い高齢者に向けて行ってしまった、ということが多いのではないでしょうか。

日ごろから同僚や上司と円滑なコミュニケーションをとることができない、自分のケアの仕方や高齢者への接し方がこれでいいと思っているわけではないけれども、他人から注意されると素直に聞くことができない。そうなると、周囲の人々も「大丈夫かなあ」と不安に思っていても、声掛けや注意を控えるようになってしまう。そうなると、当人はますます孤立し、ストレスをため込んでしまいかねない。そして、つい、、、

では、適切とは思えない態度やケアの方法について、同僚や上司はどうやって注意すればよいのでしょう?

「あの人のケアはちょっとねえ」と言ってしまいそうな人にも、「あら、この点はまあまあじゃない?」「悪くないね」と思える点はあるはず。日ごろから、そうした点を意識して探すようにし、見つけたときには、その場で、あるいは、後から「よく気づいたね」とか、「そのやり方はどうやってみつけたの?」「私もやってみようかな」といった直接的、間接的に肯定的な評価を行う。こうした声掛けは、コミュニケーションを促すはずです。

こうした職員同士、比較的円滑なコミュニケーションが行われている職場ならば、すべてとはいいませんが、かなりの不適切な介護や虐待を未然に防げるのではないでしょうか?

2011年10月9日日曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No18

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年10月号

パリの高齢者から学んだこと

日本高齢者虐待防止センタースタッフ 松丸 真知子

約20年ほど前にパリに6年住んでいた時のことですが、今ではパリで日本人と見るとこちらがフランス語で話しても英語で答えてくる程、殆どの場所で英語が通じますが、当時は本当にフランス語しか通じませんでした。

余談ですが、よく、フランス人は英語を知っていても自国の言葉にプライドを持っているので知らない顔をするのだ。と言われていましたが、私の経験からは本当に簡単な英語さえ分からない人が殆どでした。

私は夫の仕事の関係で住んでいたので、いわゆる高級住宅地と言われるパリの16区に住まわせてもらっていました。

私の印象はパリの人々、特に16区に住まうフランス人は、意地悪で嫌な人が殆どでした。スノッブでエレベーターで顔を合わせても知らん顔。ちょっとそこまで郵便を出しに行くにも男性はきちんとジャケットを着て帽子をかぶって行くのが普通でした。

私が朝、すっぴん、ジーンズで子供を学校へ送って、エレベーターを待っていると、どこかの家のお手伝いさんに「あなたは何階で働いているの?」とよく聞かれるくらい、常にきちんとした身なりをすることが必要でした。

パリのマルシェというと、野菜や果物を美しく積み上げ、肉屋も魚屋も商品をきれいにディスプレーしていることで有名です。パリに住んだ当初は言葉が分からなかったので、マルシェでの買い物は苦労しました。ある日ピーマンを買いに行った時、ピーマンのフランス語が分からないのでそこにあったピーマンを「これちょうだい」といった風につかんだら「さわるな!!」とえらく怒られました。

そして別のピーマンを袋に入れてくれたのでお金を払って家に帰ってみると、腐ったのを入れられていました。トマトを1キロ買えば必ず2,3個は使えないのが入っていることは普通で、しばしば「フランス人とはなんて意地悪なのか。」と暗い気持ちになりました。

このまま何年もパリに住んでそんなことにもなじんで、自分もそうなってしまったら、日本に帰った時は鼻つまみになっているとさえ思いました。

長くパリに住んでいる日本人の方に聞くと、そういうことは当たり前で、ぼやぼやしていないでしっかり見て「それはだめ。他のにして」と言わない方が悪いと言われました。

島国の日本と違って、ヨーロッパは地続きで、侵略の歴史だから自分のことは自分で守らなければならない文化が浸透しているのだとも言われました。全くその通りで、きちんと主張しなければ、どうでもよいように思われて、いいようにされてしまうということはあちこちで体験し、相手から嫌な顔をされることもありません。

パリの朝は早く、早朝から人々は働き始めます。ある朝、子供を学校へ送って行く途中、杖をついて歩くのもやっと、といった風情のやせて小さな老婦人が八百屋の前を通りかかるのを見かけました。すると、突然老婦人が杖を振り上げて怒鳴りだしたました。

八百屋の台車に乗せた果物の箱が通りすがりに老婦人をかすったようでした。老婦人は歩道に仁王立ちとなり、道行く人々が振り返るほどの大声で怒鳴り、台車に高く積み上げている果物の木箱を力いっぱい押し倒し、辺りはリンゴが散乱しました。

その勢いに、八百屋の若者もなすすべなく道路に散乱したリンゴを懸命に拾い集めていました。私に腐ったピーマンを売りつけた若造が・・・・。

もう1人、近所に住む老婦人をご紹介します。

彼女は私の友人と同じアパートの一室に1人で暮らしていました。ずっと独身でしたが、西欧の高齢者に多いのですが、足がひどく腫れて歩くことが困難になっていました。もうかなり高齢でしたので、友人は毎朝彼女の部屋のカーテンが開けられるかどうかで安否確認をしていました。

彼女の家には若者からお年寄りまでたくさんの人が出入りをしていました。殆どがボランティアで、外出に付き添う人、本を読む人、話し相手、おつかいをする人、その他、短時間で一つのことだけやって帰るボランティアが何人も出入りしていました。

私の友人は夕方自分がおつかいに行くときに、声をかけて頼まれたものを買ってきていましたが、ある日頼まれた買い物をして持って行きましたが、「私が頼んだものはこれではなくて、別のものだから取り替えてきてほしい。」と言われたそうです。

又、おしゃべりをしに訪ねた時に、お茶がほしいと言われたので、入れて渡すと「私のお茶のカップはこれでない。」と言われて正しいカップに入れなおしたというエピソードを話してくれました。

このようにきちんと自分のやり方を伝えてもらえると気持ちがいいと、友人は言っていました。

私が泣かされたパリで、「最後まで堂々と自分らしく生きること」が普通になっていることと、それを尊重して少しの時間でも進んで自分のできることを提供し、支える人達がたくさんいることを知り、パリの人も捨てたものではないと見直しました。

フランス語でVolontaireは、自ら進んでするという形容詞で、志願兵の意味もあることは周知のことですが、Volontiersは「喜んで」又は「快く」の意味の副詞です。

日本でも、特に近年はボランティア活動が活発に行われてたくさんの方達が参加しています。私もボランティアをさせていただいていますが「ありがとう」と言われる時は「やっててよかった」と思える瞬間ですが、「そうじゃなくてこうして欲しい」「違う」と言われたときに、自分がどんな姿勢で活動をしているかが問われます。

ボランティア活動だけでなく、仕事でも、日常生活の中でも、どこかで「やってあげている」という気持ちを持っていないか、また「やってもらっている」という気持ちを持たせていないかを、常に自分自身で振り返らなければならないと感じます。

2011年8月23日火曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No17

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年8月号

高齢者虐待予防における被害者学からの学び

埼玉県立大学 小川孔美

2011年7月30日土曜日、第8回日本高齢者虐待防止学会が茨城県水戸市で開催された。
大会テーマは「地域発、高齢者虐待防止」。

大会長基調報告として茨城大学教授瀧澤利行先生から「地域における高齢者虐待防止の研修体制―茨城の試み」、教育講演として「市町村における高齢者虐待防止体制を強化するための評価のあり方」について黒田研二先生(関西大学人間健康学部教授)、水上然先生(神戸学院大学講師)、津村智恵子先生(甲南女子大学看護リハビリテーション学部教授)から、またシンポジウムでは副田あけみ先生(関東学院大学文学部教授・当センター理事)、結城康博先生(淑徳大学総合福祉学部准教授)、大山典宏様(埼玉県福祉部社会福祉課)により「社会的貧困の状況と虐待防止のあり方」が活発に議論された。

また、被害者学という高齢者虐待防止とは異なる研究分野から常磐大学大学院被害者学研究科の長井進先生による特別講演「被害者学からみた高齢者虐待」が行われた。紙幅の関係もあるため、多くに触れることはできないが、本稿ではこの講演について以下に紹介したい。

 ラテン語のvictimaから派生したvictim(被害者)の原義は、「神に捧げる生け贄」であり、英語としては15世紀末に登場した。「他者から負傷、拷問または殺害の被害を受けた人」という意味でのvictimという語は1650年代に初めて記録されている。被害者学(victimology)とは「被害者の研究(Fattah, 2005)」、すなわち「犯罪と、犯罪および被害者化への反応を含む、人権侵害に起因する被害者と被害者化に関する科学的研究(Kirchhoff, 1994)」である。

 刑法および刑法と密接な関係を有する犯罪学の主たる関心は犯罪および犯罪者にあり、被害者にはなかった。犯罪学者のハンス・フォン・ヘンティッヒ(Von Hentig, H.)(1948)の「犯罪のデュエット構造duet frame of crime」なる考えが被害者学の出発点となった。

 エレンベルガー(Ellenberger, E.)(1954)は『犯罪者と被害者の間の心理学的関連』を著し、両者間の相互的影響と役割逆転を含む概念の重要性を強調した。メンデルソーン(Mendelsohn, B.)(1956)は研究誌を創刊し、独立した学問としての被害者学の基礎研究を行った。また、長期的展望を見据え、被害防止が被害者学の主要な目標であることを強調した。その後、被害者学に関する国際会議等が開催され、多くの研究誌が発行されてきた。今日、被害者学に関する国際研究施設がオランダや日本に設立され、研究や研修等に貢献している。フライ(Fry, M.)が1950年代に新聞紙上で犯罪被害者の直面する過酷な現実を訴えたのを契機に、1964年以降、国家による犯罪被害補償制度が徐々に創設された(日本では、1980年に犯罪被害者等給付金支給法が制定された)。

1970年代における女性解放運動の影響で女性の犯罪被害者の窮状が明らかにされ、犯罪被害者支援という新たな関心の的が実を結び始めた。1980年代に、被害者学は被害者化の原因論に関する学術研究から、被害者化への対策論(人道主義に基づく制度改革運動)へと転換して行った。その点に関して、1979年に創設された世界被害者学会(World Society of Victimology)(UNとEUに諮問資格を有する)の功績は大きい。1985年の国連犯罪防止会議にて「国連被害者人権宣言」が採択されたのを機に、数多くの国で被害者の基本的権利を認めるための法制化が進んで行った。1990年、日本被害者学会が創設された。もはや被害者にもたらされる深刻な影響を考慮に入れずに、犯罪を考えることはできない。合理的な刑事政策には犯罪被害者に関する知識が不可欠である。

 ファタ(Fattah, 2005)によれば、被害者学は理論被害者学、応用被害者学、臨床被害者学に分類される。一方、ウェマーズ(Wemmers, 2009)によれば、刑事被害者学、一般被害者学、人権被害者学に分類される。

 被害者学における今日の日本の問題として宮澤(2004)は、①犯罪原因としての被害者というとらえ方から第二次被害者化防止対策、第三次被害者化防止対策へと大きく転換しており、②被害者補償、心理的支援、被害者の権利・法的地位の確立を含む犯罪被害者等への支援活動の充実化が進んでいるが、③個人レベルの紛争解決の限度をはるかに超えたテロ、権力者の犯罪、国際経済犯罪等の新たな犯罪現象に対抗するに十分な法制度や対策が整備されていない、としている。

 「犯罪被害者等基本法」は2004年12月に成立し、2005年4月1日に施行された。国・地方公共団体が講ずべき多様な基本的施策を犯罪被害者等の視点に立って実現することによって、その権利や利益の保護が図られる。内閣府(犯罪被害者等施策推進室)は犯罪被害者白書を発行するのみならず、精力的に多様な施策を推進してきた。現状として、地方公共団体による認識や取り組みを改善する余地がある。

被害者となった心的外傷体験の中核は「無力化」と「離断」である。人生の初期から、発達の段階においてケアを与えてくれる存在と培ってきた「基本的信頼」を土台とした安心感、個人と社会とが結びついているという結合感覚、信頼感が破壊され、社会全体に対する不信をもたらす。
被虐待者にも同じことが言えよう。

犯罪被害と同様、虐待、被虐待も、いつ誰の身に起こっても全く不思議ではない誰もしたくない経験である。他人ごととは考えず自分の身に起こったら、自分の家族・友人の身に起こったらということを考え、傷ついた人たちの心の痛みを理解しようとする気持ちを大切にしなければならない。

暴力のサイクル、危険な兆候とは何か、被害者対応のヒント、DV被害からの回復過程など、高齢者虐待予防において参考となる知見が多く大変勉強となった。

御自身の体験をもふまえながら、高齢者虐待防止法は病院にはあてはまらないことに言及し、「無力で客観的な認識が無い認知症高齢者をも本当の意味で支える法の確立を」と熱く語られた。「法律はつくられても、人の心はなかなか変われない」と指摘する長井先生の言葉とともに胸に残った。


参考文献 
  1. Fattah, E. (2005). Victimology (pp.1724-1728). In Wright, R.A. & Miller, J.M.  Encyclopedia of Criminology. Volume 3. New York: Routrigde.
  2. 宮澤浩一(2004). 被害者学 氏原寛・亀口憲治・成田喜弘・東山紘久・山中康裕(共編)心理臨床大事典[改訂版] 培風館pp.1216-1219
  3. 諸澤英道(1998).新版被害者学入門 成文堂
  4. 長井進(2004).犯罪被害者の心理と支援 ナカニシヤ出版 
  5. 長井進(2011).被害者学からみた高齢者虐待「第8回日本高齢者虐待防止学会(JAPEA)茨城大会 抄録集」pp.22-23.
  6. Wemmers, J.A. (2009). A short History of Victimology. In Hagemann, O., Schafer, P. & Schmidt, S. (Eds.) Victimology, Victim Assistance and Criminal Justice.  Department of Social Work and Cultural Sciences, Niederrhein University of Applied Sciences.
  7. Office for Victims of Crime (2008). In their own words: Domestic abuse in later life. U.S. Department of Justice.

※御紹介

今年2011年6月17日には第6回 World Elder Abuse Awareness Day (日本では「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」と呼ばれる)国際会議がロンドンで行われた。

そのなかで、高齢者虐待をもっと多くの人に考えていただくために、ミュージシャンであるJeff Beam 氏が歌を披露している。題は“Can’t You Feel the Curve of the Earth?
とても素敵な曲なので、皆様にもご紹介したい。
わが国でもこんなアピールもあるとよい。

2011年7月3日日曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No16

JCPEA(日本高齢者虐待防止センター)ニューズレター 2011年7月号

認知症高齢者の介護と「虐待」

佐藤美和子

高齢者虐待の被虐待者には、要介護者、認知症高齢者が多いことはよく知られている。
認知症高齢者への「虐待」対応の難しさとして、ご本人が虐待されていることを認識し、助けを求めることができるかどうか、またご本人の発言をそのまま事実として周囲が理解してよいかという、問題がある。また、認知症高齢者自身に、介護拒否や介護者に対する攻撃行動、妄想などの心理・行動症状などが見られ、介護者から一方的に虐待行為がなされていると判断できない場合もある。

 認知症高齢者の立場に立った場合、自分の行動に対する介入の多くが、自分の思うように動きたい、生活したいという欲求への制限である。周囲の状況が分からない方にとって、「お風呂ですよ」という声かけも理解できず、突然服を脱がされ、お湯をかけられる恐怖は、「虐待」に他ならないかもしれない。自分は昔どおりのことを行っているつもりなのに、家族から「それは違う」「何やっているんだ」と叱責され、「しつけ」とばかりに子どものように指導される心痛はいかばかりだろう。

逆に、介護者の立場に立った場合、認知症を患った高齢者の行動は、安定した生活や健康を害するものであったり、危険であったりして介入をせざるを得ない。「あなたのために」支援しているにもかかわらず、理解してもらえない、介護を拒否する、言う事を聞かない、泥棒扱いされる、攻撃される、といった経験が続くと、介護者は心身ともに疲弊してしまう。怒りや報復の気持ちが沸き起こってしまうこともあるだろう。これは家族介護者だけでなく、施設で働く介護専門職でも同様である。逆に介護者が怪我をするなど被害を受ける場合も多く報告されている。

介護拒否の強い認知症高齢者に対しては、介護すると「心理的・身体的虐待」となり、介護しないと「ネグレクト」になる、というジレンマを感じている介護者も多いと思われる。また、自分の身の安全も確保しなくてはならないという課題も抱えている。

この問題を解決するには、認知症高齢者の生命と身体の安全、健康を守りつつ、身体的・心理的負担を与えないような介護技術が必要であるが、まだ発展途上であるといえるだろう。介護のプロであっても、個々に試行錯誤しながら工夫しているのが現状である。実は、「家庭における養護者の虐待があるから、分離して高齢者施設に入所させればすべて解決」とはいえず、新たに施設においても継続する可能性もゼロではないのである。

認知症高齢者がどのような気持ちで行動し生活しているのか、何故介護拒否が起きるのかなど心理面での理解と、高齢者も介護者も負担の少ない介護方法の開発と普及が早急に望まれる。

2011年6月1日水曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No15

JCPEAニューズレター 2011年6月号

2011年度は、3月11日に発生した未曾有の震災と原発事故のなか、始まりました。震災で犠牲になられた方の多くが高齢者であったと報道もあり心が痛みます。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、罹災された方々へ、心よりお見舞い申しあげます。私たちひとりひとり、何ができるのかを考えていきたいものです。

JCPEAニューズレターでは、本センターのメンバーが、皆さまに、個々の関心や、センター外での活動も含め、メッセージをお届けします。今回の担当は梅崎です。

先日、石巻の福祉避難所で活動してきました。石巻市立病院が被災し、遊楽館というスポーツセンターで石巻市立病院の医師を含む医療職が頑張っていたところを、被災地外からの医療関係者が後方支援しているものです。私の所属する日本医療社会福祉協会(旧日本医療社会事業協会)も、早期から医療ソーシャルワーカーを派遣し、石巻市立病院のソーシャルワーカーをバックアップしています。

高齢者はストレスが身体化しやすく、うつ状態で一時的に判断能力が低下することも予想されるので、避難所退所後に、身体能力が低下して助けを呼べなくなる、詐欺や横領などの被害にあうこと等が懸念されました。また同居家族ともにうつ状態になり、攻撃的になると、家族とのいさかいが家族間暴力に発展する危険性も予感されました。様々な意味で、継続的に支援していくことが重要だと思いました。

さて私は、高齢者虐待の社会的要因に関心を持っているものですが、社会的な高齢者虐待とも言うべき介護負担からの心中事件、殺人事件について、警察庁による報道がありましたので、ご紹介します。山井厚労政務官は「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討」「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示したそうです。

「高齢者による殺人が急増」 
( 2011年01月17日  キャリアブレイン )

警察庁はこのほど、昨年の「刑法犯認知・検挙状況について」(暫定値)をまとめた。それによると高齢者による殺人が急増しており、中でも「介護・看病疲れ」が動機の2位になっていることが分かった。

まとめによると、昨年の殺人の検挙数は前年比2.5%減の1067件(14歳未満による殺人などを含む)で、戦後最少を更新。ただ検挙数を年齢別に見ると、14―19歳が13.3%減の39件、20―64歳が6.8%減の730件だったのに対し、65歳以上は22.3%増の175件だった。65歳以上による殺人の動機を見ると、「憤怒」が72件で最も多く、次いで「介護・看病疲れ」30件、「怨恨」28件、「生活困窮」6件と続いた。

「高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官 」
( 2010年04月14日 キャリアブレイン )

「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)の見直しについて、厚生労働省の山井和則政務官は4月14日の衆院厚生労働委員会で、「介護者を支援する在宅福祉の充実が不十分。改善を検討している」と述べた。古屋範子氏(公明)の質問に答えた。

2006年4月施行の高齢者虐待防止法は、施行後3年をめどに、課題があれば見直しを行うことが規定されている。古屋氏の「在宅の介護者は心身共に限界。高齢者の短期受け入れ施設の拡充や、24時間体制の相談窓口設置などが必要」との指摘に対し、山井政務官は「高齢者虐待防止法は高齢者虐待の未然防止が最大の眼目。指摘された手法を含めて、さまざまな方法が考えられる」と、介護者支援を重点に見直しを行う考えを示した。

また、山井政務官は「今までの(在宅介護支援)サービスは使い勝手が良くなかった」と指摘。在宅の介護計画などを作成するケアマネジャーについて、「必要書類が多過ぎて現場で使える時間が少ない。改善を検討している」と述べた。施設の介護従事者の処遇改善については、「賃金を引き上げ、介護従事者が誇りを持って一生働けるようにすることが必要だと考えている」とした。

■医療従事者による虐待含むのは「大きな議論」

古屋氏は、同法にある介護者や介護施設従事者による虐待についての規定以外にも、医療機関や無届け施設従事者による虐待についての規定を含めるよう求めたが、山井政務官は「医療機関については大きな議論なので、政府としても考えている」と述べるにとどまった。

高齢者虐待の立ち入り調査について、古屋氏は「立ち入り調査要件に『高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている恐れ』が含まれているため、現場では立ち入り調査する判断に苦労している」とし、この要件を含まない児童虐待防止法と同程度の規定に改めるよう求めた。これに対し、山井政務官は「実態を把握する必要があるので議論していきたい」と答えた。

■「セルフネグレクト」は対象外

生きる気力を失った高齢者や認知症の高齢者による自己放任行為「セルフネグレクト」について、古屋氏は高齢者虐待の定義に新たに加える必要があると指摘。これに対し山井政務官は、「(「身体的虐待」など現状の定義と)同じ類型には入らないと考える。ただ、放置すべき問題ではない」と述べた。

2011年1月4日火曜日

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No14

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No14

新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

皆様、お正月をいかがお過ごしでしょうか。
No14は、10年11月末にお送りする予定でしたが、発信が年を越してしまいました。隔月にお送りできるよう、努力したいと思います。
気になった記事を<その他>に入れていきましたので、No14は、<その他>中心の号になりました。
(AS)

目次は以下のとおりです。

<エッセイ> 1本
<New Information> 2本
<家庭内虐待> 記事 6本
<施設虐待> 記事 3本 
<その他> 記事 30本
(配信用ニューズレターとは異なり、本HPでは、エッセイをのぞき、すべてタイトルのみの掲示となっております)


情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。

*****************目次**********************

<エッセイ>
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」 小川孔美(埼玉県立大学)

<New Information> 
1 新規アルツハイマー治療薬2品目の承認を了承―医薬品第一部会
( 2010年11月24日 22:59 キャリアブレイン )
2 介護保険改正 厚生労働省案、介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント
3『平成21 年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果』

<家庭内虐待> 
1 高齢者虐待:09年度162件、「経済的」が倍増 県「景気悪化要因」 /神奈川
毎日新聞 2010年9月25日 地方版
2 兵庫県 高齢者虐待 最多698件 県内昨年度 大半は家庭内 目立つ介護負担 
(2010年10月27日  読売新聞)
3 殺人未遂:寝たきり母殺害未遂、50歳容疑者逮捕 搬送先で死亡--愛知・半田
毎日新聞 2010年10月26日 中部朝刊
4 寝たきり妻殺害:容疑の81歳を逮捕…千葉県警  毎日新聞 2010年11月7日 
5 介護してた長男傷害容疑で逮捕  八街、暴行?父親は死亡
2010年11月06日14時46分ちばとぴ
6 東京NEWS2010<2>葛飾の介護殺人 抱え込み「疲れた」2010年12月20日


<施設虐待> 
1 傷害致死:同室の93歳女性死なす 容疑で認知症の男逮捕--愛知・岡崎の特養ホーム
毎日jp 10/17
2 岡崎の特養暴行死:市と県が立ち入り 2人部屋に6人、法抵触 /愛知毎日新聞 2010年10月22日 地方版
3 認知症者 声届きにくく:県、7月の調査でつかめず(2010年12月4日  読売新聞)

<その他>
1 【長寿社会の虚実】第1部 111歳ミイラの周辺で(上) 「即身成仏になる」家族を苦しめた祖父の呪縛 (1/4ページ)  産経ニュース 2010.9.15 22:08
2 【長寿社会の虚実】第2部 地域・行政の限界(上) 「地縁、血縁には頼れない」 センサーが見守る (1/3ページ)  産経ニュース2010.9.18 21:01
3 『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題
2010年9月30日  中日新聞
4 社説:成年後見10年 長命社会守る「切り札」に  毎日新聞 2010年9月30日 2時30分
5「91歳」男性遺体、長女を逮捕=年金700万円詐取容疑-大阪府警  時事ドッドコム
(2010/10/12-17:59)
6 ニュータウンも年をとる (上)世代交流  asahicom2010年10月08日
7「お泊まりデイ」への保険適用「貧困ビジネスが飛び付く」( 2010年10月18日 22:41 キャリアブレイン )
8「生活援助を介護保険から外さないで」―市民団体が集会( 2010年08月05日 20:39 キャリアブレイン )
9 高齢者はいま…:つなげ地域の輪/下 鹿沼みまもり隊 /栃木
◇子育て世代とも連帯を 月1の訪問と報告義務  毎日jp
10 孤独死:公営団地で1191人 65歳以上は7割超  
毎日新聞 2010年10月27日 2時36分(
11『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く
中日新聞  2010年9月23日
12  介護者支援の輪広がる  asahi.com 2010年10月20日
13 白骨化遺体:市営住宅に 居住女性か--岐阜 毎日新聞 2010年10月19日 中部朝刊
14 ネット調査:全国で相次ぐ高齢者の不明 「国の制度機能せず」47%  毎日新聞 2010年10月21日 東京朝刊
15 一人暮らし高齢者に大学生が付き添い買い物 品川区がモデル事業 毎日jp2010.10.19 19:11
16 高齢者の見守り センターに専属コーディネーター 池尻、北沢など10カ所に配置
東京新聞2010年10月18日
17 注目集まる市民後見人 住民同士で支えるセーフティーネット 質向上へ行政の支援急務
東京新聞 2010年10月20日
18 高齢者介護向けのロボット開発進む。子や孫が遠隔操作の「テレノイドR1」や対話ロボも
東京IT新聞 記事詳細 150号 2010年10月26日 12面「特集:PICK UP! 」  
19 「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会( 2010年10月22日 18:18 キャリアブレイン )
20 増える首長の成年後見制度申し立て  asahi.com 埼玉2010年10月27日
21 認知症高齢者5人に1人財産被害  NHK10月27日 4時51分
22 単身高齢者の個人情報、民生委員に提供は自治体の約半数( 2010年11月01日 16:51 キャリアブレイン )
23 高齢者虐待防止講演会~講談から認知症介護と高齢者虐待を考える~
24 介護保険:「要支援」2割負担検討 生活援助の縮小も 毎日新聞 2010年10月28日 東京朝刊
25 有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビング株式会社による「介護に関する意識調査」結果; http://www.orixliving.jp/company/pdf/pressinfo_101029.pdf
26 第37回社会保障審議会介護保険部会資料http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x93i.html
27 介護保険見直しへ意見書 「軽度」生活援助縮小も 「重度」対象者に手厚く
中日新聞 2010年12月2日
28介護保険10年  (2010年11月30日  読売新聞)
29 家族に頼れる時代の終わり 「孤族の国」 朝日新聞2010年12月26日
30 みえ (5)熊野の母親遺棄 高齢者確認へ積極策必要 (2010年12月25日  読売新聞)



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<エッセイ>

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(2)」

小川孔美(埼玉県立大学)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。

前号では、入居者の訴えが管理者に伝えられるまでの、7時間にわたる「時間の空白」の中で、訴えを受け止めた職員の心の中でどのような葛藤があったかをお伝えした。

今回も前号に引き続き、介護老人福祉施設であった高齢者虐待について、「施設を利用する家族の心」を中心に第2報としてお伝えしたい。

施設内で起こった高齢者虐待の事実を、情報公開は義務であるとしてこの施設は開示に徹したことは、既に前号で述べた。

高齢者虐待をしていた職員から暴力を受けたと思われる利用者の家族だけではなく、この施設の入居者と入居者の家族すべてに、「施設内における虐待事件の発生について」の報告とお詫びの文書を送付した。そこには、事態の説明責任を果たすべく、不明な点、不安な点について相談可能な窓口を設置(電話相談)したことも書かれてあった。

○この仕事をしている方達は、プロなんだから、このような事があってはいけないと思う

という意見も当然聞かれたが、施設を利用する家族からの反応は、以下のように概ね施設の対応、職員に好意的だった。

○「このような仕事についている職員は、本当に大変だと思う。先日、面会に行った時も、こまめに訪室し、よくやってくれていた。感心している。

○家で看ていた時(入所前)、私も言葉が荒くなったり、手を出しそうになったこともあった。だから、今回虐待を行ってしまった職員の気持ちもわからなくはない。

○虐待をしてしまった職員のこの先が心配だ。これを機にしっかり立ち直ってくれればよいが。

○介護中に強い抵抗があったことについては、面会に行ったときの様子からも想像できる。それだけではなく、現在では、便いじりをしたり、人に噛み付こうとするまでの症状が出ていることは、初めて知った。現状を知ることができてよかった。

○認知症だから、もう忘れているでしょう。過ぎたことだから、わざわざ問題にするつもりはない。

○今後とも、施設によろしくお願いしたいと思っている。

施設を利用する家族は、施設職員に要介護者を委ねている。

要介護者が入所するまで、様々な葛藤や困難を乗り越えながら介護をし続け、家族にとってすでに限界だからこそ入所に至っている場合や、家では他に要介護者がおり、とても二人とも看られる状態ではないため入所に至る場合、また要介護者を看る介護者不在など、世帯、家族の多様性に伴い、あらゆる理由とともに利用者の入所がある。

家族にとって、要介護者を施設に委ねることができるか、入所できない状態が続くかは、時には家族としての今を左右するほど重大なことでもある。

要介護者を看ることができないから施設に預け、職員らに、要介護者がどんなに大変な状況でも看てもらっているのだという思いが、時には負い目となり感謝の言葉となる。

また「介護」の大変さ、辛さをわかっている家族は、自身の「介護の記憶」というフィルターをとおして、虐待した職員の気持ちや苦痛をも理解しようとする側面があることを、家族の言葉から伺う事が出来る。さらには、利用者本人の認知症症状の程度によって、「記憶」が曖昧になればなるほど、「虐待」の事実はかき消されやすくなる。

虐待を受けた入居者の家族は、施設に今後のことを引き続き託しながらも、以下の言葉を述べている。

「(職員から)虐待を受けていた時、本人はどのような様子だったかを知りたいと思います。その様子から、本人の心の声を少しでも代弁できたらと思うのです。それが、家族の役目だと思うし、そこを守らなければ、誰も本人を守るものがいなくなってしまうので。」

「施設を利用する家族の心」が貴方に届いただろうか。
「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か」私たちは、もう一度問い直さなければならない。

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2010年10月7日木曜日

日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.13

日本高齢者虐待防止センター  ニューズレター No13 (2010/10/2)

すっかり秋めいてきましたが、皆さま、お変わりありませんか?

この夏は熱中症も大きな心配事でしたが、所在不明高齢者の問題もいろいろなことを考えさせられる出来事でした。

New Informationでは、この問題を萩原さんが論じています。今回は、<その他>にこの問題に関する記事をたくさん入れました。

<エッセイ>は、岡野さんと小川さんにお書きいただきました。
(AS)

No13の目次は以下のとおりです。

<エッセイ> 2本

<New Information> 1本

<家庭内虐待> 記事 15本

<施設虐待> 記事 1本 

<その他> 記事 30本

<お知らせ> なし

情報の多くは、「市民福祉情報」よりいただいています。
本メールの配信をご希望されない方は、その旨、お知らせください。
無断転載はお断りいたします。

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<エッセイ>

「人生捨てたもんじゃない!」 岡野 美由紀(公務員)

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」小川孔美 (埼玉県立大学)

<New Information> 

~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~

「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」 萩原清子(関東学院大学)

<家庭内虐待>

1 虐待気づくも市は保護せず 寝屋川転落死 Asahi.com 2010年8月27日

2 大阪・岸和田の「83歳」白骨遺体:不明の三男、5年以上介護放棄か毎日新聞 2010年9月4日 大阪夕刊

3 大阪・岸和田で民家に「83歳」白骨、年金全額引き出し 同居の三男が所在不明  (2010年9月4日  読売新聞)

4 83歳女性、胸刺され死亡=同居長女から事情聴く-茨城県警  時事ドットコム(2010/09/04-17:49)

5 80歳母放置、次男を起訴 津地検(2010年9月3日  読売新聞)

6 函館の認知症妻傷害致死:夫に懲役5年求刑--函館地裁公判 /北海道毎日JP 9月3日

7 高齢者虐待50件増270件 09年度防止法浸透で顕在化  (2010年9月3日  読売新聞)

8 府内の家庭内高齢者虐待、09年度2年ぶり増加 京都新聞【  2010年09月07日

9 愛媛県内の高齢者虐待231件、3年連続増…09年度(2010年9月10日 読売新聞)

10 「介護に疲れた」…死亡の老夫婦は心中 玉名署   くまにちコム2010年09月08日

11大牟田の夫殺害:事件前に長女が市に相談 市議会教育厚生委で報告 /福岡毎日新聞 2010年9月9日 地方版

12 認知症87歳父 暴行し死なす 傷害容疑で長男逮捕 (2010年9月14日  読売新聞)

13 豊川白骨遺体 「母は昨年5月に死亡」姉妹供述 葬式の煩わしさ動機か (2010年9月19日  読売新聞)

14 高齢者虐待被害216人  09年度 高止まり(2010年9月16日  読売新聞)

15 高齢者を経済的虐待倍増預金無断引き出し年金満額渡さず (2010年9月25日  読売新聞)

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<施設虐待>

1 高齢者虐待:氷川町の老人ホームに県が改善命令 /熊本 毎日新聞 2010年9月3日

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<その他>

1 孤立のおそれある高齢者の支援を介護保険で 首相指示 asahi.com2010年8月29日23時

2 後期高齢者の医療情報使い所在確認―厚労相  CBニュース(キャリアブレイン)      (2010/08/30 )

3 首相指示受け、独居高齢者支援の検討に着手-山井政務官  CBニュース(キャリアブレイン)(2010/08/30 22:27)

4 地域包括センター、直営化やケアマネへの委譲など――傍聴レポ2 CARE MANAGEMENT on-line

5 厚労省、在宅サービスの創設提案   Silver-.news.com (2010/08/27)

6 【ゆうゆうLife】「介護できる」は幸せ?不幸?2010.8.26 13:49

7 福井市で160歳"生存" 高齢者不明問題100歳以上は963人  産経ニュース2010.8.27 03:12

8 職場定着の鍵は「介護は専門職」 宇短大・古川准教授が調査 下野新聞(8月23日 05:00)

9 時代の風:ひきこもりと所在不明高齢者=精神科医・斎藤環 ◇立ちはだかる家族の壁 毎日新聞 2010年8月29日 東京朝刊

10 高齢者不明:国の対策進まず 個人情報保護法などが壁 毎日新聞 2010年8月29日 

11 医療ナビ:アルツハイマーの新薬 服用方法や仕組みの異なる3種類が日本でも来年中...2010年8月31日 毎日新聞

12 社会保障「保護型」から「参加型」へ 厚労白書が提唱  Asahi.com 2010年8月29日

13 寂しい高齢者、多いのは23区―東京社会福祉士会の安心電話( 2010年09月01日 13:47
キャリアブレイン )

14  事務連絡  平成22年9月3日
各都道府県介護保険主管課(室)御中  地域包括支援センター等において地域の見守り活動等を構築していく際の支援を必要とする者に関する個人情報の取扱いについて (厚生労働省老健局振興課長)

15 「見守り活動」に限界  2010年09月03日 asahi.com

16 戸籍に現住所ない100歳以上は23万人…法務省調査(2010年9月10日 読売新聞)

17 23万人所在不明「戸籍制度は形式化」…識者指摘  yomiDr.(2010年9月10日 読売新聞)

18 2次予防廃止視野にパブコメ 地域支援事業で厚労省 背景に政官の思惑違いSilver.com  (2010/09/09)

19 究・求・救・Q:不明高齢者訪ねて… 廃屋の108歳女性宅 /岡山  毎日新聞9/8 ◇ポストに名前、郵便物

20 桑名市:65歳以上が「介護ボラ」 活動に応じ交付金--来月から制度開始 /三重 毎日新聞9/9地方版

21 高齢者同士の介護に換金ポイント 富士吉田市が新事業 asahi.com2010年9月9日

22 ユーチューブからニューヨークのEMS(Emergency Medical Service Provider) の啓発ビデオ

23  男性介護者の支援組織結成 岡山の江川さんら 19日に初交流会  山陽新聞 9/13

24  今年度の満100歳、2万3269人 厚労省、面会確認  asahi.com 2010年9月14日

25 老老介護世帯、5割に認知症・・・道、支援検討の方針 (2010年9月18日  読売新聞)

26 敬老祝い、手渡ししたいけど… 人手不足・プライバシー  asahi.com2010年9月19日

27 『お泊まりデイサービス』の現状(上) 独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く 中日新聞  2010年9月23日

28 絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/2 生活、老親の年金頼り 毎日新聞 2010年9月21日 東京朝刊

29  絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/4 近所同士、合鍵持ち合い 毎日新聞 2010年9月23日 東京朝刊

30「所在不明問題 責任私らにも」「表彰状より施設整備を」… 100歳の主張 (1/2ページ) 2010.9.19 22:45   産経ニュース



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<エッセイ1>

「人生捨てたもんじゃない!」

岡野 美由紀(公務員)

9月18日・19日に安心づくり安全探しアプローチによる高齢者虐待防止研修に参加させて頂いた。たくさんの講義内容とワークが取り入れられた研修であった。ご本人や家族の強みに目をむけ、ともに考える。生活の中に存在するプラスの事実を、ご本人・家族から聞き出す。解決思考アプローチに基づいた実践的なアプローチ、安心づくり安全探しアプローチについて学ばせていただいた。この研修で一番最初に行われたワークについてご紹介させていただきたい。

「変な質問です。今日朝起きてから今までに人生捨てたもんじゃないと思えた出来事はありますか?」

その日の研修は10時開始。私は朝8時起床、5人家族の洗濯物を干し、朝ご飯を食べ、駅に向かい電車に乗って、会場に来た。その2時間ちょっとの間に、人生捨てたもんじゃないと思えるだろうか。なんて無茶な質問なのだろうかと思った。ワークなのでと、予定より遅く起床したがそれでも洗濯干し朝ご飯を食べて、研修に間に合ったことと、無理矢理に考えてみた。

このワークでは、要は
生活の中での「少しでも悪くないこと」(=例外)に注目をすること。気づいた「例外」を掘り下げていき、どうしてそんなことが起きたのか、どんなことがよかったのか。だれが支えてくれか。それには自分のどんなところが役だったのか。本人のお手柄として、本人に気づいてもらう。

私の場合は、朝の洗濯干しは習慣となっており、朝ご飯は多少用意されていたのは家族の支えで、平日は家族の起床時間に合わせて自分も早起きしていることを理解してくれていたのか。日常のこの習慣が強みになっていたのではと考えた。こんな些細な慌ただしい時間を、少しでも悪くない出来事とポジティブに考えるだけで、楽しく過ごせるのだということ。単純な私なので、このワーク後、自分の人生捨てたもんじゃないと思ったのである。

2日間の研修では、これ以外にもワークを行い、新たな気付きを得られ、学ばされることが多かった。研修で学んだことをどれだけ活用できるか分からないが、日々の日常の中で、本人と家族にも自分の強みを見つけてもらい「人生捨てたもんじゃない」と気づいてもらいたいと思えた研修であった。お困り事のある方の隣に寄り添って、ともに考えていけたらなと思うのである。

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<エッセイ2>

「施設入居者の傷ついた心と身体を最後まで守るのは誰か(1)」

小川孔美 (埼玉県立大学)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で高齢者虐待があった。
つい先日、その施設の管理者の方からお話を伺う機会があった。

伺ったお話から、少しでも多くの方に伝えたいことが数多くあったので、この場を借りてお伝えしたい。だが、紙幅の関係上、ごくわずかなことしかお伝えできないことが残念である。今回をまず第一報としたい。

その日の朝、排泄介助のためトイレ誘導した際、入居者の方が興奮気味に職員に話しかけてきたという「鼻と耳を引っ張られた、頭を叩かれた」と。

その入居者の訴えは、夕方になって、訴えを聞いた職員から、統括ユニットリーダー(以下統括UL)に申し送られ、あらためて統括ULが入居者の訴えを聞き直すことで事実を確認し、その上で訴えが管理者に伝えられたという。

お話を伺っていて、入居者から訴えがあった「朝」から、管理者に事実が報告される「夕方」までの6~7時間にわたる「時間の空白」が気になった。その「時間」は、何に費やされていたのだろうか。

最初に訴えを受け止めた職員は、日頃から入居者に対して誠実であり、周囲の職員にも気を遣いすぎるほどの人物だという。彼はその時間の空白のなかで、何を考え、何を思っていたのか。―多くのことが考えられていたが、主に4つに集約されると思われた。

①「事実を上司に報告することは"つげ口"になってしまうがどうしよう」:報告する行為についての葛藤

②「(虐待していたかもしれない職員は)このことで仕事を辞めさせられてしまうのか、生活はどうなるのか、大丈夫なのか。他の仕事で食べていけるのか」仕事仲間への配慮、気遣い

③「自分が働いている施設で虐待が発覚したということになれば、他の入居者はどのように受け止めるであろう。施設を信頼して預けている家族はどのように考えるのか、この施設で働いている自分はどうなるのだろう」施設信用、対外関係性悪化への躊躇

④「(虐待していたかもしれない)職員が本当にやったかどうか確証がつかめていない(訴えた入居者は少し認知症があるので訴えが定かでない場合がある)」虐待訴えの信憑性 

およそ7時間もの間、訴えを受け止めた職員は、次の統括ULに報告するまで、誰にも相談できず、ひとりで事実を抱えこんでいた。だが、夕方の申し送り場面を利用し、試行錯誤の中、何よりも訴えた入居者のことを考え、事実を次のステップに進めた勇気に拍手を送りたい。そして、施設の管理者がこの事実について内部処理をせず、情報公開は義務であるとして開示に徹し、施設内の職員、施設全入居者とその家族、市内外各関係機関、各関係保険者、県に報告、謝罪し、さらに落ち着いた段階で、事業者連絡会にて報告を行い、問題、課題を共有した。

虐待事実を省みて、これからの施設運営、ケア体制に生かそうとする懸命な姿勢と、施設だけではどうにもならない課題が実は多く潜んでいることを、社会に知らせる必要があると考え、その行動に徹したこの施設の姿勢に心から敬意を表する。

「介護保険施設のセーフティネット(特別養護老人ホームの役割)に穴を開けてはならない。」管理者から聞くことができた大切な言葉である。あなたにも届くだろうか。
次の機会には、「施設を利用する家族の心」を中心にお伝えしたい。

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~ NEW 社会保障・社会福祉情報 ~

「長生き時代を生きるための社会と個人の覚悟-高齢者の所在不明問題を考える」

萩原清子 (関東学院大学)

1.所在不明高齢者の存在が相次いで見つかっている問題の背景

今年、100歳以上の高齢者は44,449人と過去最多を更新したと9月14日に厚生労働省は発表した。長寿を喜ぶべきだが、その裏側で今夏、高齢者の所在不明問題と年金不正受給問題が日本社会に大きな衝撃を与えた。

所在不明高齢者問題の背景には、日本福祉大学教授石川満によると①自治体が高齢者の実態を把握できない問題があり、②家族が死亡届を出さないとか、年金を不正に受給している問題がある。③として家を出てどこかで不明・死亡している可能性がある。①の問題としては、老人福祉法で市町村は「老人の福祉に関し、必要な情報の把握に努める」と実態把握の責務を明記しているものの、2000年の介護保険制度の導入で自治体の多くは福祉サービスを民間事業者など外部に任せている。介護保険によるケアマネジャーは介護保険による介護サービスを申請しない人にまで訪問することはない。90年代までは福祉事務所職員は高齢者宅を訪問し、健康状態や暮らしぶりなどを記した「個別援助台帳」を作成し、職員は必要な場合、立入調査をする権限をもっていた、という。

②と③の問題背景としては、「無縁社会」の現状と根底にある「貧困化」を指摘する論者は多い。「無縁社会」に関してはNHKがスペシャルとして本年1月に放送したところ大きな反響を呼んだ。身元が不明で引き取り手もない人は年間3万2000人にものぼり、また「生涯未婚」も増加し、「自分の家で亡くなっても、名前が分かっていても身元不明人」ということで処理される。いわゆる出稼ぎの人が故郷で親兄弟が亡くなると帰れなくなり、親族でも、つながりが薄いと引き取り拒否のケースも多い。これらの所在不明者は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(明治32年3月28日法律93号、改正昭和61年12月26日法律109号)によって扱われる。

同法第1条によると「行旅死亡人」とは、「行旅中死亡し引取者なき者を言う。住所、居所もしくは氏名知れずかつ引取者なき死亡人は行旅死亡人と見なす」と定義され、現地主義によって取扱は市町村が行い、当該都道府県が費用の最終負担を行なうことを定めている。今日の「所在不明の高齢者」も「行旅死亡人」として取り扱われることになるが、明治時代に制定された当該「取扱法」で扱うことが適切なのかどうか。

現在の所在不明の人々を、行旅死亡人という呼び方をすることは「悲惨な実態を隠してしまうように思えてならない」という新聞投書者の意見に全く同感である。同時に、高齢者の所在不明問題と家族による年金不正受給問題の根底には「貧困」の広がりがあることは論を俟たない。年金不正受給のケースではなくとも、なぜ、白骨化した遺体が押入れや、移動のたびにリュックに入れられて持ち歩かれていたのか。なぜ、死亡届が提出されなかったのか。これらのことは、家族の愛情を汲んだ制度がなかったか、または有っても機能しなかったと考えられる。

2.「無縁社会」に生きる社会の対応

現代は家族や他者とのつながりが希薄になり、たとえ親族であっても連絡を取り合わないケースは多い。NHKの取材でも明らかになったように、所在不明者の多くが地縁や血縁など社会とのつながりを失ったまま「無縁化」している。そこで何よりも必要な対応は、このような時代の変化を直視した「セーフティーネット」の構築である。しかも、一人でも暮らして行ける社会保障の整備である。現行「行旅死亡人取扱法」では、「亡くなった人の遺体の引き取りで、窓口でたらいまわし」するような公的機関の押し付け合いの現状は避けられない。

もし、医療と住宅政策がしっかりしていれば、不安定な生活層や就労層でも、親の年金を不正受給しなくてよかったのではないか。医療と住宅が約束されていれば最低限のお金や低い年金でも生活できているのではないか。年金を含めた収入のほとんどが家賃に消えたり、医療にかかりたくても病院にも行けない現状の社会的仕組みが今日の所在者不明や年金不正受給問題の背景にある。「無縁社会」を直視した社会的・法的システムとしてのセーフティネットの構築が急がれる。

3.「無縁社会に」に生きる家族の対応:葬式の出し方

なぜ、死亡届が提出されないのだろうか。一般的には、自宅で死亡した場合、警察に連絡し検視が行なわれる。従来なら地域社会が死亡後の対応を手伝ってくれただろう。しかし、現在では孤独死であったり、家族や自分たちだけで死亡後の手続きや葬式の手配をしなくてはならない。在宅死亡の体験はだれでも一生に一度か二度であろうから、どのような手順でどのような手続きをし、いくらぐらいのお金が必要か、わからない人も多いだろう。最近、身内だけの小規模葬儀や直接火葬場に運び炉前で身内や友人が別れを告げるだけの「直葬」、「家族葬」が急増しているという。

背景には「貧困」があるという。葬式を「しない」のではなく、「できない」のだという。もちろん、葬儀は「自分らしく」という葬儀の考え方の変化がある。しかし、高齢者の所在不明問題や白骨化した遺体問題の背景には、「自宅に妻の遺体を放置した」77歳の夫が「役所の手続きが面倒くさくて自宅内で死亡した妻73歳の遺体をベランダに放置した」として逮捕されたケースがある(9/21)。

今後、たとえ家族と同居していても、あるいは別居子がいたとしても、どういう風に葬式を出していくか家族としても大きな課題である。1984年、映画監督の故伊丹十三が「お葬式」という映画で、初めてお葬式を出す家族の右往左往ぶりをコミカルに描いていた。しかし、四半世紀後の現在は、葬式すら出せなくなっている。

4.長生き時代に自分でできる死に向かう準備

高齢者の所在不明問題に関しては、何よりも社会のセーフティネットの構築が急務であることを述べた。他方、長生き時代を生きるために個人として準備しなければならない行動がある。それは死に向かう準備である。老後を迎えた多くの人が、「家族に迷惑をかけたくない」と思っている。が、実際に迷惑をかけない方法を思いつき、かつ、実践している人は必ずしも多くはないであろう。死に向かう準備の一つとして「遺言書」の作成、もう一つは「献体」制度の利用をあげてみたい。

死後残された家族間のトラブル防止のために「遺言書」を自分で書ける「遺言キット」が販売されている。他方、献体制度についてだが、献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することである。「医学および歯学教育のための献体に関する法律」が昭和58年5月に国会で可決、成立し、同年11月25日より施行されている。

たとえ家族関係が良好だとしても、家族に「迷惑をかけたくない」という親世代は増加している。特別な資産・財産がなくとも自分ができる「迷惑をかけない死に向かう選択肢」の一つとして遺言書作成と献体制度の利用を提案した。かつて献体は、肉親の体を切り刻むという印象が強く、抵抗感を持つ家族も多かったと思われるが、近年のドナー登録や家族による臓器移植の承諾等により、献体に対する本人および家族の印象も変ってきているのではないだろうか。長寿が当たり前になった今日、自分らしい生き方の模索が始まっている。

〈参  考〉

Ⅰ 新政権による社会福祉施策の方向

● 政府は6月18日の閣議で日本経済の再生に向けた2020年度までの行動計画「新成長戦略」を決定し、医療・介護・健康関連産業を「成長牽引産業」に位置づけた。

● 新政権は産業構造を変えて「新しい福祉」をつくるために「強い経済、強い財政、強い社会保障」を掲げ、「高福祉・高負担」を宣言した。

● 新政府は、6月29日、2014年度以降の導入を目指す新たな年金制度について制度の一元化や最低保障年金の導入、負担と給付関係の明確化、安定的財源の確保など制度の持続可能に必要な7つの基本原則を決めた。


Ⅱ 時代の変化と既存福祉施策のギャップ

● 厚労省は「特養ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する取りまとめ」を発表し、特養の介護職員にたん吸引を容認する方針を認めた(3/31)。
なお、これまで特養ホーム等で一定の条件下で認めていた介護職員によるたんの吸引等の一定の行為について、グループホーム、訪問介護事業所、障害者支援施設等でも行なえるようモデル事業を実施することを決めた(8/9)。

● 厚労省「地域包括ケア研究会」は団塊世代が75歳以上となる2025年に向けた介護改革を提言。そこでは在宅サービスを優先し、施設サービスはそれを補完するものと位置づけ、24時間巡回型訪問の導入、施設類型の再編による医療法人に特養ホームの設置を認めること、介護福祉士が基礎的な医療的ケアを担うことなどを求めた(4/26)。しかし、後日開かれた「社会保障審議会介護保険部会」(6/21)では、地域包括ケア研究会の報告書内容について、「自立支援」が強調されすぎていることへの委員からの懸念の声が上がった。報告書が「自助・互助」や「自立支援」を強調しているとの懸念から「公的介護保険から離れていこうとしている」「自立支援という考え方だけでは、現実から離れている」といった声が続出したという(「福祉新聞」6/28)。

● 「高齢者住まい法」の改正により高齢者専用賃貸住宅などの高齢者の入居を拒否しないために「高齢者円滑入居賃貸住宅」について新たな床面積や設備等の登録基準を設定(
5/19)。

● 生活保護制度の老齢加算廃止は違法の判決(6/14)。北九州市在住の74~92歳の男女39人が老齢加算の減額・廃止処分は違法として、市に処分取り消しを求めた訴訟について、福岡高裁は、合憲として棄却した一審判決を取り消し、原告の逆転勝訴とした。

● 介護施設等設置の参酌標準の撤廃方針。規制・制度改革に係る対処方針が閣議決定され、介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃、特養の社会医療法人参入を可とする等の方針が示された(6/18)。

● 厚労省は「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」を設置し、在宅の高齢者が施設入所と同等の負担で同等の安心を得られるよう24時間体制の訪問看護・訪問介護の構築を目指す方策を明らかにした(6/18)。

● 地域支援事業実施要綱の一部が改正され、「特定高齢者」を「二次予防事業の対象者」に改め、介護予防ケアプランの作成の義務をなくすよう8/6より適用すると都道府県知事宛に通知した(8/6)。(Ⅱの一部は、東京都社会福祉協議会『福祉広報』各月「福祉のできごと」より引用・参照)

2010年8月2日月曜日

日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.12





暑中お見舞い申し上げます
尋常ではない暑さですね。みなさま、体調のほうはいかがですか?
熱中症でお亡くなりになるお年寄りが増えています。残念です。

私も遠くで一人暮らしを続けている叔母や母に、水分をこまめにとるよう、しょっちゅう電話をかけて言っています。うるさがられていますけれど。

111歳の方の事件、今後も起きそうな事件です。それにしても区の対応には首をかしげざるを得ません。関連記事を<その他>に載せています。

まだしばらく猛暑が続きそうです。どうぞ、ご自愛ください。
本ニューズレターは一部映らない部分があります。また、横長で読みにくい可能性もありますので、同じものを添付ファイルでお送りします。

                                                                      (AS)
No12のコンテンツは以下のとおりです。

<エッセイ> 1本
<New Information>2本
<家庭内虐待> 記事7本
<施設虐待> 記事5本 
<その他> 記事8本
<お知らせ> 1

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目次

<エッセイ> 

1 「タイムシートの意外な活用法」 楠本 聡(団体職員)
<New Information>

1 「レビー小体型認知症について」   佐藤美和子(日本高齢者虐待防止センター)
2 「アルツハイマー病治療のあらたな可能性」金子善彦 (日本高齢者虐待防止センター)より提供
<家庭内虐待>
1 東金の母絞殺に猶予刑   地裁判決  千葉日報 2010年05月28日20時46分
2 介護に嫌気?83歳母親殴り意識不明 (2010年6月2日10時55分  読 売新聞)
3 睡眠薬…寝たきり妻絞殺の夫に猶予判決 介護20年など考慮  産経ニュース2010.6.14
4 無理心中で母親死なす、「介護疲れ」62歳息子 (2010年6月13日13時45分  読 売新聞)
5 「老老介護」殺人、妻に執行猶予つき判決 裁判員裁判Asahi.com  2010年6月25日
6 母絞殺 息子に懲役9年 裁判員会見 「裁く重み痛感」(2010年7月3日  読売新聞)
7 傷害致死に懲役5年 裁判員裁判 (2010年7月2日  読売新聞)
<施設虐待>
1 千葉・特養老人ホーム虐待:改善命令で千葉市長「遺憾」 /千葉 
 毎日新聞 2010年5月28日 地方版
2 施設入所の女性に暴行 傷害容疑で23歳介護福祉士逮捕 asahi.com2010年5月25
3 若き介護士の悪意なき軽率行為、虐待でないが…(2010年5月25日05時34分  読 売新聞)
4 NPO法人全国抑制廃止研究会は、厚生労働省の委託を受けて実施した「介護保険関連施設の身体拘束廃止に向けた基礎的調査」をまとめ、報告書を発表Care Management  online
5動画投稿問題:老人施設を一部業務停止処分 三重県松阪市 毎日新聞 2010年7月1日 
<その他>
1 障害者向け小規模多機能の生活介護を全国展開へ  医療介護CBニュース キャリアブレイン 20100609
2 高齢も障害も横断的にケアラー連盟が発足 ”介護者支援”の法制化目指して Silver-News.com. (2010/06/10)
3「介護で退職」26% 要介護家族アンケートで 2010/06/22 17:22   【共同通信】
4 ○厚生労働省老健局振興課 地域包括支援センター全国担当者会議
5 111歳ミイラ化“名ばかり高齢者”他にもいる? (1/2ページ) 産経ニュース
6 「母の年金もらえなくなる」 庭に死体を埋めた50歳無職男を逮捕 産経ニュース
7 自宅のゴミの山に…母の遺体1年間放置 41歳「年金ほしさ」 産経ニュース
2010.3.2 11:55
8 93歳母の遺体を半年放置 66歳の息子を逮捕 長野・諏訪 産経ニュース
2010.2.5 08:22
<お知らせ>

 養護者との関係づくりに焦点をあてた「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)による高齢者虐待防止研修」開催のご案内
本アプローチは、解決志向アプローチと安全サインアプローチをもとにしたものです。
関係づくりにおける基本的な考え方と面接技法を中心としたワークショップを、9月18日、19日、東京秋葉原ダイビルにて行います。
詳細は、本ニューズレターの一番最後に掲載してありますのでごらんください。

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<エッセイ1>

「タイムシートの意外な活用法」

楠本 聡(団体職員)

去る6月13日、INPEAの「世界で高齢者虐待防止について考える日」のイベントの、ワークショップ「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」に参加させていただいた。

高齢者・介護者の生活状況とニーズの把握に始まり、高齢者・介護者との関係づくりや介護者・支援者自身の気づきをもたらすことのできるタイムシートについて、学ばせていただいた。
ワークショップ後半では、隣の席の参加者と2人ひと組になりロールプレイを行った。テーマは「忙しい私の一日」。支援者役が、相手がどのような一日を過ごしているかを聞き取り、要約とフィードバックを行い、ねぎらいや相手の「強み」への気付きを促すといった内容だ。

私の隣に座った参加者は、妻だった。ワークショップの時間ぎりぎりに会場に来た私たちは、空いている席に横並びに座っていたのだ。離れて座るべきだった、と気付いたのはワークショップが始まったあと。ほぼ満員の会場ではもう席の移動もできない。
初めは私が支援者役。妻の生活を起床から順に聞いていく。もともと介護職だった妻は、結婚を機に仕事を辞め、今は専業主婦である。普段家で日中何をしているのか、そういえば改めて聞く機会もなかった。

妻は、私より30分早く起床し、弁当を作り、私を見送ったあとはごみ出し、洗濯をしてから朝食を摂る。あまりしていないのでは、と勝手に思っていた掃除も、毎日ではないがしてくれていた。夕食のための買い物も、なるべくいろいろなかたちで野菜を摂れるようにと工夫して、食材を選んでくれていた。

世間の感覚では当たり前のことなのかもしれないが、2人で仕事をしていた頃には考えられないような妻の専業主婦ぶりに、頭が下がった。
こんな機会でもなければ、しっかりと聞くこともなかっただろう妻の一日。ロールプレイのまとめのプロセスでは、思わず自然にお礼が出てしまった。

本来は虐待対応のためのタイムシートが、私たちの場合はお互いの生活を知り、感謝の念を新たにする助けになった。余計なことかもしれないが、2人の会話がなくなりつつある夫婦には、とても有効なツールなのではないだろうか。

夫婦関係でも介護者と支援者の関係でも、普段無意識に分かったつもりでいる自分自身や相手のことを改めて理解するためには、何かの仕掛けやツールが必要なのかもしれない。本来の目的から若干それてしまったタイムシートのロールプレイだったが、他にも応用できる分野があるのかもしれない…と思うのは私だけでしょうか?

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 <New Information1>

レビー小体型認知症について

佐藤美和子(日本高齢者虐待防止センター)

最近、認知症の原因疾患についてメディアで紹介されることが多くなりました。その中でも、以前にはあまり知られていなかった病気であるレビー小体型認知症について解説させていただきます。

認知症は、認知機能低下を主症状とする症状群の総称で、その原因となる疾患は70種類に及ぶと言われています。わが国で一番多いのはアルツハイマー型認知症(50%前後)、次いで脳血管性認知症(20~30%)、レビー小体型認知症(10%前後)、その他と考えられています。欧米では、アルツハイマー型認知症に次いで多いそうです。レビー小体型認知症が浮上してきたのは、疾患自体が増加したのではなく、いままで確定診断が難しかったからだと思われます。

レビー小体型認知症の脳には、レビー小体という特殊な物質が中枢神経系に見られます。この物質が大脳皮質に出現すると認知症になり、脳幹中心に現れるとパーキンソン病になります。よってレビー小体型認知症にはパーキンソン症状が付随しやすく、パーキンソン病はレビー小体型認知症になりやすいということになります。何故、この物質が脳内に現れるのかについてはまだ不明です。先日のTV番組では、脳だけではなく心臓などの身体の他の部分にも痕跡があり、検査で発見できるとの報告もありました(この検査は結構費用がかかるそうですが…)。

レビー小体型認知症も、認知症ですから必ず認知機能の低下が現れ、徐々に進行していきます。しかし初期には物忘れなどの認知機能の低下が目立たず、他の症状が先行します。前述したパーキンソン症状以外に、幻視、認知の変動、睡眠時の異常行動などがあります。幻視とは実際に見えないものが本人にはありありと見えている状態で、その対象の多くは小動物(ねずみ、虫など)や人です。幻視をきっかけに作話や妄想が起きることもあります。また、日や時間帯によって頭がはっきりしているときと、ボーっとしているときが入れ替わったり、夜中に突然起き上がって騒ぐ、怖い夢を見るといった症状も見られます。

原因がわかっていないため、完治に至る治療法はまだ発見されていません。症状を緩和させる治療法として、アルツハイマー型認知症の治療薬である塩酸ドネペジル(アリセプト)は、認知機能の低下や幻覚・妄想に対して効果があるといわれていますが、まだ医療保険適用されていません。また、幻覚やそれに伴う不安や妄想症状に対し、ある種の抗精神病薬を使用すると、過剰に反応して悪化する危険があります。最近は、抑肝散という漢方薬が、副作用が少なく効果のある薬として注目されています。

介護認定審査の際、認定調査票の記述などから明らかに幻視、パーキンソン症状などがあるのに、認知症の原因疾患の確定診断が行われていないケースがあり、そのため専門医の受診を促すことがあります。認知症の原因疾患についての知識の有無とそれに則した対応により、認知症者の予後も変わるのではないかと思われます。

<お知らせ>

 解決志向アプローチをもとにした「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)による高齢者虐待防止研修」開催のご案内

 「安心づくり安全探しアプローチ(AAA)」による高齢者虐待防止研修

「安心づくり安全探しアプローチ(AAA):スリーエー)」による高齢者虐待防止研修は、高齢者虐待事例への関わり方・関係づくりの方法に焦点を当てた防止研修です。
本研修を受けていただきたいのは、居宅介護支援事業所ケアマネジャー・地域包括支援センター職員・行政職員等の実践家のみなさんです(大学教員、大学院生の方の応募は、定員に空きがある場合に限らせていただきます)。

2010年度 第1回研修
  
日時:2010年9月18日(土)、9月19日(日) 

場所:東京秋葉原  秋葉原ダイビル1202 首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
   アクセス:JR「秋葉原駅」徒歩1分、つくばエキスプレス「秋葉原駅」徒歩2分、
      東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩約5分、東京メトロ銀座線「末広町駅」
      徒歩5分

研修内容:

<1日目> 

午前  10:00~12:30 

スリーA(安心づくり安全探しアプローチ)の基本的考え方:(講義)
解決志向アプローチの理解(講義とワーク)

午後  13:30~17:00
     スリーAによる高齢者虐待の相談通報時面接(講義とワーク)
      相談関係を築きにくい利用者についての理解(ワークと解説)


<2日目>

午前  9:30~12:30  
      支援の糸口をみつけるタイムシートの活用法(講義とワーク)
      プランニングにむけた安心づくりの方法(ワーク)

午後  1:30~4:30 
      機関用・話合い用プランニング・シートの作成および活用法(ワーク)
      解決志向的援助者になる秘訣
 
本研修では、「安心づくり安全探しアプローチ」をより実践的に使いやすいものにしていくため、また、その有用性を評価するために、アンケートへのご協力をお願いする予定です。アンケートは研修当日と、後日郵送によるものを考えております。なお、研修当日は、500円の資料代をいただきます。
お申し込みは、AAAのホームページからお願いします。

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2010年5月25日火曜日

日本高齢者虐待防止センターニューズレター No.11

夏が来たり、早春に戻ったり、、、地球温暖化のせいでしょうか、世界のあちこちが異常気象のようです。気候不順やこれからやってくる梅雨にめげないよう、体調管理をいたしましょう!



ニューズレターが文字化けすることもありますので、以下と同じものを添付ファイルでもお送りします。


No11の目次は以下のとおりです。

<エッセイ> 渡邊さん、梶川さん
<家庭内虐待事例> 記事 11本
<施設虐待> 記事6本 
<その他> 14本


★★<INPEA(INTERNATIONAL NETWORK for the PREVENTION OF ELDER ABUSE)日本国委員会による第5回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」の記念イベント &
「虐待対応の糸口をつかむタイムシート」ワークショップ同時開催のお知らせ!>

      来る6月13日 日曜日1:30~です。
INPEAのサイトに詳細と申込方法が書いてあります。ぜひ、ご覧ください!

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<エッセイ>

「私の心配ごと」渡邊 洋平(団体職員)
「10年目のウォンツリスト」梶川義人(日本高齢者虐待防止センター)


<家庭内虐待>

1)娘に介護の悩み伏せ 岩槻で夫絞殺容疑の妻逮捕   毎日新聞2010年3月27日

2) 介護する実母への傷害致死罪に執行猶予  Asahi/com

3)自殺:入院の母刺され重傷、息子死亡 介護疲れか--東京・羽村の病院
毎日新聞 2010年4月21日 東京夕刊

4) 和歌山で夫婦と祖母死亡…無理心中か
(2010年4月19日16時14分  読 売新聞

5)<夢の跡>番外編 婚期逃す男の介護   中日新聞2010年4月19日

6)探’10:札幌の75歳夫、78歳妻と無理心中 認知症、介護支援の壁に
 独りで担い、行き詰まる?
毎日新聞 2010年5月1日 北海道朝刊

7) 「介護に疲れ母親殺した」 娘自首、殺人容疑で捜査 2010/04/28 14:07   【共同通信】

8) 理心中?:85歳女性、首絞められ死亡 夫「介護疲れた」--相模原 /神奈川
毎日新聞 2010年5月7日 地方版

9)殺人未遂:母親の首絞める 容疑で62歳長男逮捕--上田署 /長野
毎日新聞 2010年5月19日 地方版

10) 老老介護殺人 元中学校長に懲役2年  東京新聞 2010年5月18日

11) 介護施設長、75歳母つねる…日常的に虐待か (2010年5月18日15時53分  読 売新聞)

 
<施設虐待>

1)【栃木】裸など撮影『不適切』 医療法人「北斗会」理事長が謝罪 東京新聞2010年4月20日

2) 虐待?:入所94歳、急性腎不全で死亡 体にすり傷--愛知・一宮の施設
毎日新聞 2010年4月24日 東京夕刊

3)宇都宮・老人施設虐待疑惑:首にオムツ、撮影も 市改善勧告調査内容 /栃木
毎日新聞 2010年5月1日 地方版

4)真岡病院:准看護士、患者の顔携帯で撮影 同僚に見せる 厳重注意し謝罪 /栃木
毎日新聞 2010年5月8日 地方版

5) 病院でも身体拘束禁止を 高齢者虐待、法改正求める2010/05/13 16:45   【共同通信】

6)介護施設で高齢者3%拘束 8千人が“虐待”状態か 共同2010年5月19日 22時57分

<その他>

  1. ○厚生労働省 第3回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携による
2) )改正介護保険法が成立 特養入所措置 「当分の間延長」
 (2010/04/01) Siver-news.com


3)高齢者虐待防止法、介護者支援重点に見直し検討―山井厚労政務官
2010年4月14日 16時28分


4)今後10年現行のままなら介護保険「維持できない」87% 全市町村 読売調査
5)専門社会福祉士認定制度

6)<セカンドらいふ>認知症支援  地域つなぐ『サポート医』2010年4月21日



7)特集ワイド:孤独な死、あなたなら? 推計年間2万人超、このうち65歳未満3~4割  毎日JP20100419

8)  神奈川:無届け老人ホーム 規制と現実、悩み深く /神奈川 ◇事故防止狙い実態を調査 県が全国最多に 毎日新聞 2010年4月25日 地方版



9)孤独死防止へ住民主体の「見守り」活動広がる、自 治体も後押し/神奈川(かなころ:神奈川コミュニティサイト)

10) 身寄りない認知症高齢者、首長の後見申請急増(2010年5月2日03時14分  読 売新聞)

11) 高齢者にやさしくし隊:登録、半年で467件に上る--大垣市 /岐阜
毎日新聞 2010年5月8日 地方版

12) 市民後見人:育てて 支援・養成、自治体の7% 毎日新聞 2010年5月11日 東京夕刊

13) 【介護保険制度】 ○厚生労働省老健局総務課 介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集の結果について(2010.05.15公表)


14)<看取りビジネス>(1) 巧妙、公金から暴利  中日新聞「介護社会」取材班

2010年5月3日


以上の情報は、主に「市民福祉情報」から得ています


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<エッセイ>1
「私の心配ごと」

渡邊 洋平(団体職員)

この仕事をしていると、時折、信じられないような「ゴミ屋敷」に出会います。
ご本人はにこにこと暮らしているのですが、一体どこで寝ているのだろうと疑問に思うほどのお家なのです。認知症の方で、片づけられなくなってというのならわかるのですが、どうもそうではない様子。


一 方、まったく掃除をしていないようなお家にいくこともあります。いたるところが汚れてはいるのだけども、物がすくなくてとてもすっきりとしたお家も中には あります。こうしたお家はゴミ屋敷にはなりません。どうも、日常の掃除をする能力とそのお家が「ゴミ屋敷」になってしまうという現実との間にはそんなに相 関関係がないようにおもいます。

多くの高齢者の方々は、お家をとてもきれいにしていて、掃除のできない私はいつも感心するのですが、そんな方たちでも応接間を一歩離れると、隣の部屋は物でいっぱい(ゴミ屋敷予備軍です)。何かの拍子に本当にゴミ屋敷にならないか心配になります。


お そらく、掃除をする能力があったとしても、物を捨てられる能力というのが備わっていないとゴミ屋敷になる可能性はとても高いのでは、というのが私の感想で す。そして、認知症になる、ならないにかかわらず掃除をする能力も物を捨てる能力も加齢とともにだんだんと下がってくるようです。いつか捨てるからではお そいのです。でも、物さえ捨てておけば「ゴミ屋敷」にはならないわけです(あたりまえですが)。


さ て、我が家にこのことを当てはめてみると、妻は掃除をする能力に長けていますが、物を捨てる能力はありません。私には掃除をする能力はありませんが、物を 捨てる能力はぴか一です。夫婦二人で一人前なわけですが、上の理論を適用すると、一人暮らしになった時にゴミ屋敷になるのは妻のほうになるわけです。妻の 荷物を眺めるたびに、物を捨てられない人に物を捨てるように勧めることはなんと難しいのかと日々感じております。


「ゴミ屋敷」予防には物を捨てる力を身に つけることと日々妻に言っているのですが、妻は全く意に介さず、さっきも逆に脱いだ靴下は洗濯機に入れるように怒られてしまいました。私の心配はうまく伝 わらないようです。いやはや、いやはや。


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<エッセイ>2

「10年目のウォンツリスト」


梶川義人(日本高齢者虐待防止センター)


  私が高齢者虐待の問題に取組むべく当センターで活動するようになり10年がたつ。あっという間に過ぎた感もあるが、家庭内虐待に関する全国調査、モデル事 業、専門学会の設立、高齢者虐待防止法の施行と法にもとづく対応の展開、施設内虐待に関する全国調査など、案外たくさんのことがあった。介護殺人や施設内 虐待の事例など思い出深い報道も少なくない。他ならぬ当センターも法人化し、今では、法改正に向けた議論がなされている。思えば遠くへ来たものだ。


  しかし、国全体としてみれば、先進的な自治体がようやく取組みのマネジメントサイクルの二巡目にさしかかったに過ぎない。実態調査、体制づくり、防止計画 の立案と実施、その検証など、ひととおりの段階を経てマニュアルを改訂している一握りの自治体がある一方、多くの自治体はその途上にある。従事者による虐 待に関してはさらに進みは遅く、多くは、はじめの一歩すら踏み出してない。つまり、感慨にふけるには時期尚早で、すべきことが山積しているわけである。


 そこで、10年目の私のウォンリスト(欲しいもの一覧)を記しておきたい。
 1つめは、事例の実態と対応の実情に関する情報である。虐待発生のしくみを解明し、成功事例と失敗事例から教訓を得、よりより対応方法を考えたいからである。できれば、全国の事例を集めたデータベースを構築したい。

 2つめは、常勤職員である。いくら大志を抱いても、素人が参考書片手に総務、労務、財務にあたっているようでは、センターの発展はおぼつかない。一人でよいから常勤者がほしい。

 3つめは、自社ビルである。会議も、相談も、研修も、そして事務も、いちいち場所を借りなくても済むようにしたい。

 4つめは、お金である。先立つもとして、今、最も欲しいものかもしれない。そのせいか、事業仕分けのニュースを見聞きするたびに、「そんな巨額を無駄に遣っているなら、こっちにまわしてくださいよ!」と、いつも心のなかで叫んでいる。


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