日本高齢者虐待防止センター電話相談

2008年12月28日日曜日

日本高齢者虐待防止センター ニューズレターNo.3

☆  暮れも押し詰まってきましたが、みなさん、お元気ですか?

予告どおり、12月末にニューズレターNo3をお送りします。


☆  No3のコンテンツは以下のとおりです。

△1 虐待対応チームに関する福祉新聞情報

12/14、このMLに愛媛県の前神さんがUPしてくださった対応チームに関するものです。 

△2「支援されるみなさまへ」(埼玉県立大学 梅崎薫)

ものわすれクリニックのドクター松本一生先生の素敵なことばのご紹介です。

△3 介護殺人に関するニュース(3件)

△4 シェルターに関する情報

△5 身体拘束(新聞情報)

△6 ネグレクト?(新聞情報)

    △7 訪問介護の生活援助

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△2 「支援されるみなさまへ」              埼玉県立大学 梅崎薫


平成20年が終わろうとしています。今年は26日が金曜で、いつもよりやや長い年末休暇の方もあることでしょう。しかし高齢者虐待に対応されている方々には、「そんなこと言っていられない!」状況もあるのではないでしょうか。生活には「休み」がないので、介護家族や保健医療福祉の支援職には24時間、365日の対応が求められます。そんななか、高齢者やそのご家族たちに、たいへん頼りにされている支援職の方々が、体調を崩して休職されていると伺うことが多くなっています。やっと社会保障費見直しの気配はありますが、まだまだ現場に反映されるのは先のことでしょう。

そこで高齢者とそのご家族の力強い見方である支援職の方々や介護されているご家族の方々のセルフケアに、松本一生先生の言葉を紹介したいと思います。松本一生先生は大阪でものわすれクリニックを開業されているお医者様で、認知症高齢者を介護する家族へのケア、認知症本人支援、支援職へのケアなどを精力的にされている先生です。著書に「認知症を生きる」などがあります。以下にご紹介する言葉は、支援職へ向けられた言葉ですが、「支援職」のところを「介護家族」と置き換えて読んでいただきますと、介護家族の方々にも、こころの支えになる言葉ではないかと思いました。


松本一生先生の言葉より

自分が支援職であることが罪であるといった感情に襲われた人は少なくないと思います。善意があるほど、熱意にあふれているほど、その結果が良い方向に向かなければ、そのことを自分のせいにしてしまうからです。

今、まさに、そのような気持にとらわれている支援職の人に、ぜひ伝えたいと思います。

あなたの善意がたとえ良い結果につながらなくても、あなたの行為は赦されるのです。考えてみてください。もし、あなたがここで燃え尽きて引き下がってしまったら、世界は「あなた」という善意の資源、大いなる社会資源を失います。その損失はあなた自身が考えているよりも、もっともっと大きいものです。

あなたが引き下がらずに、この先の10年、20年を支援職であり続けたと考えてください。これまでのように、全力疾走しないあなたが、じっくりゆっくりと高齢者や家族の支援を続けるなら、高齢者や家族は、どれほどあなたの存在によって支えられるでしょうか。

大きな光を出している人は、自分では「光ってなどいないし、自分は弱い状況にある」と思っています。自らがボロボロになりながら、それでも光を出しながら、周囲を助け力づける人々によってこそ、人の生活は支えられます。

あなたが、ゆっくりと燃えることによって、長くこの世界が明るさを保てますように。

 良いお年をお迎えください。          

梅崎 薫

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△7 訪問介護の生活援助

編集者から;

みなさんは、虐待事例対応や虐待予防のために、生活援助中心のヘルパーさんを導入したいのに同居家族がいるということで使えない!!という体験をなさったことはありませんか?

介護給付適正化推進事業の一環で、「ケアプラン点検支援マニュアル」が作成され、点検作業が実施されるようになったためか、ケアマネジャーさんのほうで、同居家族がいる場合は、このヘルプサービスを使わないよう自主規制したり、保険者がきびしく制限したりしているといううわさを聞きます。

国は一律に介護給付の支給の可否を判断しないように、と通知をだしていますが、みなさんの市町村ではいかがでしょうか?

○○県では、できるだけ早く別の対応を考えることを前提に、虐待事例に同居家族がいても生活援助のためのヘルパー派遣を認める、という話が介護支援専門員協議会に対して行われたようです。

川崎市や千代田区などでは、同居家族がいる場合の生活援助について、判断のためのガイドラインやツールをだしているようです。世田谷区では、以下のような事例集を出したとのことです。関心のある方は、ごらんになってください。

世田谷についての情報は、ケアプランの自己作成を行っているマイケアプランのML情報から教えていただいたものです。

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東京都世田谷区が、居宅介護支援事業所、介護予防支援事業所のために、「同居家族のいる利用者の生活援助事例集」を出したそうです。

世田谷区のホームページでダウンロードすることができます。

http://www.city.setagaya.tokyo.jp/index.shtml

ここから、

「福祉・健康」→「介護保険」→「事業者の方向け情報」→「同居家族のいる利用者の生活援助事例集」

でダウンロードできます。

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なお、鉄道弘済会が出している雑誌「社会福祉研究」103号では、藤崎宏子さん(お茶の水大学教授)がこの問題を取り上げ、「訪問介護の利用抑制にみる『介護の再家族化』――9年目の介護保険制度――」という論文を書いています。

もうひとつ、HHについての情報提供。

○参議院

第170回国会・質問主意書

http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_c03_01.htm

「介護保険制度に関する質問主意書」

質問第91号

(2008年11月18日提出 大河原雅子・参議院議員)

答弁書第91号

(2008年12月2日答弁 内閣総理大臣・麻生太郎)

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リーマンブラザーズの破綻以後、日本も大変な経済社会情勢になってきました。派遣切りなどを理由に、自殺者や犯罪者等が出ないよう祈って筆を置きます。

みなさま、よいお年をお迎えください。